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「まずは場所を移りましょう。お立ちになれますか?」
伊織に促されて、紗姫はベッドから降りた。
足元にスリッパが用意されていた。
グルリと見回すと、公園管理に使う道具が並んでいる。
ここは『ONIWA-BAN』の物置小屋だ。
「えいっ!」
伊織が〈鉄製の棚〉を押し始めた。
かなり重そうだ。グッグッと後ろに移動させる。
この小屋は、石垣の上に建っている。
棚が移動した下に、木製の板が見えた。
(なんだろう?)
紗姫が不思議に思っていると、櫻花が板をポンと蹴った。
板が割れ落ちて、直径80cmほどの穴が開いた。
「Wow! 久しぶり!」
珊瑚がブレイキンを舞ってポーズをきめた。
「階段が急だから気を付けてね」
櫻花は、慣れた足取りで階段を駆け下りた。
紗姫は伊織に手を引かれ、ゆっくり下りていく。
珊瑚が、懐中電灯で足元を照らしてくれた。
向かっているのは、石垣の下。
城の地下だ。
(そういえば……)
紗姫は、むかし読んだ本を思い出した。
世界遺産の〈姫路城〉には『地階』がある。
だが石垣に囲まれた外観からは、地階は見えない。
(この城も……)
「着きました」
伊織の声に、紗姫は前を見た。
先に到着した櫻花が、電気を点けて控えていた。
そこは驚く光景だった。