心さんの風邪は意外にも翌日には熱も下がり、元気になっていた。そのあと亜美菜さんは心配だからと心さんの家に残っていた。俺は家に親がいないことと夜麻をずっと1人にさせるのも悪いと思い家に帰った。それから休みが終わりまた長い1週間が始まった。少し憂鬱な気持ちを抱えながら玄関のドアを開ける。
和馬「さぶ……」
夜麻「せめて上着きなよ」
和馬「俺だけ着てて周りが着てないの嫌だから今日は我慢だな」
夜麻「……アホなの?」
和馬「俺には俺のやり方があんだよ」
夜麻「ふーん、変なお兄」
夜麻「あ、今日バイト?」
和馬「バイト。…なんかごめんな」
夜麻「別にいいって、お兄が少しずつだけど変わっていってるのボクもなんか嬉しいし」
夜麻「バス停こっちだから、じゃ」
和馬「ああ、気をつけてな」
寒い中、数分駅で待ち電車に乗る。中は早速暖房がつけられていて足元が暖かった。時折建物の間から顔をのぞかす山に目をやると上の方が白く雪が積もっていた。今はもう冬で街中はクリスマスだったり早いところは正月気分だ。
その中でもクリスマスは特に大事で俺がバイトを始めた理由でもある。そう心さんの誕生日だ。
和馬(心さんのプレゼント何にしようかな)
和馬(なんて呑気に考えてる暇はないぞ。もうすぐそこまで迫ってて何も決まってないとかやばいからな!)
一応その日一緒に出かけるという案はあるのだが…
なんて考えていると電車のドアが開いた。真っ先気に乗ってきたのはピンク色の華やかでかわいいマフラーをした心さんだった。
目が合うや否やぷいっと逸らされてしまった。
俺と亜美菜さんが同じベットで寝たことを何故か知っており、ラインでも怒りのスタンプ連打が来ていた。…正直意味がわからない。
和馬「あのー、心さんなんで怒ってるのか聞いても?」
心「別に怒ってないし」
和馬「じゃあ目合わせてよ」
心「それは…無理……!」
心さんの耳は赤くなっていた。その後も目は合わせてくれないが話だけはしてくれていた。
ヒーターの暖かさを求めながら教室に入ると点検がされていないため使えず、その状況のまま授業を受けた。授業の合間の休み時間、心さんが話しかけてきた。
心「ねえ、君さ今月の25日空いてる?」
和馬「25……日」
和馬「あ、空いてる…!」
まさかの言葉で思った以上に勢いよく言ってしまった。
心「良かったー!その日さバイト入れる?」
和馬「…あ、バイトね。うん、入れるよ」
心「その日バイトうちだけみたいでさー、君が来てくれるなら大丈夫だね!」
なんだこの気持ちの上がり下がりの激しい会話は。そのせいで焦ったのか、言うつもりのない言葉を言う。
和馬「その日!デートしよ!!」
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