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結月さんの表情には、焦りも混じっている気がする…と思いつつ眺めていると、やがて担任が戻って来る。
「……冬月。言いたい事は…分かるよな?」
担任がそう言って、話しかけてくる。
「先生が言わない限りは確信は持てませんので。」
「…政府からの要請だ。お前の異能持ちが発覚した。可能なら今日中に来て欲しい…との事だ。」
呆れの表情でため息をつきながら、こちらの返答から少し間を開けて、担任は答えた。
そう言った後の顔は、持っている用紙が阻んで見る事は叶わなかった。
「分かりました。」
そう返事を返すと、先生が一瞬驚いた顔をしたのを見た。その後すぐにほっとした表情になると、再び結月さんの所に言って、何かしらを話していた。
(荷物は…今鞄に入ってる物だけでも大丈夫ですね。)
念の為にと一応、鞄を開いて中身を確認する。
中身を出せずとも全貌を把握出来る程に少ない荷物は、自身にとって必要な物が全て揃っていた。
たったこれだけで暮らせていたのか…と内心驚きつつも、平常を保ちながら鞄を閉じて元に戻す。