テラーノベル
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そんなこんなで俺が淹れたコーヒーを前に、うちのソファに座ってる蓮。その隣に一人分距離を空けて座った。
「…今日のこと、だけど」
小さく息を吐いてから蓮が話し始める。
もう逃げられない。
「何であんなことしちゃったのか分からなくて。あの時はただ、佐久間くんの涙が綺麗だなって思っただけで…」
俺だって、蓮の顔も瞳も綺麗だなってそのくらいしか考えてなかった。
でも『このままじゃキスしちゃう』って分かってても、避けようなんてこれっぽっちも思わなかった。
それって、もしかして。
「今日ずっと考えてて、これだけははっきり言える」
前を向いていた蓮が俺の方に身体ごと向き直る。
「俺、もっと佐久間くんとキスしたい」
「…は?」
蓮の話を聞きながら自分なりに思考をまとめてたけど、今全部吹っ飛んだ。
何て?
「他の誰でもなく、これからも佐久間くんとキスしたい。佐久間くんも、俺以外として欲しくない」
「いやちょっと待て! え?」
何それ、どういう結論?!
困惑しながらも徐々に頬が熱くなってくるのを感じる。多分俺、今顔真っ赤だ。
だってさそんなの、蓮が俺のこと独り占めしたいって言ってるみたいじゃん…!!
「今だってしたいと思ってる。ねえ佐久間くん、こっち向いて」
どんどん蓮が距離を詰めてくるから、俺は顔を隠しながら後ろに逃げるしかなくて。当たり前だけどあっという間に追い詰められる。
蓮の手が頬に触れて、強引にならないくらいの強さで顔を上げさせられた。
「すごい真っ赤。可愛い」
「お前ほんと、何言ってるか分かってる?!」
「分かってる。というか、分かった。佐久間くんは可愛い」
「え、会話になってるこれ?」
「何でキスしたいか。何で可愛いって思うかって話でしょ?」
「いやそうじゃな…待って、そうかも?」
悩み始めた俺に、蓮がふはっと笑う。
笑いながら更に距離を詰めてきて、その手がゆっくりと俺の頬を撫でた。
「…本当に、堕ちるのなんて一瞬なんだな」
「蓮?」
「佐久間くんにキスしたいって思うのは、俺があの時恋に堕ちたから。だから、俺に佐久間くんをください」
そう言って俺を見つめる蓮の目は、冗談で済ませるには熱を持ち過ぎていて。それに当てられたかのように今はもう耳まで熱い。
「ねえ、佐久間くんは? どうして、あの時俺とキスしたの」
「わ、かんない…」
「じゃあキスした後、ここまで何考えてた?」
「何って…」
蓮はずるい。ここまで俺を追い詰めておいて、最後の最後で俺に選ばせようとする。
もう全部奪ってくれたらいいのに。
俺が考えてたことなんて、一つしかない。
「……蓮と、もういっかいキスしたいって…」
言葉の終わりと同時に唇が重なった。深く触れ合うキスに、食べられてるみたいに錯覚する。
すり、と指で耳を撫でられて肩がびくりと震えた。
ようやくキスを解いた蓮は額を合わせたまま懇願するみたいに囁く。
「お願い、佐久間くん。俺と恋に堕ちて?」
「…もうこんなの、とっくに堕ちてるだろ…」
やっと耳に届くくらいの声で呟けば、蓮が蕩けるように笑った。その表情に、自分の答えが間違ってなかったと知る。
もうさ、こんな奴好きになるしかないだろ。
「佐久間くん、好きだよ」
「ん、俺も…」
再度重なった唇。どんどん深くなるそれに必死に応えてると、蓮の手が俺の後頭部と背中に回された。そのままぐっと倒されてソファの感触を背中で味わう。
いや、え? ちょっと待て?!
「ちょちょちょ待って!今日自覚してすぐこれは展開早すぎねーか?!」
「いいんじゃない?俺ららしくて」
「えー…そうか…?」
「衝動で始まった関係なんだから、その勢いのまま突き進んだっていいんじゃない?」
片側の口角を上げて不敵に笑ったその顔が、その声が。めちゃめちゃカッコ良くて不覚にもキュンとしてしまった。
それと同時に全て委ねてしまいたいと、そんな衝動が湧き上がる。
「ふはっ、ヤバい。カッコ良いなお前」
「何、急に?」
「んーん、蓮の言う通りかもって思っただけ」
するりと蓮の首に腕を回してそのまま引き寄せた。蓮も素直に顔を寄せてきて、額同士がぶつかって至近距離から見つめ合う。
「蓮となら、衝動のまんまでもどこまでも行けそうな気がする」
「…ずっと一緒にいようってこと?」
「ん、そう。離さないで。離れないから」
間違わずに受け取ってくれたのが嬉しくて、首に回した腕に力を込めながら囁いた。蓮は数回瞬きしてから、俺の頬をゆっくりと撫でる。
「…離せないでしょ、こんな可愛い人」
そのまま唇が重なった。蓮と同じ、優しくて甘いのに熱いキス。吸って、絡めて、なぞって。どんどん深くなる。
お互いに息が上がって呼吸が苦しくなった頃、顔を離した蓮が熱っぽい目をして囁いた。
「俺に愛される覚悟出来た?」
「…お手柔らかに。んっ…ぁ」
首元のほくろに蓮が吸い付いたのを最後に、あとはお互いがお互いに自ら望んで溺れていく。
それはやばいくらい気持ちくて。衝動に身を任せたことを後悔なんてしようもなかった。
「…いやぁ、若いなお前」
「うん、ごめん…こんなにがっつくとは自分でも思わなかった」
あれから何度も身体を重ね合って、眠りについたのは空が白み始める頃。体力オバケの俺でも全身がだる重い。
「身体、大丈夫?」
「何とか…?」
求めたのは俺も同じだ。触れて欲しくて、暴いて欲しくて。蓮に手を伸ばすのを止められなかった。
何より触れる素肌が蕩けるように気持ち良くて離れられなかったから。
労わるように俺の髪を撫でる蓮の胸元にそっとすり寄ってみる。
「…駄目だよ佐久間くん。また元気になっちゃうから」
「俺より体力オバケじゃん。さすがにもう無理」
ふはっと笑いながらそれでもすり寄るのを止めずにいると、小さく溜息をついてからゆっくり俺を抱き寄せた。我慢する事に決めたらしい。
「ねえ、佐久間くん」
「ん?」
「好きだよ。ずっと傍にいて」
「…急にどした」
「ちゃんと言えてなかったなって思ったから。欲しいって思ったら我慢出来なくて突っ走っちゃったし」
突っ走ったのは俺も同じ。蓮に食べられたくて堪らなくなったから。
でもそんな風に言ってくれるならお言葉に甘えようかな。
「突っ走っちゃう蓮も好き」
蓮の背中に腕を回してぎゅっとしがみつく。
「どんな蓮でも好きって、自信持って言えるぞ。だから俺からもお願い。ずっとここに、蓮の腕の中にいさせて?」
ほんの少し前までは、まるで自覚のなかった恋心。それでもずっと蓮は俺の中で特別だった。
俺も、蓮の特別でいたい。
ずっとずっと大好きだよ、蓮。
「…ごめん、佐久間くん」
「にゃ?」
俺を抱えたまま蓮が体勢を変える。俺に覆い被さる蓮に、まさかという視線を送った。
「やっぱり我慢とか無理みたいだ」
でも佐久間くんも悪いんだよなんて、ちょっと困ったように笑うけど目には熱が篭ってる。
「もう一回、俺に愛されて?」
囁きと共に降ってきた唇が重なると、俺の奥底にもまた熱が点る。深くなる口付けに翻弄されながら、もう一度蓮の首に腕を回した。
「好き。いっぱい愛して」
「…誰にもやらない。全部俺のだ」
キスの合間に囁いた言葉を合図にまた二人で熱に沈んでいった。これ以上ないくらい気持ち良い。
絶対離さないでね、蓮。離れないから。
コメント
4件
水瀬さ〜ん めっちゃステキでした💕 あらあら「もう一回」で済むのかしら、とにまにましちゃいましたꉂ(´>ω<`)
最高すぎました…🖤🩷ありがとうございます😭✨