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すまない先生は、エウリ、ライトと共に、瑞穂の国を見て回った。
射的でどっちが先に景品落とすか競ったり、木の下でお弁当食べたり、ボートを漕いで、池のお散歩したりなど、とても楽しかった。
こっちが“本当”であっちが“夢”だったのかもと、誤認するほど・・・
✵✵✵✵✵
「いやぁ〜・・・遊んだ遊んだ・・・!」
「楽しかったです!」
「また3人で遊ぼうな」
「うん!」
「はい!」
そう言いながら、3人はふと、とある“少年”とすれ違う。
すまない先生は足を止め、振り返った。
「どうした?すまない」
「どうしました?忘れ物ですか?」
そうエウリとライトの声が、遠くから聞こえるように感じた。
すまない先生は目を丸くさせ、掠れるような声でこぼした。
「───“銀さん”?」
すまない先生の口から零れたその名前は、すまない先生の“生徒の1人”だ。
真っ白な髪に、翡翠の瞳の、建築が得意な生徒。
すると、その少年が振り返る。
だが、“瞳”は自分が知ってる瞳では無かった。
「・・・えっと・・・すみません・・・“誰ですか?”」
すまない先生は、心臓をわしずかみにされた感覚に陥った。
「・・・ぇ・・・」
か細い声が震えるように喉から零れた。目の前の“銀さん”はまるで、
“初対面”のようだ。
「・・・あっ!もしかして、前父さんの所に剣を直しに来た、英雄・すまない“さん”!?わぁ!俺、英雄なんて初めてみました!」
その銀さんの言葉に、すまない先生は自身の胸元を強く握りしめた。
──どうしてか、とても、胸が痛い
何も言えずに、立ち尽くしていると、
「おーい!こっちに来てくれー!」
「あ、はーい!!・・・それでは!今後とも、俺の父さんの武器屋をご贔屓に!!」
そういい、銀さんは踵を返した。
すまない先生は思わず手を伸ばしかけたが、銀さんを呼んだ方へ目を向け、その手を止めた。
そこには、銀さんの“両親”が立っていた。
──暗黒シンジゲートに連れていかれず、銀さんは両親と離れ離れになることはならず、瑞穂の国で、両親のお手伝いをしている“銀さん”
思わず、何も言えずに、銀さんとその両親が仲良く帰っていくその背中を、ただただ見つめるだけだった。
✵✵✵✵✵
すまない先生は、家に帰ってきたあと、夕飯を食べ、そのまま部屋のベッドに倒れ込んだ。
(・・・そうか、この世界で、両親はいきていて、僕は“英雄”になって、エウリとライトが生きている・・・代わりに僕は・・・)
そこですまない先生は、嫌でも分かってしまった。
(──先生になることなく、“生徒たち”に会うことも無かった世界なのか・・・)