私はその人形を3秒くらいは見入ってしまった。するとその人形が口を開く
「おやおやぁ?驚かせちゃったかな?」
その男は何も考えてない、陽気そうな顔でこの世界の、国の言葉を口にした。私はその男が口を閉じた瞬間腰を抜かして、尻もちを付いた。しばらくすると自然と目から涙がボロボロとこぼれ落ちていて、鼻の頭を赤くしていた。
「ふ…フッ…」
「ん?どうしたんだい?里妬ちゃん?」
「不審者!!」
「えぇっ!?」
「不審者」と言う言葉を口にしたら、その人形は驚いたような言葉を喋る
「まず誰!!何者!!まず人間!?なんでこんな所に居るのっ!!」
人間ではない事なんて承知の上でその言葉を発していた。人間には無い白くてこじんまりしたツノ、人間には無い小さくも大きくもなる漆黒の羽根、人間ではない目、人間ではない生きていないほどの白い肌、人間では無いほどのその綺麗で気持ち悪いその姿。正直脳みそがグチャグチャだ。そんな私を無視するようにその人形はペラペラと口を開く。
「あぁ、ごめんね?俺はルシファー。神話の堕天使…って言えば分かるかな?」
等の本人…?が目の前に居るのに、本当に実在するのか疑わしい人物だった。ルシファーと名乗るソレ…まだ疑わしいがルシファーと呼ぼう。私の脳みそはと言うとルシファーのアホらしい喋り方と腹立たしい顔になんだか落ち着いていた。と言うより苛立っていた。
「…ルシファーってマジで居るの…?…じゃあルシファー…でいいの?まぁいいや、ルシファーって呼ぶ事にする」
「おやおや?なんでそんなに苛立っているのかな?**里妬ちゃん?**ニャハハッ!」
色々と言いたいことがあった、とりあえず今はコレだけを言わせてもらおう
「まず質問させてもらおう不審者ルシファー」
「ニャハハ、なんだか不審者になっちゃったねぇ。その言い草は酷いよ里妬ちゃん」
ルシファーはヘラヘラと笑っている。自分でも分かっている。本気を出したらこの人形の方が強いと…
「空を飛んで路頭に彷徨ってたんだよね、んで抜けた羽がヒラ〜って舞って行って〜、里妬ちゃんの部屋のベランダに入ったんだよねぇ。たまたま窓開けてみたら開いたんだよね〜♪、里妬ちゃん不用心だよ?戸締まりはシッカリしないと、不審者が入るよ?あ、俺か!ニャハハッ!」
「いやぁ、この世界って季節ってやつがあるじゃん?この季節でも随分寒いものだねぇ、アレでしょ?狭いところって暖かいんでしょ?だから入ってたんだぁ♪、俺って賢いよね!ニャハハ!」
「君の小学校の卒アル見させてもらったよ!里妬ちゃんっ♡ニャハッ!」
とりあえずなんだこのドチャクソ失礼な奴は、そして床に転がり落ちてる小学校の卒業アルバムを見て嘘ではないことは納得した。私は椅子に縛り付けたルシファーに再び視線を移す。
「堕天使って普通地獄に居るイメージだけど?」
ルシファーは大人しく座ってニヤケヅラをかましてる。
「それはただの人間のイメージ♡、俺達天使は地獄でしばかれた奴もいれば、俺みたいに上級堕天使サマは、こうやって人間界とかに旅立ってるの。んで、今ここにいる堕天使が、俺ッ!」
「で?何、なんで私の部屋に?居るの?」
「あぁ、ソレね!端的に言わせてもらうね」
「は?」
ルシファーは改めてにこやかに笑った
「俺を君の居候にしてくれないかい?」
「斎藤里妬ちゃん♡」
「は…?」
コイツは何いってんだがよく分からなかった。私はこの得体のしれない生物でもない存在に居候させろと言われているのか?…
なにそれすっごい特別じゃん?
「でも私、まだ高校生だし…アンタ飯とかどうするの?」
「その点は大丈夫!俺は堕天使だよ?飯なんて食わなくても生きていける!」
「へ〜、ベンリィ」
ルシファーは羽を大きく広げ、自分を縛り付けていたセロハンテープをぶち破った。するとルシファーはテーブルに置かれた筒状の奇妙な入れ物に近寄る。
「もちろん、俺も君の居候になるには、相応の対価を支払おう!」
「対価?」
「紙とペン出して?♡」
少し疑いながらも勉強机の引き出しから紙とシャーペンを出す。
「今から俺の言う事描いて?」
「…?」
「それじゃあその紙をその入れ物にはって?」
ルシファーに言われるがままに、私は入れ物に紙を貼った。
「こんな事で何考え…
ギィィ…ッ
「り…りと…?どうした?」
里妬の部屋のドアを恐る恐る開けたのは里妬の兄の仁だ。どうやらさっきの音は外からも聞こえていたようだ。
「黙れクソ兄貴っ!ノックぐらいしろ帰れ!!」
思春期特有、いや、兄嫌い特有の反応を見せる
「あ…いやっ、すげぇ音聞こえたから…後!制服明後日届く…」
「うるさい!帰れっ!臭い!」
里妬はそこにあったクッションを投げつけてる。仁は驚き即座に扉を閉める、扉を閉めたと同時にルシファーの方を見ると不機嫌そうな顔をし、荒れた髪を手櫛で梳かす
「で?なにこれ」
里妬がルシファーに突き出した筒状の入れ物に貼られた紙には幸せ貯金箱と書かれていた
「その名の通りさ!それは幸せ貯金箱!」
「それだけ言われても分からねぇんだよ、説明しろよ堕天使サマ」
ルシファーは唇を尖らせながら喋る
「俺が即興で考えた堕天使アイテムさッ★その幸せ貯金箱は、良いことをすれば幸せが貯まる!、それは人の幸せにもなって自分の幸せにもなる!」
「もっと分かりやすく」
「つまり里妬ちゃんは良いことをすればいい。例えば落とし物を拾う事、お母さんの洗い物を手伝うことやお父さんに「いつもありがと、パパ大好き♡」って言うことや、お友達に勉強を教えてあげること、それらの里妬ちゃんの把握する良いこと10回やれば里妬ちゃんのお願い事を1個叶えてくれる代物さ!いいでしょ?」
「わざわざ十個やるの?」
「お願い事がそうやすやすとポンポン叶うのもアレでしょ?小さいパズルを完成させるのにピースを埋めていくのと同じさ、んで!その素晴らしい堕天使アイテムを君にあげようってこと!コレで里妬ちゃんのそのツンケンした態度も治って願いが叶って俺も居候出来て一石三鳥だね!」
「余計なの交じってたぞテメェゴラ」
と言いつつも、幸せ貯金箱なるものを見つめる里妬…その目は一気に色々考えてるように見えた。
幼少期母に言われた「早く大人になって母さんに楽させてね」と言う言葉、その為に勉強や運動を頑張って、人間関係も構築していこうと努力している。もしもこの貯金箱で楽に叶うのならば………何より里妬は…
ルシファーは里妬の返事が中々返ってこず、返事を待たず窓の方に向かう
「まぁどうしても駄目って言うなら俺も諦めるよ?勿論その貯金箱も無し…あーあ残念…
せっかく”特別”になれるのに」
そういうとルシファーは窓を開け翼を広げ飛び立とうとする…
すると突然里妬は、ルシファーが出ていくのを拒むように、ルシファーの大きな背中に抱きつく
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特別者に、俺はなる!!(?)