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微かに勇斗の声と温もりを感じた。柔太朗といるはずなのにそんな訳はないと、流石に飲み過ぎたのだと思う。そんな幻聴に思える勇斗の声が徐々にはっきり聞こえてきた。ぼーっとする頭を上げると目の前には勇斗がいた。
「あれ、?もう帰ったきたの?柔太朗は…?大丈夫なの?」
「仁人ごめんな、独りにして。せっかくのクリスマスイブなのに…寂しかったろ。」
そう言いながら悲しそうな顔で俺の顔をあやすように撫でた。
「そりゃ寂しかったけど、クリスマスは恋人と過ごさなきゃいけないなんて決まりはないし…ただ、俺が勝手に舞い上がってただけだし…」
「こんなにいろいろ準備してくれてたのに、俺のせいだわ…ほんとごめん。実はさ柔太朗に手伝ってもらってたんだよね」
「え…?なにを?」
「本当はクリスマスに渡したかったんだけど、これ。どうしても仁人にあげたくて…もう1つ似合いそうなやつがあってさ、ずっと迷ってたから、柔太朗にも聞いてみたんよ」
そう説明しながら、俺の指に1つの輝く指輪がはめられた。それは至ってシンプルでありながらも、とても繊細で綺麗だった。
「え…ほんとに?俺なにもあげられてないのに…?」
「いーの。仁人からはいつも幸せ頂いてるんで。あ、ちなみに俺とお揃い」
にこにこしながら自分の指にはまっている指輪を俺に見せる。勇斗に申し訳ないことをしたかもしれない。こんなにも俺のことを思ってくれているのに、それに気づけず疑った。
「勇斗ごめん、もう俺と居たくないのかなって勝手に疑って…」
「いや、それは俺が疑われるような行動してたからだし。さっきちゃんと舜太にも叱られたし。それに仁人と居たくないなんて死んでも思わないから笑てかそれよりも、ほんとにあなたお酒飲みすぎじゃない?服もまんまだし、まだ風呂入ってないでしょ」
「入ってない…めんどくさくなっちゃって。しかもこんだけお酒飲んだらお風呂危ないかなって…」
「それはいい判断だわ。俺帰ってきたし、髪洗ってあげるから一緒に入ろ?」
「勇斗も疲れてない?こんな酔っぱらいの介護までしたら余計に疲れちゃうよ」
「疲れてません。なんならあなたと入れるならむしろ光栄ですわ」
「なんだよそれ笑じゃあお願いしてもいい…?」
「もちろん」
そうして、勇斗にお世話されながら何とか一通り終わった。髪まで乾かしてもらっちゃって。お風呂は酔ってて逆上せると危ないからと言われやめた。勇斗が疲れてないかと心配していたが、始終満足気な顔をしてて俺まで何故か笑顔になる。
「勇斗ありがと。助かった」
「はいよ。久しぶりに仁人と入ったわ。なかなか一緒に入ってくんないからな」
「当たり前だろ。いい歳した大人が一緒に入るか?てか、普通に恥ずいし…」
「恥ずかしさなんて今更あるか?笑何回も見てんのに?笑」
「あ〜もう!いいから!ほら、まだ飲むぞ〜」
「ダメです。本当に飲みすぎ!二日酔いになっても知らないからな?」
「だってまだ勇斗と乾杯してないもん…」
「明日できるよ」
何言っても聞かない勇斗を何とか納得させるべく、普段は絶対やらない"甘える"ことをお酒のせいにして勇斗に仕掛けてみた。勇斗の腕を掴み、上目遣いで首を傾げながら一言言うだけ。恥ずかしいけど、やる他ない。
「ねぇ、本当にだめ…?」
「……ずるいぞお前…いーよ、1本だけな。それ飲んだらもうお終いだからな?」
「やった〜!」
どうやら効果は抜群だったらしい。案外ちょろいなと口角を上げながら、冷蔵庫からお酒を持ってきた。
to be continued…