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コメント
2件
最高すぎる…! こういう切ない系?(なんか違う気がする…。なんて言うんだろ)好き😊
『明日も帰ろう』
pr視点
tg 先輩、はやくー
校門の前で、ちぐが手を振っていた。
冬の空気は冷たいのに、あいつはいつも制服のままだ。
pr 寒くないんか
tg 先輩と帰れるならあったかいです
冗談みたいに笑う。俺も笑う。
並んで歩きながら、今日の授業の話や、購買のパンが売り切れてた話をする。
くだらない会話が、冬の夕暮れに溶けていく。
tg ねね、先輩
pr ん?
tg 俺、ずっと先輩のこと好きでした
足が止まる。
でも、返事はしなかった。返せなかった。
青信号が点滅する。
ちぐは手を振って、先に渡っていく。
夕陽の中に、その背中が小さくなっていった。
家に着き、机に置かれた古いアルバムを開く。
卒業式の日の写真。
そこに写るちぐは、三年前、あの交差点で事故に遭った。
今日もまた、俺は一人で帰ってきた。