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記憶それから一年でオレは本が読めるカフェを始めたんだ。誰でも落ち着ける空間を作りたかった。贅沢はそんな出来ないけど、毎日が楽しいからそれでいいんだ。買い物をしていると公園が見えて、子供達が泥団子を作っているのをみる。ふとあの時の記憶が思い出した。
「はい!お兄ちゃんあげる!」あの子は今何をしているんだろうか。
次の日、雨が降りそうだったけど、買い忘れがあったので、傘を持って買い物に行った。そしたら、みたことのある人を見かけたので近づいてこうとしたら、何が話しているようだ。修羅場か?「亮真、何しているの?」「誰あんた?」「貴方には聞いていないの。」「なにっ!」「華帆、もう我慢の限界なんだ。お前のこと本気で好きだったけど…、だけど俺たち付き合って三年半経つのに何もしていないって。変だよ。普通じゃないよ。だからごめん。」「なにそれ…、」待ってくれるって言ったじゃない。好きって愛しているって言ってくれたのに。嘘つき。「あんた、三年半も付き合ってまだ何もしていなかったの?ありえなーい。じゃあ何のために付き合ってんの?お遊びですかー?ウケる!」「……っ!」その瞬間、自分が恥ずかしくなった。「だから、もう俺と別れてほしい。連絡も二度としないでほしい。忘れてほしいんだ。」「なんで…?」「ごめん…。」「ごめんじゃあわからない。嘘だったの?全て、」「いや、そうじゃなくて、あの何年か前のが誘拐事件、あれお前だろ?そんなやつと付き合えるない。重いんだ。背負う気も俺にはないんだ。」「それ以上言わないでっ!」なにそれ、私が汚いからなの?「ごめん……。幸せになってね。」ボソッ「気持ち悪い女っ」――!なんでそんなこと言われないといけないの?幸せになってねだと?もういいや……。私は彼を愛していたのか?
雨降ってきたなー。傘持ってきてない。雨は彼女の髪を伝わって滴り落ちた。振られたってのに涙ひとつも出ない。何がいけなかったんだろう。なんであの男の人はこちらに向かっているんだろう。こっちの道は何もないのに。「どうしたの?」「濡れちゃうよ。オレの傘に入って。」「なんでもありませんから…。」「じゃあ、目からの水は」「えっ?ほんとだ…なんでだろう。あれれおかしいな。」「ちょっと、ごめん。」優しく抱きしめてくれた。その瞬間、私は子供のように泣き崩れてしまった。その時、私は彼を愛していたのだど初めて気づいた。周りには誰もいなくて、世界にたった二人しかいないみたいに……。彼は何も言わずにただ優しく優しく抱きしめてくれる。なんだか懐かしいな……。「落ち着いた?」「はい。ありがとうございました。」「髪とか濡れているし、うちおいでよ。」「えっ…でも…。」「いいから、俺のお店だし。」「はい。」コーヒーの匂い、本の匂い、落ち着くな……。大人っぽいお店だな。「はい、どうぞ、コーヒー苦手だと思ってミルクティーにしたんだけど…。」「あっはい!ありがとうございます。」「あの…。お店は…。」休みと書いてあったのに、いいのかな。「あぁ、大丈夫。気にしないで。」ぎごちない笑顔を私に向けてくれた。でも嫌な気はしない。なぜだろう。「そういえば、泥団子まだ作ってるの?」「えっ?もう作ってないですけど……、」なんでこの人が私が泥団子作っていたの知っているんだろう……。もしかして!「あのっ!」「そうだよ。やっと思い出してくれたんだ。」「あの時のお兄ちゃんですか?!」「うん!」「ごめんなさい…。あの時、私がお兄ちゃんにひどいことを言ったんじゃないかって…。」「ううん。そんなことない。オレが悪かったんだ。助けるべきだったのに、それから君からもらった泥団子も壊されちゃったし、大切なものも守れなくて…」「泥団子…。そんなことないです!私にとってお兄ちゃんは、ヒーローみたいで……。」ヒーローね……、そんなこと思っていたんだ。「そっか……それは嬉しいな。」「なのに……、私、お兄ちゃんの事忘れて、違う人と付き合っちゃってそれも失敗して、私何しているんだろって…ははっ笑えますよね!」悲しいな……高校卒業しといてよかったなーこの前彼と会っていたら……。彼の大好きだった笑顔も、私に優しくしてくれた言葉も名前も、全部あの子に……。泣きそう…………。
「最悪だったね……。オレも、君のこと何度も忘れようとして…、す……いや、でも忘れられなかった。」「もう遅いし、お母さんに電話して、迎えに。」この気持ちは押し潰そう。出てきたら、思ってしまったらダメなんだ。こんな人間なんだから。迷惑、またどこかに消えてしまうんじゃないか……。だからダメなんだ。「そうですね。母に連絡します。」
「あっきてくれるそうです。ありがとうございました。」「…………。」「ミルクティーご馳走様です。」
「お母さん……、私これからどうすればいいの?」「華帆……。ごめん。ごめんなさい。大丈夫よ。お父さんとお母さんが、貴方を守るから。」「うん…………。」私は泣き疲れて眠ってしまった。
「あなた、華帆が…、」「わかっている。だからあんな男とは…、付き合うべきではなかったんだ。」「すまんな。華帆。」「静かな別荘に召使いを何人か送り込んで、少しずつ華帆を心を治してみようか。」「そうね、高校も卒業したし、大学なんか行かなくても、十分頭いいし、大丈夫だわ。」「あなた……」「大丈夫だ……。二人であの子を、華帆を守ろう。もうあんな事件は起こさせないために。」
「華帆、静かな別荘にしばらく滞在しないか?ゆっくり休んで遊んでもいいんだぞ。」「お父さんとお母さんは?」「お父さんとお母さんのことは気にしなくていいんだ。心の自由のまま過ごしてもいいんだ。」「そう。じゃあそうする。」「わかった。準備しとく。」「それから、ひとつお願いがあるの。私が別荘に行くことをお兄ちゃんに伝えといてほしいの。だから会えないって……。」「うん。わかった。」
コンコン――。「シュンさまですか?」「そうですけど……何か?」「華帆お嬢様からの手紙を預かっています。」「えっはい。ありがとうございます。」「では、失礼致します。」
彼女から初めてのお手紙――。急にどうしたんだろう……。『お兄ちゃんへ、私はしばらくお兄ちゃんに会えません。せっかく再開する事ができたのに、ごめんなさい。わたしは別荘にしばらく滞在することになりました。お兄ちゃんのせいではありません。』
「なんだよそれ……。」『昨日初めて、お兄ちゃんの名前知りました。枢シュンっていうんですね。でもお兄ちゃんと呼ぶのをお許しください。私ね元彼と別れちゃった時、そして、お兄ちゃんにあった時気づいたんだ。私愛されたかったんだって、もちろんお母さんとお父さんに愛されているってわかってたよ。でもねいつも胸がぽっかり空いていていたの。でも初めて、お兄さんと公園で会った時、胸がねぽかぽかしたんだよ。嬉しかったんだ!だから、私はお兄ちゃんの事……好きになったんだと思うの。だから、その気持ちをお兄ちゃんに伝えることができたら、名前で呼んでもいいかな?』「そんなの当たり前だろう……。ぐすっ」ガチャ――!彼は、手紙を持って走った。もっと早く、早く、人混みがある中を転びそうになりながら、彼は全力で走った。
『今日、行きます。どうか、待っていてほしい。いつになるかわからないけど、今日、家に来たりとかしないでね?それでも私を待っていてくれますか。お兄ちゃんのまた明日って言葉がすごく好きで、また明日があるんだと思ってしまう。あの事件の時助けに来てくれて、すごく嬉しかったんだ。だから汚くなってしまった私に何度も手を差し伸ばしてくれたのがどんなに嬉しかったか。でも私はお兄ちゃんに会う勇気がなかったんだ。見せられないと思ったの。まだ私はお兄ちゃんに釣り合う人じゃないし、まだ子供だし、だから待っていてほしいの。大好きです。誰よりもあなたの事を愛しています。』
自分の呼吸が乱れていて、うまく息ができない。どのぐらい走ったのだろう。間に合ってくれ!と心の中で何度も願っている。彼女がオレに言ってくれたんだからオレもちゃんと伝えないと。
「華帆っー!!!」「お兄ちゃんっ?!」「華帆っ!オレもっ!」「来ないでって言ったのに!」ここの使用人達がオレの腕を押さえて、これ以上近づけない。でも大きな声で……。「華帆っ!聞いてくれ!オレも華帆を好きだ!愛している!だから……」「えっ!」「だからいくらでも待つ。もう二度とオレの前から急に離れないでくれ!」もう離れてほしくない。大切なものを失うのはもう……怖いんだ。怖くて怖くて、その場で動けなくなって、自分が自分じゃなくなる。「うん!シュン!私も愛しているわ。」「必ず迎えに行く!だから!」「うん!絶対連絡する!まってて!」「華帆―――――!」華帆、絶対待っているから!「うん!また明日!」「おう!また明日!」オレらにとってのとても大切な言葉。また明日――
二年後――。オレは27歳になった。華帆は20歳だな。「もう、おっさんだな。はは。」「元気にしているかな。」ポストに一通の手紙があった。華帆からだ――。『シュンへ、二年に経ちましたね。長い間待たせてごめんなさい。そちらに帰ります。愛してる。』「ははっやっと迎えに行ける!」
「華帆。」「シュン……。」「お帰り……。」彼は無くしていた感情を取り戻して、優しく彼女に微笑んだ。「ただいま!」彼女は飛び跳ねるようにして、彼に飛びついて強く抱きしめた。「愛してる。」涙目になりながら、彼女は言った。「あぁ。オレも愛してる。」彼も彼女を優しく強く抱きしめた。そして、二人は見つめ微笑み合い、優しいキスを交わした。あぁこれが愛しているなのね。とても温かくて、この人なら私は怖くない。心から愛しているわ。
これが感情なのか。なぜ早く気づかなかったんだ。オレも心から愛している。やっと大切な人を守る事ができた。そして、何年後も何十年後も君に愛していると。