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白山小梅
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あるところに、二人の男女がいました。
二人は過去のすれちがいを消化できないまま、月日だけが重なっていきました。
その因縁の男と、
その因縁の女が、
呆気なく、再会を果たしたら?
「あ!そういえばね?」
「うわ、いきなり起き上がんなよ、石頭は凶器だからな?」
「ごめんごめん……て、なにが凶器だって?」
「なんでもない。で?」
「チカくんに、お友達の話を聞いたけど、柊も知ってる?」
「は?チカの友達?」
「うん。チカくんの友達がセフレのこと好きになったって話」
「……へー……誰だろ……」
「頑張って欲しいよね!」
「そうですね」
不揃いな恋愛に囚われていた二人だからこそ、もう大丈夫。
この先、いくらでも時間はある。
すれ違った分だけ紐解いていけばいい。
過去を懐かしんで、たまに笑って
時間をかけて、話していけばいい。
知らない彼と、彼女を知るうちに、立ち入り禁止の境界線はぼやけて無くなっていくだろう。
同じ恋に落ちるたびに、お互いのことを愛しく思えるのだろう。
それからの話を、少しだけ。
晴れて、お付き合いを開始したあたし、柴崎 ほとりと柊 碧音は、相変わらず、一定の距離感を保ちつつ、週末はどちらかの家で過ごしている。
好きなアーティストのライブだったり、たまに日帰りで温泉に行ったり、やっぱり家でいちゃいちゃしたり。
──そんな秋の、涼しげな光が心地よい朝。秋の空は柊の瞳に一番似ている。
柊は意外とロングスリーパーで、週末は特に、あたしが起こすまで寝ている。今日もあたしの朝は柊を起こすことから始まる。
「あさだよー、柊、起きて」
「んー…………おぁよ」
「おはよ……どうしたの?」
「ん?なんでもない」
「絶対なにかあるよね!なに!?」
「べつに、今日も朝から可愛いなと思ってただけだよ?」
「絶対うそ。可愛いと言えば大体許される説」
「はいはい。ついでに、休みの日本気出せばゴム一箱使い切れる説も検証してみよっか」
「やめて、擦り切れるし無駄遣いしちゃだめ。世の中SDGsでしょ?エコじゃないことはやめよ」
「え〜、検証しようよ〜」
「可愛く言ってもダメ」
「でもほとり、今日一回は俺のお強請り聞くよ」
「なんでそんなこと言えるのよ」
「内緒」
あたしはまだ知らない。
あたしの首元では可愛らしいネックレスが揺れていることを。ピンク色の輝きが煌めいていることを。
洗面台の大きな鏡に映る自分を見て、あたしは驚くことだろう。
そんなあたしを見て、柊碧音っていう、意外とあたしのことが大好きな男は、したり顔で「ほらね」と微笑むのだろう。