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蒼が命懸けで美月を救出してから数日が経過した。美月は無事に家族や友人たちの元へ戻ることができたが、その心には深い傷が残っていた。さらわれた恐怖の記憶は美月の心に影を落とし、蒼もまた、自分の無力さを痛感する日々を送っていた。
ある日の夕方、美月は蒼と約束の公園で再び会った。桜が散り始め、春の終わりを告げる風が木々を揺らしていた。ベンチに座る美月の顔には笑顔はなく、どこか遠くを見つめていた。
「美月、無理はしてないか?」 蒼が心配そうに尋ねると、美月は少しうつむき、静かに答えた。 「…大丈夫だよ。でも、あの日のことを思い出すと、どうしても怖くなってしまうの。」
その言葉に蒼の胸が痛んだ。自分がもっと早く駆けつけていれば、美月がこんな思いをしなくて済んだのではないかという思いが彼を責め立てた。
「美月、俺がもっと強かったら、こんなことにはならなかった。ごめん。」 蒼の声は震えていた。その言葉を聞いた美月は、驚いたように蒼を見つめた。
「蒼は私を救ってくれた。本当にありがとうって思ってる。だから、自分を責めないで。私も、少しずつ乗り越えていきたいと思うの。」
美月の言葉には、決意と蒼への感謝が込められていた。しかし、それでも完全に恐怖が消えるわけではなかった。蒼はその美月の苦しみを少しでも軽くしたいと願った。
その後、蒼は美月を元気づけるために行動を起こし始めた。彼女を連れ出して星空を眺めたり、昔訪れた懐かしい場所を巡ったりと、少しずつ美月の心を癒そうとした。蒼の優しさと思いやりに触れ、美月の心は徐々に明るさを取り戻していった。
「蒼がいてくれるから、少しずつだけど前に進める気がする。」 そう微笑む美月を見て、蒼の心には安堵の光が差し込んだ。
二人はこの出来事を通じて、互いの存在の大切さを改めて実感する。そして、未来ノートに新たな夢を書き加えることで、今回の試練を超えるための第一歩を踏み出した。