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オルゴールの音色をBGMに、私は自身の過去を振り返り始めました。
1919年1月10日、私はスイスで生まれました。
「あれれ~?君って、もしかして、新しく生まれたドールかな?」
生まれて一番初めに出会ったのは、そんなふうに明るく、元気な声色の男の子のドールでした。彼は、顔こそ笑っていて、目も笑っているのに、一切の心の中が見えませんでした。
彼は、黄丹色のショートヘアで、左耳には金の十字架形のピアスを付けていて、パッチリと開いた焦げ茶色の瞳には、十字の瞳孔が有りました。
その瞳をいくら見つめても、何も感じ取れませんでした。何お考えているのかも、何を思い私に話し掛けたのかも分かりませんでした。
「始めは僕から自己紹介したほうが良いか!」
私が驚いていると、彼は指をパチンッと鳴らしてそう言いました。
「僕はこの国の化身のスイス様のドール、炎端だよ!君は?」
太陽のような笑顔で、何処か不思議な笑顔で、彼は、炎端さんはそう言いました。
「あ、私は、国際連盟様のドールの、連華と申します」
そう言って、私は一礼をしました。
「連華ちゃんね!宜しく〜」
そう言った炎端さんは、馴れ馴れしくも思えますが、何処か、一線引いているような気もしました。
「水色の髪に淡い空色の瞳、シルクのベビーピンクのブラウスと白色のAラインのスカート、スエード素材のミストグリーンのバレーシューズそれに、細めのゴールドチェーンに小指サイズの透明の丸いガラス玉の付いたネックレス。うん、すっごい透明感があって綺麗だよ!」
この方、服装なんかにこんなに詳しいんですね。「綺麗だよ!」と褒められたはずなのに、何故か嬉しくありませんでした。彼は、そう思っているのだけれど、何処か大袈裟で、少しテキトーな感じがするからなんでしょうね。
そんなふうにして、私は生まれ、まだ家も建てれていないので、炎端さんとその主であるスイスさんの家で暮らさせて頂いておりました。
そんな風に過ごして、一年後、私の主である、国際連盟様、訳して連盟様が生まれました。とても喜ばしい事で、同時に私と連盟様との家も完成致しました。お祝いに、珍しく炎端さんが料理を振る舞ってくれたのはとても驚きでした。
そうして、アメリカ合衆国による世界恐慌が始まり、ついに、第二次世界大戦が始まりました。