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朝。
スマホは、
静かだった。
通知は、
ない。
それでも、
画面を見る。
昨夜のやりとりが、
上に残っている。
涼真
会う前にさ
ひとつだけ
約束してほしいんだけど
その下。
涼真
初めて会う前は
他の人とは
会わないでほしい
“約束”。
まだ、
言葉として
新しい。
駅までの道。
人の流れ。
スマホを、
ポケットに入れる。
すぐ、
取り出す。
通知は、
ない。
昼。
仕事の合間。
画面が、
光る。
涼真
お疲れさま
今、忙しい?
普通。
とても。
紗良
ううん
大丈夫だよ
既読。
すぐ。
涼真
よかった
あのさ
一拍。
涼真
昨日の約束
ちゃんと守ってくれてる?
“守る”。
まだ、
始まったばかりなのに。
紗良
うん
短く返す。
理由は、
聞かれていない。
涼真
ありがとう
そういうの
信頼できるから
信頼。
悪くない言葉。
涼真
会う前って
大事だと思うんだ
何が、
大事なのかは
言わない。
涼真
最初にちゃんと
しておきたいだけ
ちゃんと。
また。
スマホを、
伏せる。
仕事に、
戻る。
でも。
“約束”は、
頭から離れない。
夕方。
画面が、
また光る。
涼真
今日は
誰とも会ってないよね?
確認。
やさしい言葉で。
紗良
うん
既読。
すぐ。
涼真
よかった
それ聞けて安心した
安心。
誰の、
安心だろう。
涼真
じゃあ
この調子でいこう
この調子。
何が、
基準なのか。
スマホを置く。
部屋は、
静か。
約束は、
破っていない。
でも。
“守っている”自分が、
もういる。
——静止。