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『君とは、好きがすれ違う。』
“誰かのトクベツになりたい”
そんなのは、誰しも思ったことはあるだろう。
ただ、トクベツになれるなら誰でもいい訳では無い。
必ず、この人がいいと思ってしまう。
皆、わがままなんだ。
それが悪いという訳では無い。
でも、ないものねだりさえしてしまう。
「…クロエ」
「どうしたの、ラプラス。」
「いや、なんでもない。」
「…?」
(好きを伝えるのがこんなに難しいとは思わなかったな…)
口で思ったことを言うだけ。
それだけなのに、いざ口にしようとすると喉にその言葉が引っかかって言えなくなってしまう。
「ラプラス、最近様子おかしくない?」
「そうでござるか?」
「なんかさ、用もないのに沙花叉の名前呼んで来てさ〜」
「あー、疲れてるとかじゃない?」
「じゃあ、こよ疲れ取れる薬作ってあげようかな〜。」
「…疲れてないぞ、?」
「うわ、びっくりしたぁ…!?ラプラスいたんだ。」
「…」
(こいつ…。)
「ねえねえ、ラプ。」
「どうした?幹部」
「変なことばっかしてても、多分クロエは気づいてくれないよ?」
「…は、!?なんでそれを…」
「じゃ、私はこれから買い物に行くんで。いろは、こより手伝って〜。」
「「はーい。」」
「えー、沙花叉は?」
「ラプの面倒見といて。」
「わかったー。」
「はあ!?吾輩子供じゃないぞ…!?」
「はいはい、キッズはいい子にしててねー。」
「ッ…」
(はあ…、ラプラスと2人きりか。ルイ姉と一緒が良かったなぁ…。)
「おい、新人…!」
「なんですかー?」
「子供扱いするなっ!」
「だって、子供にしか見えないし…」
「はぁ!?」
「もう、ラプラスうるさーい。」
「…。」
(あ、黙った。)
「なあ、クロエ…」
「もー、なに?」
「吾輩…、好きなんだ。」
「…誰が?」
「ええっと…」
「いろはちゃんとか、こんこよ?それともルイ姉?」
(だとしたら、ちょっとやだな…。)
「お前の事が好きなんだよ。」
「…え?」
「吾輩は、お前のトクベツになりたい。」
「好きって…、ラプラスが沙花叉を…?」
「だから、そうだって言ってるだろ…。」
「え、冗談…?」
「は、冗談なわけ…」
「本当に言ってる…?」
「嘘なんてつくかよ、」
「わかんない、」
「は?」
「なんで、沙花叉が好きなの…?」
「そんなの言われても、好きなものは好きなんだよ。」
「なんで、沙花叉を好きになるわけ…!?」
(だって…いろはちゃんは…)
「は、なんだよ…?」
数ヶ月前…
「いろはちゃん、好きな人いるのー?」
「え、風真…?」
「ラプラスとかと仲良いけど好きなんじゃないの〜?笑」
「…//」
「え、マジなの?!」
「う、うん…//」
「沙花叉、応援してるわ〜。」
「ありがとうでござる。」
「あ、沙花叉は好きな人いないでござるか…?」
「え、沙花叉〜?」
「え、もしかして沙花叉も総帥なんじゃ…」
「ははっ、流石にそれは無いよー笑」
「ほ、本当に…?」
「沙花叉は、好きな人いないよ。」
「そっか。」
「クロエ、お前はどう思ってるんだ…?」
「沙花叉は、ラプラスのことが嫌い…。」
「…そうか、」
(嘘に決まってるじゃん…、そんなの。悲しそうな顔しないでよ…。)
「ごめんな、」
今にでも泣きそうな顔で、ラプラスは自分の部屋に入った。
(ごめん…)
数ヶ月後
「そういえば、いろはちゃんとラプちゃん付き合ったんだって。」
「…え?」
「あの2人、お似合いだよね〜笑」
「うん…、そうだね。」
(よかった、いろはちゃん付き合えたんだ…)
でも、後悔してる。
あのとき、素直にラプラスを好きだと言えたら…
いろはちゃんのことなんて考えずに、自分を優先すれば…
今、ラプラスの隣にいたのは沙花叉なのに…。
結局は、怖かったのかもしれない。
自分が、ラプラスの横にいてもいいのかと…。
自分から、嫌いとか言って相手を避けておいて…。
今更、相手を求めてしまう…。
そんな自分が本当は1番嫌いで…。
いつでも、優しくて、部下思いな貴方が…
今でも1番好き。