テラーノベル
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『明日も帰ろう』
pr視点
tg 先輩、はやくー
校門の前で、ちぐが手を振っていた。
冬の空気は冷たいのに、あいつはいつも制服のままだ。
pr 寒くないんか
tg 先輩と帰れるならあったかいです
冗談みたいに笑う。俺も笑う。
並んで歩きながら、今日の授業の話や、購買のパンが売り切れてた話をする。
くだらない会話が、冬の夕暮れに溶けていく。
tg ねね、先輩
pr ん?
tg 俺、ずっと先輩のこと好きでした
足が止まる。
でも、返事はしなかった。返せなかった。
青信号が点滅する。
ちぐは手を振って、先に渡っていく。
夕陽の中に、その背中が小さくなっていった。
家に着き、机に置かれた古いアルバムを開く。
卒業式の日の写真。
そこに写るちぐは、三年前、あの交差点で事故に遭った。
今日もまた、俺は一人で帰ってきた。
コメント
2件
最高すぎる…! こういう切ない系?(なんか違う気がする…。なんて言うんだろ)好き😊