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紅林「っなあ、、、疲れてるだろ。うち泊まってかねぇか?」
突然の誘いに少々びっくりしたものの、やはり行ってみたさが勝った。
このまま直帰とばかり思っていたからまだ一緒にいられるとわかって素直に嬉しい。
久我「お前の家、こっから近いのか?」
紅林「そこ曲がったとこの団地がそうだ。狭えけど泊まるだけなら問題ねぇはずだ、、、。」
そうこう話しているうちにあっという間に紅林の家に着いた。
おじゃましますとなんとなく呟いて中へ入ると意外にも部屋は綺麗に整頓されていた。
紅林は大雑把なイメージがあったが意外とそうでもないのかもしれない。
紅林「スーツのままじゃ寝れねえだろ。部屋着貸すぞ?」
遠慮の言葉が喉元まででかかったが、確かにスーツにシワがつくと困るので素直に受け入れることにした。
なかなかに着古された服は俺には少し袖が余るサイズで、なんとなくそれが嬉しいと感じてしまう。
紅林にバレないように緊急避妊薬を口に放り込んで振り返ると紅林はすでに布団を敷き終えており、俺に早くこいよと催促した。
用意されている布団は1組。これ、一緒に寝るってことだよな、、、?//
言われるがままにそっと布団に入りこむ。
さっきまで体を重ねていたばかりだというのに、この距離の近さにドキドキしてしまう。
普段きっちりとオールバックにセットされている髪は無造作に額にかかっていて、それがなんとも色っぽい。
ぎゅうっと抱き寄せられてさらに呼吸が速くなる。
紅林の胸元に顔を寄せると、こいつの心臓の鼓動も早い。
全く、これじゃ寝れねぇよ、、、//
少し会話でもするべきなのだろうか。
なにせ俺には恋人ができたことないから全くわからない。
久我「あのさ、紅林」
紅林「どうした?」
久我「お前、彼女とかいねえのか?ほら、お前はその、結構モテるだろうから、、、」
紅林「彼女?っはは、いたことねえよ」
久我「俺が、初めてなのか?」
紅林「そうだよ、ってかお前以外好きになったことすらねぇな。」
久我「えっ、ぁ?//」
恥ずかしいやら嬉しいやらで思わず変な声が出てしまった。
紅林も少し照れたような表情で優しくおやすみと言って照明を消した。
真っ暗になった部屋の中で2人の息遣いだけが聞こえる。
別に今更人肌が恋しいとか言うようなタイプではないが、未だ感じたことのない安心感に内心驚いているのも事実だ。
紅林「久我、寝てるか?」
久我「んー起きてる。どうした?」
紅林「お前のこと名前で呼びてえなって、思ってさ」
久我「いいんじゃないか?// 俺たち、ほら、恋人だろ」
なんだか恥ずかしくてしどろもどろな返答をしてしまったが、紅林は吐息混じりに優しく笑った。
紅林「虎徹」
早速名前で呼ぶ紅林。
ドキドキで息が詰まるような感覚のなか必死に冷静を装って、なんだと返したのになんでもないと返事しやがった。
俺はまだ呼ぶ勇気が出なくて紅林に背を向けて目を閉じ、布団を頭まで被った。
絶対に寝れないと思っていたが予想以上に疲れていたみたいで気づくと外は明るくなり始めていた。
紅林のスマホのロックを勝手に顔認証で突破してLINEを繋いでおいた。
だらしなく緩んだ口元さえ可愛らしいと思ってしまう。
まだもう少しこうしていたかったが、今日も俺は組に出勤する予定だったので紅林を起こさないように「世話になった」とメモだけ残して家を出た。
最終話に続きます。