つづき
🐰がかなり変態
◇
🐰 side
とたとたと風呂場へ向かう足音を聞き、はぁ……とため息をつく。
「なんで俺家に誘っちゃたんだんだろ…」
うぁぁぁぁと1人で唸りながらも、まぁしょうがないな……と納得する。だってかわいい俺“だけ”の後輩が終電を逃して泊まるところもなくてタクシーで帰るか歩きで帰るかしか選択肢がなくなったんだぞ…?
そんな……そんな、タクシーに乗せることなんてできない。もしそのタクシーの人がミョウジが可愛すぎるという理由で連れ去ったら……?もしひとりで歩いて帰っているときにかわいすぎて攫われたりそういう店やホテルに連れ込まれたら……?
考えたら考えるだけ深みにハマっているようで、すぐさま思考をシャットダウンさせる。
静かに部屋でスマホを見ていると、シャワーの音…それと、ミョウジのなんともかわいらしい鼻歌が風呂場の方から聞こえてきた。
はぁ…!?悪魔かなにかなのあの子は!なんでそんなにかわいいんだよ!!ふざけんな!!!好き!!!!!!
「あ゙〜〜〜…むり……すき………」
だいすき。もう愛が限界突破した。
そこで俺はふと思う。…下着、無くね?と。
「待てそれはまずい!」
今日のを着回すのは潔癖気味なミョウジからすれば気分的にも良くないだろう。だがしかし買ってきてやろうにもサイズがわからないしなんとも思ってない男の先輩から下着を買われるのってどうなんだ?いやナシだろ。
しょうがない。ミョウジに聞くしかない……よな。
いや全然?風呂入ってるミョウジの近くに行けてラッキーなんて思ってませんけど?下心なんてないですけど???
コンコン。
「ミョウジ、下着どうする。俺買おーか」
あっダメだこれめっちゃきもいな俺。
『えっあっ…忘れてました。なくてもいけます!』
「いやいやいやいやミョウジほんとにそれはダメ」
透けたらどーすんだ!!!!あとズボンの下に何も履いてないって想像すると興奮するからダメ!!!
『そうですか?…ならお願いします。ええと…サイズは』
「S、M、Lのどれ?」
このままでは胸のサイズを口に出してしまいそうなミョウジを遮り、選択肢をつくる。さすがにそれはまずいだろ。男だぞ。ほんとに意識されて無さすぎて俺今泣きそう。
『Mです。お願いします』
「ん、了解」
『わざわざありがとうございます』
「全然」
早く早く早く早く!!
一刻も早くここから出なければ今にも襲ってしまいそうだ。だって!だって!!この1枚だけのドアを挟んだ向こうにミョウジがいるんだぞ!?しかも裸の!!
…いや冷静になれ、きもいぞ、俺。さっさと家を出てコンビニまでダッシュしろ!!!
◇
無事帰宅。
多分走ってる時の俺はにやけすぎているのか無心にしようと必死で般若だったのかは分からないが。相当酷い顔だったんだなーと思う。
だってすれ違った時に振り返る全員の顔がめちゃくちゃゴミを見るような目をしてたから。
まあとにかくミッションクリアだ。
「ここに置いとくわー」
『了解です、ありがとうございます』
素早く上下の下着セットを置き、そして素早くリビングへ戻る。
「よくやった俺…よく耐えた…」
まだ心臓がバクバクと言っていて、自分では冷静だと思っていたがそうでもないのだと分からせられる。まじで寿命縮んだんじゃね?……あ、落ち着いてきたかも。
『お風呂ありがとうございました、次先輩どうぞ』
そう思った矢先、肩にタオルを掛けたミョウジが廊下から現れたのでまた俺の心臓は騒がしく暴れ回っている。
タイミングが悪すぎる。でもミョウジかわいい。
お風呂上がりで少し火照った顔、まだ少しぽたぽたと水が落ちてくる髪。そして極めつけは彼シャツである。こんなんもう結婚じゃね?俺ら籍入れてたっけ?
だぼっとしたパーカーに、これまただぼだぼなジャージ。だらしなさすぎて可愛すぎる。いつも結んでいる髪も下ろしているし、本当に付き合っているかのような幻覚に陥り……そうになった。
破壊力やべぇなまじで。あんま見すぎないようにしよ。
『……せんぱい?』
「…あ、ごめ、ちょっとぼーっとしてたわ」
『お疲れですね。お風呂どうぞ』
「ん。ありがと。髪乾かしときなよ、そこにドライヤーあるし、ヘアオイルも……良ければあるから」
『意外と女子力高めですね』
ミョウジがふわりと笑うと同時に、俺の家のシャンプーのにおいが鼻をくすぐる。心臓に悪い…早く風呂入ろ。
◇
『……あ、先輩、』
「ん、上がった」
『今から私アイス買いに行くんですけど、先輩なんか食べたいものあります?』
ついでに買ってきますよ、とミョウジが言う。
……は?うっっっそだろ?その?格好で?攫われるぞ?
「おれもいく」
『え、いいですよべつに』
「だめ。俺も行く」
『そ、うです?じゃあ行きましょう』
「ちょいまって、準備する」
『了解です』
さすがに1人で行かせるわけにはいかないので、ぱぱっと準備(と言っても軽く髪を乾かすだけだが)をし、一緒に家を出る。
なんかこーいうのいいよな、夫婦……とまではいかなくとも、カップルっぽくて。
ちら、と横にいるミョウジに目をやると、ふんふーん、となにやら鼻歌を歌いながら歩いていた。かわいい。
あーーーー、ほんと、攫いてぇ。
ずーっと俺の家にいてくんないかなぁ。
仕事もやめて、家族、友達、同僚、全員と縁切って、ずぅっと俺とだけ、いてほしい。
…なんてな。
◇
だらだら続けてたからめんどくなって最後めっちゃむりやり終わらせました
コメント
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暴走したらどうなるんでしょうね(?