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ーあの日。
桜が舞い、花粉が妙に多かった日。
俺は
後輩に、告白し
ことごとく、断られた。
男同士だからとか
将来があるからだとか。
ー自分は
難しいことはよく分からないから
“今”を大切にする主義だけれど。
きっとあのとき
あかーしが言っていたことは
正しいんだと思う。
だって、俺の自慢の後輩だし
頭いいし。
ーきっと正しい
んだろうけど。
ー冬の寒さが、鼻につーんとくる。
外へ踏み出した瞬間これで。バレーをしていれば幾らかは紛れるんだろうけど
でも今日は、バレーはお休み。
あいつらと会う日だから
「行ってらっしゃい」
「ん!」
ぎゅ ~ っと、抱きつき
見送っている彼女に、幸福感を覚えた。
ー
外はあれだけ寒かったのに
体が熱気に包まれ
がやがやと騒がしいけれど心地の良い、聞き馴染みのある喋り声と笑い声に
自然と口角があがる。
「お、木i兎」
もう既に半分宴会の様な座敷に、
木i葉や猿i杙や白i福が座っている。
そう、今日は梟i谷メンバーで飲もうと、皆で集まることになっていて。
見覚えのあるメンツの中には、もちろん
赤i葦も居た。
「ォーーッ ス!」
元気よく皆に声をかけ、自分もビールを頼む。
ハメ外しすぎんなよ、なんて言う木i葉の声が聞こえ、なんかあの頃に戻ったみたい!と少し嬉しくなった。
ー
「え 、お前結婚すんの ?」
「そ ー !」
今の彼女とは順調だ。
優しいし、家事も上手だし。
何より、可愛い !
酔った時に甘えてくるのも可愛いしー…
「はは、あんたってば来てから惚気ばっかね ~」
雀田がグラス片手に笑い、隣では白福が唐揚げをたらふく食べている。
やっぱり、飲み会の雰囲気は好きだ。
「すみません、遅れました」
……ぁ
「あかーし~~~ ! ! !」
「お久しぶりです」
「元気してた ! ?」
「はい、それなりには」
「俺のとなり____」
「あ、白福先輩
これ、大阪土産です。」
ーさ、と華麗に避けられ、赤葦はゆきっぺのとなりに座る。
「浮気かよ木兎 ~ 」
けらけらと酔って赤くなった木i葉が笑う。
なんでか、ぐさっと胸に刺さった。
ー
別に、気まずいわけじゃない。
いや、ちょっと気まずいけど !
あの後も、OBとして部活に行ったこともあったし
赤i葦も、普通だった。
ーでも
俺の隣には居てくれない。
俺らの出来事を知っているのは、白福だけだ。
ー
「男同士ですし ー … 」
がたんっ
「「え、」」
「あ、」
ふごふごとおにぎりを片手に物陰から出てきた白福。
ーお腹がすいて。でも流石に、みんなの前でおにぎりを頬張り出すわけにはいかないので
物陰で食べていたらしい。
空気が一瞬止まったし、重い雰囲気をいい意味で変えてくれた。
あのあと、赤葦が今までに見た事がないぐらいに青い顔して
誰にも言わないでくれと釘を指したおかげで
今や、頼もしい恋愛マネージャー…のようである。