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ゼタ民
50
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#北朝鮮
SUJ 一等海尉
57
第二話 結び
北朝鮮韓国侵攻 二日前
ソウル市、中央駅前カフェ。ソウルのカフェはどこも活気があり、学校帰りの学生たちでよく栄えていた。
亥は高校時代の男友人である世朱陀、恋人の伊尹晴とカフェに来ていた。
亥は好きなカフェラテを頼んでいた。亥は元々カフェラテが嫌いだ。だが、恋人の伊と飲んでからとても美味しく感じたのか今では好物の一つにもなっている。
「で?お前も、徴兵通知例来たんだって?」
世がケーキをフォークで口に運びながら問う。
「えっ…そうなの…?」
伊は驚いたように目を見開いた。
「おいバカ…」
亥はあえて言っていなかったのだ。彼女に心配させたくなかったから。このカフェの誘いも、亥にとっては軍に入る前の友人と彼女との交流のつもりだったのだ。
亥はため息をつくと観念したように答えた。
「あぁ、陸軍から通知が来た。明日、軍に行く。」
「…お前、ちょっと通知来るの遅かったよな?」
世がからかうように言った。実際、世は亥より二日前に陸軍への徴兵通知が来ていたのだ。
「…亥くん…言っちゃうんだ…」
伊が俯く。彼女は食べることをやめ、どこか辛そうに自分のスカートを見つめていた。
「…だ、大丈夫だよ!伊!軍に行ったってすぐ戻ってくるよ。少し会えなくなるだけ。」
「でも、例えば戦争とか…」
世がニヤつき手を振りながら答えた。
「戦争?北とか?ないない。北が韓国に攻めれるわけないよ。奴らの武器、旧式だぜ?奴らの使ってる58式(58式自動小銃)なんか、まだ時代遅れな7.62mm弾使ってる銃なんだぜ?あんな反動だけでかい弾使ってるような時代遅れな国に、時代に乗る韓国が倒せるわけない。」
実際、その通りだった。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が使っているのは58式自動小銃と呼ばれるソ連のAK-47のコピー銃だ。弾も7.62mm弾と高い反動の弾を使うため命中率も現代の銃と比べると劣る。
それに対し韓国軍の銃はk-2。米国のM16を元に韓国が開発したバランスの良い5.56mm弾を使用する現代の銃だ。
命中率の悪い銃を持つ北朝鮮と、命中率の良い銃を持つ韓国、 しかし、現実的に弾薬の性能だけで銃の性能が全てではないのが戦場だ。
「北はビビリだからな。韓国に攻める事すらできないさ。あの新しい総書記でも」
世は最後のケーキのピースを口に放り込んだ。それを聞いても伊は安心した様子はない。そもそも彼女にとって銃なんて知らないし分からない。彼女が心配なのは北朝鮮に韓国が負ける事ではなく亥が死んでしまわないか、と言うことだ。
「伊、本当に大丈夫だから。俺は死なない。軍を除隊したら真っ先に君に会いに行くし軍にいても連絡は必ずするよ。だから、心配しないで」
亥は彼女に向けて微笑んで見せた。亥の微笑みを見てか、伊も少し安心した様子であった。亥は伊と約束を結んだ。
やがて3人はカフェを出ると解散した。亥は一人、ソウルの街を歩いていた。ハングル文字が目立つネオンの都市、この都市が二日後、地獄に変わる。今の亥には知る由もない事だ。
【第二話 結び】終
コメント
1件
第2話、読み終わりました……。カフェの穏やかな空気と、亥くんの「心配させたくない」という気持ちがよく伝わってきました。特に伊さんが「戦争とか…」と言った瞬間の空気の変わり方と、世朱陀があれだけ「ないない」と否定するのが逆に怖くて。これから地獄に変わるソウルの街を一人歩くラスト、すごく効いてます。亥くんの優しい微笑みと「結び」というタイトルの重みが心に残りました。