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ONIWA‐BAN?


おにわばん? どこかで聞いたことがある……?


(あ、そうか)


紗姫は、子供の頃から『城址公園』の庭園が好きだった。

「お花きれい。お池きれい。お庭きれい」

嬉しくて駆け回る紗姫に、母が教えてくれた


「ここが綺麗なのは、御庭番が手入れしてるからよ」


「おにわばん?」

「錦藤家を守ってくれる人たち」

「???」

「いつか……、紗姫が本当に困ったら……、必ず守ってくれるわ」


紗姫は〈簡易ベッド〉から身を起こした。

ココはどこだろう?

薄暗くて、埃っぽい。

照明は、天井に古い蛍光灯が一つあるだけだ。


「姫、大事はございませんか?」

精悍な顔をした青年が、正座したまま紗姫を見た。

「水を吐いたから大丈夫だよね?」

可愛い顔の青年は、笑顔で紗姫の顔をのぞき込む。


「こら珊瑚、姫に失礼だ」

「伊織が堅苦しいんだよ」


木のドアがバタンと開いて、中年女性の声がした。

「あ、気が付きましたね」


女性はベッドに駆け寄ると、紗姫の手を取った。

「御無事で何より。御着替えをお持ちしました」

紙袋に新品の服と下着が入っている。


「あの……、貴女は?」

「申し遅れました。わたくしは、吉岡 櫻花さくらでございます」

櫻花は43才。キリッとした美女でスーツが似合っている。


紗姫は、一番気になることを訊ねた。

「皆さんは……、御庭番ですか?」


「やはり御存じでしたね」

櫻花が名刺を出した。

【有限会社ONIWA-BAN  社長 吉岡 櫻花】


「社長さん?」

「はい。社員5名の小さな会社です。市から委託され、城址公園の管理をしています」


わたしは、青柳あおやぎ 伊織いおりと申します」

精悍な顔の伊織は33才。

身長183cmで、筋肉質の鍛えた身体だ。

趣味はロッククライミングで、城の石垣をスルスル登って作業する。

潜水も得意で、池と堀の清掃も担当している。


「僕は、潮波しおなみ珊瑚さんごでぇす。よろしくねっ」

笑顔が可愛い珊瑚は26才。

身長167㎝で、バネのあるしなやかな身体だ。

アクロバットが得意で、ブレイキンはプロ級に踊れる。

植物が好きで、植木と芝生の手入れを担当している。


珊瑚がポンと〈バック転〉をきめた。

「僕たちは、先祖代々、ずぅ~と、この庭を守ってるんだ」


伊織は正座をしたまま、膝に手を置いている。

「そして、先祖代々、錦藤家を御守り致しております」

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