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はれる.
夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚
月が輝く夜。
1人の青年が夜道を歩いていた。
片手には、”ナイフ”を手に持って。
被っているのは黒い帽子。
明らかに怪しい青年だ。
ナイフは月の光が反射し、キラキラと輝いている。
青年は、5人が宿泊しているホテルへ向かっていた。
「…こんな時間に、何しとるん?」
背後から、声が響いた。
青年は振り返る。
「……む、向井、くん…?それに、目黒くんまで…?」
青年は、向井と目黒が撮影に携わったモデルの青年だった。
「犯人が特定できたって、どういうこと?」
怪しく笑う2人に、深澤が動揺しながら問いかける。
「犯人は、黒い帽子を被ってるよ。真白の回っていたルートにはいなかったみたいだね。」
「その通り♪だから、颯馬のとこにいたそいつが犯人♡」
笑顔で会話をする颯馬と真白。
2人の中では、結論が出ているようだ。
「え?え?どういうこと?」
渡辺が頭を抱える。
「犯人は、俺らのとこにいた…?」
阿部は何とか理解をしようと頭を回転させる。
「……全然わかんねぇ…」
目黒も頑張って考えてみたが、無理だったようで、
「何を言うとるん…?」
向井は、もう考えることすら諦めそうな雰囲気だ。
「まぁ、詳しいことは言わないけどさ、こいつが犯人だよ。」
にこにこしながら、真白がスマホの画面を見せる。
そこに映っていたのは…
「……っ!!」
反応したのは、向井と目黒。
そこに映っていたのは、向井が撮影を担当していたモデルの青年だった。
「なに、しとんの?」
少し震えた声で、向井は青年に問いかける。
目黒も信じられないといった顔で見つめる。
青年は、動揺していた。
なぜ、向井と目黒はここにいる?
自分が犯人だもバレたのはなぜ?
目黒はただのアシスタントではなかった?
もともとは、向井とその他の4人が来る予定だ。
目黒は、なぜここにいるのだ…!?
青年が事前に聞かされていた情報とは全く違う。
焦る青年の元に、
「さて、君はどうする?そのままナイフ…ここで振り回す?それとも…床に置く?」
真白、颯馬、阿部、深澤も集まる。
「………」
青年は、震える手でナイフを床に置く。
真白はにっこりと笑い、颯馬が静かにナイフを回収する。
「女性に、指示されたの?」
俯く青年に、深澤が問いかける。
その質問に青年は目を見開いて驚く。
「あの女を、知ってるの?!あの女が、あの女が言ったんだ!!向井くんをここに呼び出して、一緒についてきたやつを殺すように…!!そしたら、なんか無性にその気になって…それで、こんなこと…!!!」
青年の必死の弁解に、7人はやっぱりそうかという顔をする。
「……向井くん、目黒くん。この子への今後の対応については君たち2人に任せるよ。」
真白は1度、颯馬と顔を合わせたあと向井と目黒に笑いかける。
今後の対応。
この青年をどうするかを2人に任せると言っている。
もちろん、2人も判断は決まっている。
緊張した様子の青年の前に見下ろすように立つ。
そして、
「……まだ、こん人は何もしとらん。」
「利用されてただけ。それに、女と接触している人物でもある。」
向井と目黒は真顔のまま淡々と告げた後、表情を緩める。
「まだ、引き返せるやろ?」
「反省もしているようですし、俺らに彼を処罰する権利はないですよ。」
青年に、手を差し伸べる。
青年を家に送り届け、7人はホテルに向かっていた。
「颯馬さん、真白さん。ホテルまで送っていただいて本当にいいんですか?」
「もちろん!俺はもっと5人といたいからね。」
颯馬と真白の宿泊するホテルと阿部たちの宿泊するホテルはかなり離れている。
それでも真白と颯馬は笑顔で送り届けると言ってくれたのだ。
「……それに、”まだ終わってないからね”。」
笑顔のまま続いた真白の言葉に、5人は固まった。
背後から、大きな気配を感じた。
「………ふふ、さすがですね。」
背後から響いた、かわいらしい声に7人は振り返る。
暗闇のせいで影が動いているようにしか見えない。
タイミングが重なり、雲によって隠されていた月がだんだんと姿をあらわにしていく。
それと同時に、影がはっきりと輪郭を描いていく。
その姿を、知っている。
月に照らされ、姿を表した女。
「ごきげんよう、Snow Manとdominatorの方々。」
女はにっこりと微笑み一礼をした。
「……お前…!」
渡辺は、怒りを表情に出す。
そう、この女こそが渡辺に接触をした挙句、眠りにつかせた。
「……」
深澤は静かに警戒を強める。
そう、この女こそが深澤に接触をを試み、他メンバーとも接触を図ろうとした。
「……やっと、姿を現したか。」
颯馬と真白は、5人を庇うようにして前に立つ。
「ご安心ください。攻撃をするつもりはないので、どうぞ気楽に。」
警戒を強める7人を見て、女はにっこりと微笑む。
真白もずっと笑顔を貫いていたが、この女の笑顔は真白の笑顔とは違う。
どこか、その笑顔に恐怖を覚えるようなものだった。
「…それじゃあ、何のために…?」
阿部が警戒しながら女に問いかける。
「あなたは一体何が目的なんだ?」
その質問に女は口元に手を当ててくすくすと笑う。
「そうですね…このままコソコソと姿を隠しながら行動というのは、皆様に失礼なのではないかと思いまして。自己紹介、というとこでしょうか?」
「自己紹介…?」
「ええ、これから付き合いは長いでしょう。私、芙月(ふづき)と申します。どうぞお見知り置きを。」
女…芙月はスカートを両手でつまみ、深々と礼をする。
微笑み方、笑う時に口元に手を当てる仕草、スカートをつまむ礼…
彼女からは、どこか上品なお嬢様のような気配を感じる。
その様子に調子が狂いそうだ。
「そして…確認したいこともありまして…」
芙月はコホンと咳払いし、目を細める。
その瞳は、月の光を反射し怪しく光っていた。
「どなたか、”漆黒の龍の所有者”をお知りではないでしょうか?」
その言葉に、深澤は固まる。
深澤だけではない。
真白、颯馬を除く4人も固まる。
芙月の狙いは、”漆黒の龍”だ。
「漆黒の龍…最近噂に上がっているやつだね。」
「悪いけど、俺らは知らないかな。」
フードの男とSnow Manの戦いの詳細を知らない2人にとって、漆黒の龍など知ったことでは無い。
「そうですか…あなた方は?」
芙月は少し残念そうにし、次に固まる5人に向き直る。
「この子達も、何も知らないよ。」
「そうそう!ここには情報なんてないよ。これで十分?」
何も答えられない5人に代わり、颯馬と真白が即座に答える。
芙月は少し瞳を鋭くした後、
「……そうですね。はい、これで十分です。夜も遅いので、私は帰ります。」
すぐににっこりと微笑む。
「ふふ…今夜は、素敵な出会いがありましたわ。私達を照らし出してくださった美しい月に感謝ですわね。」
芙月は笑いながらしばらく月を眺める。
「皆様、この度は素敵な物語を見せていただき誠に感謝しております。楽しく見物させていただきました。」
「あっはは!見世物じゃないんだけどな?」
真白は、笑顔のまま答える。
たしかな、怒りのこもった笑顔で。
初めて見る真白の怒りに触れ、颯馬以外が少し固まる。
だが、芙月はすぐに口角を上げる。
「…やはり、”人間の感情”は興味深いものですわね……失礼しますわ。」
そのまま、芙月は深々と頭を下げ、暗闇に溶けて消えた。
「……っ…!」
芙月がいなくなり、一気に緊張がとける。
向井、渡辺はその場に膝を崩す。
阿部、目黒、深澤は大きく息を吐き出す。
「……なんなの、あの人は…?」
「みんな、よく頑張ったね。」
真白が、5人に優しくほほ笑みかける。
「想像以上に不気味で底が見えない相手だったね。」
颯馬も、渡辺と向井に手を差し伸べる。
「漆黒の龍の、所有者……」
深澤は、呆然と呟く。
ゆっくり、自分の手のひらを眺める。
その手が微かに震える。
芙月は、深澤のことを探している。
それを、知ってしまった。
世の中には、知らない方が良かったことが存在しているようだ。
それを知ってしまったせいで……
「…ふっか!?」
「ふっかくん!?どうしたの?大丈夫?」
身体がガタガタと震え出した深澤を、即座に阿部と真白が支える。
「はぁ…っ…!はっ…はっ…」
呼吸が苦しくなる。
頭がグワングワンと揺らされているような感覚に襲われる。
視界がチカチカと点滅しており、立っていることでさえ辛い。
そのまま、深澤は意識を手放した。
「………ん…」
深澤は、ゆっくりと目を開ける。
手に感じる温もり。
男らしい、少しゴツゴツしている手の感覚。
何よりも、安心できる手の感覚。
「……ひ、かる…?」
「…ふっか!!」
目の前には、東京にいるはずの岩本がいた。
「なんで、ここに…?」
深澤はまだぼんやりとしている意識の中、岩本がここにいる事実に驚く。
その様子を見て、岩本は柔らかく笑う。
「…大烏が、ここに連れてきてくれた。」
「大烏が…?あ…そっか…あの子、空間転移できるじゃん…はは、すっかり忘れてたや。」
よく見てみると、岩本の肩の上には烏が乗っていた。
「もしかしてさ、佐久間たちもいるの?」
ぼんやり笑いながら、深澤は岩本に問いかける。
「うん。みんなで来た。ごめんね、来るなって約束破ってさ。」
「いや、いいよ。すごい、安心した…」
深澤がゆっくりとベッドの上から降りる。
それを岩本が支える。
大烏に見守られながら、2人はみんなの待つ場所へ向かう。
「あ、ふっかくん!起きたんだね。」
部屋の扉を開く前に、なぜか背後に真白が立っていた。
いつも通り、深澤に触れようとしたが、隣の岩本が深澤を自分の元へ抱き寄せ、真白の手は空を切る。
「あはは!相方くんが来ちゃっから触るのも難しくなっちゃったぁ!」
思いっきり真白を睨みつける岩本を愉快そうに見つめる。
そして、表情を緩め、
「ほんとに、問題なさそうでよかったよ。それじゃ、入ろっか。」
部屋の扉を開く。
「ふっかさーん!!!!」
「ぐへっ…!」
扉を開けた瞬間、深澤の元へ向井が全力で抱きついてくる。
「ホンマによかったー!心配したんやで!」
向井だけではない。
岩本、真白、阿部、目黒、渡辺、颯馬、佐久間、宮舘、ラウール…
全員がホッとした表情で深澤のことを見つめていた。
「それで、俺らはSnow Man…特に深澤くんから聞かないといけないことがあるんだけど…」
気を取り直して、颯馬は真剣な表情で周りを見渡す。
「みんなは、漆黒の龍を知っているんだね?」
「……はい。」
深澤は、ゆっくりと頷く。
「それについて、詳しく聞きたい。いいかな?」
深澤を除く8人は黙る。
颯馬は、深澤を見つめる。
深澤は、迷っている。
本当に、真白と颯馬に伝えていいのか…?
その迷いに、真白は気づいたのだろう。
「ふっかくん、安心してよ。言ったでしょ?俺らは永久的にSnow Manの味方だよ。」
優しく深澤に笑いかける。
「……!」
その笑顔に、深澤は目を見開く。
また、初めて見る笑顔。
誰かを安心させる笑顔。
嘘偽りのない笑顔だった。
深澤は、ゆっくり話し始める。
フードの男は、深澤のことを利用してこの世界を支配しようとしていたこと。
フードの男との戦いの全貌。
漆黒の龍は、深澤の心の闇によって生み出されたものであること。
フードの男を逃がしてしまったこと。
漆黒の龍は、岩本が深澤を救い出したことで消えたこと。
まだフードの男が深澤を狙っていること。
芙月は、フードの男と繋がっている可能性。
その戦いを、芙月が見ていたこと。
その全てを話した。
真白と颯馬を”信用”して。
「……今まで、話せなくてごめん…」
深澤は、震える声で謝罪する。
「…ふっか、頑張ったね。」
岩本が深澤のことを抱き寄せ、静かに頭を撫でる。
「話してくれてありがとう。これは、誰にも話さない。だから安心して。」
「こんなことで、ふっかくんに対する感情は変わらないしね。」
颯馬と真白は、笑顔で深澤を見つめる。
深澤は、自然と笑みがこぼれる。
「ありがとう。」
今回の一件で、Snow Manとdominatorは互いの多くに触れた。
この2チームの関係は、これから途絶えることはないだろう。
これからは、Snow Manだけではない。
dominatorという、頼もしい”仲間”がいるのだ。
「帰ってきたぞー!!!」
佐久間の大きな声が響く。
神奈川組は、帰ってきたカフェの雰囲気に安心を覚える。
Snow Manにとって、帰ってくる場所はここなのだ。
「5人は疲れてるはずだし、今日は休んで。」
「詳しいことは明日話そうか。」
宮舘とラウールの提案に賛成し、今日は完全オフの日となる。
各々が好きなように過ごす日。
目黒と向井は散歩に向かい、渡辺、宮舘、ラウールはショッピングに、岩本と深澤は少しドライブに向かう。
そんな中、阿部と佐久間は部屋にいた。
「あべちゃん…ほんとに、よかった…」
佐久間が、静かに呟く。
少し泣きそうな表情を浮かべながら、それを抑えるように、阿部を見て笑う。
「すごい、危なかったって聞いてさ、すんごい心配した。でも、ほんとに…ほんとに…生きてて……よかった…」
「佐久間…」
阿部が、静かに佐久間を抱きしめる。
「心配、かけちゃったよね。ごめんね、不安にさせちゃって。」
「なんであべちゃんが謝んの…?生きててくれてるだけいいって…!」
佐久間も思いっきり阿部を抱きしめる。
「今日はさ、佐久間のお願いなんでも聞く日。心配かけたお詫び。」
「え!?マジで!?」
2人でベッドの上に座り、阿部が佐久間に笑いかける。
阿部は、いっぱい我慢をしてくれた佐久間をおもいっきりに甘やかしたいのだ。
「何個でも!?」
「うん、何個でも。」
「どんな願いでも!?」
「うん、どんな願いでも。」
「えええ!!!どうしよう!!!」
目を見開きながら質問をする佐久間を、愛おしそうに眺める阿部。
(やっぱり、俺は佐久間がいるから死ねないな。)
阿部は、佐久間が隣にいる限り死ぬことは許されない。
そう、確信していた。
「佐久間?時間は限られてるよ?」
数十分経ち、それでも悩み続ける佐久間に阿部は声をかける。
「そうだよねー…そうなんだよ、あべちゃーん!!」
佐久間は、むむむという顔をしながら阿部に抱きつく。
そして、ようやくお願いを口に出す。
「じゃあさ、あべちゃんからキスしてよ。」
恐らく、冗談半分でもあるのだろう。
「…いや、さすがにこれは駄目かぁ?」
すぐに、笑いながらやっぱりなしかと呟く。
阿部は小さく微笑み、佐久間に顔を近づける。
「…にゃ…?」
「いいよ、なんでも叶えるって言ったのは俺だしね。」
驚きで少し開いた佐久間の唇に、自分の唇を重ねる。
「…ん…んふふ…マジでなんでも聞いてくれんじゃん…!」
佐久間は嬉しそうに笑う。
「まあね。他にも、なんでも聞くからね。」
阿部も幸せそうに微笑む。
「……じゃあさ、久しぶりにしようよ。」
「……おお、そう来るか。」
急な佐久間の”お誘い”に阿部は少し驚いた。
確かに今は家に誰もいない。
2人きりで、絶好のチャンスだろう。
だがしかし
「佐久間?まだ午前中だよ?」
時間帯は午前だ。
それに、なんでも聞くと言ったが、さすがに急すぎる。
「ふっふっふ!時間なんて関係なーい!」
佐久間は笑いながら阿部の首に腕を回す。
そのまま自分の元へ引っ張る。
「……ぅわっ!」
その勢いで阿部が佐久間のことを押し倒す体勢になる。
「ムードが大事じゃん?」
「………そうかな?」
「そうだよ!」
にこにこする佐久間と表情には出さないが焦る阿部。
珍しく阿部が佐久間に翻弄されている。
きっと佐久間はそんな阿部の心もお見通しなのだろう。
「あべちゃんさ、俺の願いなんでも聞いてくれるんだよね?俺…寂しかったんだよ?だからさ、」
佐久間は頬を緩めて、色気のある表情をする。
「俺のこと、どろどろに甘やかしてよ。」
その一言で、阿部の心拍数は上昇中。
「……うん、そうだね。」
阿部は、務めて冷静に対応する。
そのまま、2人は甘い空気の中で幸せな時間を過ごした。
寂しかった時間を、埋め合わせるように。
コメント
2件
第41話、一気に核心へ迫る展開でどきどきしながら読みました!深澤くんがようやく颯馬さんと真白さんに真実を話せたシーン、本当に胸が熱くなりました…「信用して」の一言がすごく重くて、あの場面の空気が伝わってくるようでした。芙月さんの登場も不気味で、これからの話がますます気になります!最後の阿部ちゃんと佐久間さんのあたたかい時間、ほっとする余韻をありがとうございます🕊️