【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話です
モブが出てくるので苦手な方はお気をつけください
「遅いよIfくんー」
間延びした不愉快な声が俺にかけられたのは、それから一時間ほどした頃だった。
休むことなく車を走らせ、たどり着いたのは郊外にある広い土地。
昔物流センターとして使われていたらしく、バカでかい倉庫とその隣には5階建てのビルが残されている。
そこを根城にしている連中に、呼び出されたのは今日が2度目だった。
1度目は俺があのチームに加わる少し前のこと。そして、2度目の今。
「ないこ殺して連れてくるだけのことに、何日かかってんのさ」
ビルの1室に通された俺に、目の前の男は呆れたような…それでいて楽しむような声を投げかけてくる。
黒髪に派手なピアス。
今は黒いマスクを着けているが、ほとけが本部データで見せてくれた「ないこが前にいたチームのリーダー」に間違いなかった。
首元に視線をやると、確かにないこが言っていたように大きな傷跡が残っている。
…前に会ったときは興味がなくてそこまで見ていなかった。
「しかもさぁ、こっちは別にいらないんだけど」
目の前に横たわる2人の遺体。
そのうちのほとけの方を足でグイと押しながら、「黒マスク」は不満そうに呟く。
「…まぁいいか。死体でも何かに使えるかもしれないし」
もう一度軽くほとけの腕の辺りを足蹴にして、あいつは後ろにいた男たちに顎で指示する。
「とりあえずないこと一緒に冷凍室入れといて」
言われた男たちが頷いて動き出す。
「…冷凍室?」眉を寄せて聞き返すと、黒マスクはこちらを振り返って目を半月状に細めた。
「そう。だからIfくんにはないこに傷1つつけないで殺してきてってお願いしたんだよね。これからずっと、きれいなまま取っておこうと思って」
「……悪趣味」
は、と鼻であしらう俺に、黒マスクは機嫌を損ねた様子もなく肩を竦めた。
そのまま俺に近寄ってくる。
カツカツと鳴る革靴の音がやけに耳障りだ。
「それより、俺があげたネックレス壊しちゃったの?」
胸倉を緩く掴まれる。
そこにゴールドのチェーンがないことを確認して、また薄く笑う。
「首輪みたいで似合ってたのに」
煽っているつもりなのか、おかしそうに笑う声に不快感しかこみあげこない。
手を払いのけようとして自分のそれを振り上げると、それを見逃さずに黒マスクは逆にパシッと俺の手首を掴んだ。
「……」
「こっちも色々予定が変わってさ」
睨みつけた俺の目線を遮るように、ジャケットのポケットから何かを取り出す音がする。
ジャラリと重い無機質な音。
姿を現したそれは手錠のようで、眉を顰めて相手を見たときにはもうそれは俺の左手首に収められていた。
「ないこを連れてきてくれた段階で君との契約は終了、おつかれさまでしたー、また何かあったときはよろしくねーって予定だったんだけどさ」
笑いながら続けたかと思うと、急にそこで真顔になる。
空を切るようにビュッと音がしたかと思うと、そう認識するより前に黒マスクの膝が俺の鳩尾にめり込んでいた。
「…! …は…っ」
「気が変わった。ここで死ね」
前傾して倒れそうになるところを、手錠ごとグイと引っ張られる。
床に伏せることさえ許されず、手錠のもう片側は俺の後ろの壁に繋がれた。
古臭い壁に埋め込まれたフック。
鎖ごと引っ張ってもビクともしない。
「…まぁ…そうなるよな」
抗うことを諦めて、俺はズルリと全身から力を抜いた。
フックの位置は思ったよりも中途半端で、立つことも座ることも許されない――足を投げ出し、腰を地面から少し浮かせたような態勢になる。
繋がれているのは利き手だけだとは言っても、この態勢では反撃も何もできたもんじゃない。
「りうらと初兎に手出してきた段階で、お前が約束を守るとは思ってなかったけどな」
ため息まじりに言うと、黒マスクはまたおかしそうに笑った。
「俺がいつ約束を破った?」
目の前に立つ黒マスクが、ゆるりと片足を上げる。
俺の顎を革靴のつま先でグイと持ち上げた。
「『ないこを傷1つつけずに殺してきたら、お前の家族4人は殺さない』」
あの時に言われた言葉。
それを復唱しながらそのままつま先を振り上げるものだから、俺の顎は乱暴に跳ね上がる。
「約束通り、お前の家族は誰も殺してねぇだろうが。赤いのも白いのも」
言われて、りうらの大怪我と目を覚まさない初兎の姿を思い出す。
…まったく、反吐が出る。
こんな屁理屈を並べるクズにも…そしてそれに抗うことすらできない自分自身にも。
「それにあの水色殺したのはお前自身だろ。世話ないよな、家族を殺されたくなくて言うこと聞いてたのに、成り行き上その内の一人を自分で殺してちゃ」
「…4人殺されるよりは犠牲が1人で済む方がマシやろ」
「ははっ、お前も相当クズだよ」
水色くんもかわいそうに、と心にもないようなことを言う。
「謝りたくてないこのところに戻ってきたのに、謝れないまま無念の中死んでいくなんてさ。しかも味方だと思ってた奴に殺されて…。その時の絶望を想像すると、ワクワクするね」
ネックレス型の盗聴器で全て聞いていたんだろう。
俺とほとけとのやりとりをなぞるように口にするものだから、余計に不快感が増す。
「ほんまにずっと聞いとったんやな。…きしょくわる」
ずっと、疑問だった。
こいつの執着心は何なのだろう、と。
俺はこいつからは何も聞かされていなかったから。
どうしてないこを殺して欲しいのか。
どうして殺すだけではなく「傷1つない遺体」を持ち帰らなくてはならないのか。
ないこの話を聞いた時に、ようやく全てが繋がった気がした。
「…そりゃ気も変わるわな。俺のこと殺したなるんも分かるわ」
嘲るように笑いながら言うと、黒マスクはそれまで余裕を表すように浮かべていた笑みをふっと消した。
眉を顰めて、俺を冷たく見下ろす。
「ずっと振り向いてくれんかったないこが、自分が差し向けた刺客にたった数日で堕ちていくんを盗聴器で聞いとったんやもんな。しかも体を許して善がるとこまで、全部」
ハハッと声を立てて笑うと、痛いところを突かれたらしい。
激高した黒マスクの足が、それまでとは比べものにならない力で俺の顔を横から蹴り飛ばした。
「…!っ」
「口のきき方には気をつけろよ」
「…お前もな」
完全に口の中が切れ、鉄のような味が口内いっぱいに広がる。
ツーと端から零れる一筋の血を右手で拭い、俺は屈服することもなくニヤリと笑ってみせた。
コメント
2件
桃さんが青さんに数日で堕ちたというのがどこの立場で言ってるんやって感じなんですけど背徳感が凄いです☺️ それにしても元恋人さんがすごい執念ですね…。
えぇ"ええ""えぇ"…、元恋人さん生きてたの…!? "桃さんをやれ"って言ったのは元恋人さんだったんですね…。 元恋人さんは今でも桃さんのことを思っていて自分の物にしたかったからやったということですか…? ていうか、元恋人さん今まで何処にいたんでしょうか…? んぅ〜、まだまだ謎だらけですね…