『君の結婚式には行けなかった。』
『もしも、お互い30まで独身だったら僕たち結婚しようよ_』
そう、おかゆから言われた日のことは鮮明に覚えている。
まるで、漫画みたいな話だ。
その話に、スバルは…
『バカか、女同士なのに結婚できるか!』
そんなふうに笑って返したと思う。
『ははっ、そうだね。』
おかゆも笑ってそう返してくれたと思う。
けど、おかゆは少し悲しそうな顔をしていた。
ただの冗談話に悲しそうな顔をすることか?と当時は思っていた…。
「おかゆん、結婚したらしいよ。」
「え?」
当然、ミオしゃからそう言われた。
「え、結婚…?おかゆがか?」
あたしはミオしゃを疑うかのように聞いた。
「うん、先週籍を入れたらしいよ。」
「だ、誰と…?」
「ころね、」
「え、ころね…?」
ころねは、スバルたちと学生時代よく遊んでいた友人の一人だ。
最近は、女同士でも結婚できるとは聞いたことあるけど…
まさか、自分の友人が女同士での結婚とは…、
「そ、そうか…。ころねとか、笑 」
「うん。」
(なんというか、おめでたい事なんだけど…)
『もしも、お互い30まで独身だったら僕たち結婚しようよ_』
あの日のおかゆの言ったことが突然、頭に思い浮かぶ…。
(…あのとき、スバルが『うん。』とか言ってたらどうなっていたんだろう。)
ふと、気になった。
(いいや、おかゆももう別の人と結婚したんだ…。こんなこと考えるなんて良くないだろ、)
今年で29_
おかゆが結婚するのもおかしくない。
(おかしくないはずなのに…、何故かモヤモヤする。)
おかゆの結婚式の招待状が来たのは、ミオしゃからおかゆが結婚したことを聞いた日から1ヶ月経った日だ。
(招待状が来るってことは、結婚式行ってもいいんだよな、?)
正直、結婚式の招待状が来るとは思わなかった。
(いや、来るのがふつーなんだけど…)
「来てほしくなかった、」
誰もいない部屋でポツリとつぶやく。
結婚式当日…
欠席に丸をつけたあたしはもちろん式には行ってなかった。
ただの仲が良かった友人の結婚式…。
行かない理由は無いはずだ。
ただ、あたしの場合は行く理由が無かった。
仲がいい友人の結婚式には出席していたと思う。
けど、”おかゆ”の結婚式だから行かなかった。
それが結論だ。
なんとも言えない気持ちで、心から結婚を祝える気がしなかったから。
それに…
自分がおかゆのことを好きだということに気がついてしまったからだ。
ミオしゃからおかゆが結婚したという話を聞いた日からずっと考えていた。
“もし、あたしがおかゆと結婚してたらって…”
こんなこと、考えてはいけないと自分に何度も言い聞かせた…。
けど…
そんなことは、無理で…
今更ながら、気づくのが遅かった。
もう、結婚式も終わった時間だろう…。
あたしは、スマホを取りだしおかゆの連絡先を開く。
『結婚おめでとう。式に参加できなくてごめん。』
そう短い文を送った。
送って直ぐに既読がついた。
『ありがとう!でもスバルちゃんがいたらもっと楽しかったのにな〜笑』
そう、返信が来ていた。
あたしは、おかゆに最後に一通だけメッセージを送った。
『あたし、このスマホ解約するから新しいスマホになったらまた連絡先交換しようね。それと、お幸せに。』
送信_
このスマホと共におかゆへの気持ちも無くなってしまえばいいのに…。
スマホを片手に、携帯ショップへと向かう。
『解約ですか…?』
『はい。』
『わかりました、では…』
そう、解約をし携帯ショップを後にした。
もし、あのとき…
素直に好きを伝えれていたら…
『もしも、お互い30まで独身だったら僕たち結婚しようよ_』
夢の中で、懐かしいあの日が出てきた。
きっと、君の返答もあの日と同じ…。
期待なんてせずに、君の返答を待つ。
『30にならないとダメか?』
『え?』
『あたしは、おかゆのことが好きだ。』
あの日とは違う答えが返ってきて僕は困惑する…。
だけど、僕が君に言えることは一つだけだ。
『…僕も好きだったよ。』
𝐄𝐍𝐃_
コメント
3件
鈍感すぎるがゆえにおかゆの気持ちだけじゃなくて…自分の気持ちにすら気づけていたなかった。 そんな、スバルちゃんもいいよね。 ホロライブの短編小説のみですが【✨リクエスト募集✨】 リクエストの仕方はコメント欄に書いて欲しいホロメンのカプを書くだけ。 完成次第作品はアップします。 リクエストはお気軽に‼️ ⚠🔞は❌