「 雪降る世界に真紅の華を 」

『　雪降る世界に真紅の華を　』

ー　余流　ー

　（余ったものが形を見せなくなる孤独を表す言葉）

白咲雪乃は実際、虐められていた。

私の知る限りでは、机の落書きは毎日。

物もよく無くなっていたし

席が水浸しだったこともあった。

それなのに白咲さんは何も言わなかった。

何を考えているのかも分からないような

氷の様な瞳で、深く呼吸をして、

表情一つ変えずまつ毛を揺らす

あの子に何処か似た横顔で。

これが虐めの原因のひとつだったのだろう

虐めていたのはクラスの中心的な男女6人程

その様子をみんなは見て見ぬふり

だから、教室は静まり返っている。

虐めに少しでも関与しているから。

行方不明について調べれば、

いつかは虐めに辿り着く

直接虐めた訳ではないけれど

見て見ぬふりをしていたのは事実で

みんな自分の罪から逃れようとしている

それでも虐めの主犯である岡本や 、

それに乗っかって虐めていた人達は

ことの重大さに気づいていない。

だから

行方不明の白咲雪乃の机に花を置いた

警察沙汰になっても虐めをやめない

ここまで来てもみんなはずっと、黙っている

罪から逃れたいはずなのに

罪を重ねる

自分が大切だから

自分に矛先が向かないように