テラーノベル
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(向井視点)
『目黒、ラウール、康二は……昼休みここにおいでよ』
さっきの深澤先輩の言葉が頭の中に響いてる。
深澤先輩なりの優しさっていうのは分かっとる。
……でも…
目黒くんとラウールくんが大変な目にあってて、先輩たちが協力してくれるっていうのに、俺だけ何もできないなんて嫌や。
俺やって、許せない…
俺やって、先輩たちみたいに何かがしたい。
俺に、できること……
先輩に勝手なことしないでっと怒られるかも知らん。
でも、俺やて役に立ちたい!!
『……チュンチュン』
「…んぅ…?」
外から小鳥のさえずりが聞こえてくる。
やけに痛む体をゆっくり起こすと、開けっ放しの窓から朝日が差し込んどる。
「………あ」
そうや、昨夜掲示板を漁っとったらいつの間にか寝てたんや!!!
あかん!今何時…!?
「8時半!!?あかん遅刻やん!!!!」
どないしよ…正門は8時20分に閉まるやん!
もう間に合わないことはわかってるけど、急いで準備する。
な、なんとかなれぇぇ!!!
「やっぱり閉まっとる…」
なんとか学校に辿りはつけたけど、学校の正門は無慈悲にも閉まってる。
しゃぁないよなぁ…裏に回って職員室寄ろ…
「あれ?康二じゃん!おっはよ〜」
「…ふ、深澤先輩…!!?」
な、なんで深澤先輩がここにおるん…?
「康二も遅刻?一緒じゃ〜ん、わら」
「あ…えと……」
困惑してる俺にニコニコ話しかけてくれる深澤先輩。
そして、俺の前まで来たかと思うと…
「よっ…と」
「………え?」
当然のように正門を飛び越えた。
「ほら、康二もおいでよ!」
「え?え、え??!」
正門の先で深澤先輩が手を差し出してくる。
俺もやるん…??
恐る恐る手を伸ばす。
いや、これやっぱ無理やない?
俺の身長よりもあるで…?
「……康二、背伸び!」
「へ?!は、はい、!」
前から響いた深澤先輩の声に従って背伸びをする。
「う、ひあああああ!!!!?」
「おぉ、ナイスナイス!わら」
そしたら、思いっきり腕を引っ張られて尻もちをつく。
「よし、行きますか!」
「ちょ、あ…深澤先輩…?!待ってやぁ!!」
深澤先輩に手を貸してもらって立ち上がって、急いで先輩の後を追いかける。
「あ、そうだそうだ」
と、思ったら急に先輩が立ち上がる。
「康二」
「な、何すか……?」
真剣な面持ちで肩を掴まれて緊張してくる。
な、何の話されるんやろう…
「ずっと前から思ってたんだけどさ」
ずっと前から……!?
先輩は言うのを躊躇うみたいな感じで、目を逸らしながら息を吐いてる。
あかん…俺何かしたん…?
junp_
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#あべさく
雫石
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#Snow Man
さくらさく🌸
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#ゆり組
雫石
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どんどん不安が膨らんでくる。
ついに意を決した先輩が口を開く…
「……康二、深澤先輩呼びやめない?」
「……………え?」
少しだけ理解するまで時間がかった。
な、名前の話なん!!?
そんな深刻そうな顔で!?
驚きのあまり声が出ない。
「やっぱりさ、ふっかって呼んで欲しいのよ」
「へ?いや、え!?」
先輩、3年生やん!無理や無理!!!
「ね、ふっか先輩でもいいからさ!ね?ね?」
「う、うえぇぇ…?!ちょ、先輩、近い…!!」
めっちゃキラキラした目で見てくるやん!!
む、無理や!!俺にはできひん!!!
「1回だけでもいいから!」
う、うぅぅぅ…!!
待ってや、これ、ほんまに呼ばんと職員室までいけないんちゃう!?
「……ふ…」
「ふ?」
「ふっか……さん…?」
俺がそういうと、先輩は一瞬目を丸くさせる。
ど、どうや…!
「……う」
「…う?」
うってなんや…??
「うはははははっ!!!さん付けかよ!わら」
と思ったら、お腹を抱えて笑い始めた…?!
「おもれぇ!さんで呼ばれるのなんて初めてなんだけど!わら」
「え…?え?」
「最高だわ!佐久間たちにもそう呼ばせよっかな?わら」
上機嫌になったらしい先輩……ふっかさん。
こ、これでええんや…
ふっかさんがこれでええんやったらいいんやけど……
「どうしてこんな急に…?」
恐る恐る聞いてみる。
ふっかさんは驚いたような顔をする。
「……康二には、苗字で呼んで欲しくないから、かな?」
「へ?」
俺には苗字で呼んで欲しくない?
でも、ほとんどの人が苗字呼びやんな?
「俺、苗字呼び好きじゃないんだよねぇ」
ふっかさんは含み笑いを浮かべてる。
苗字呼び、好きちゃうんや………
俺、今までずっとふっかさんの嫌な呼び方しとったん!!?
「苗字呼び、嫌いなんです……?」
今思うと、佐久間先輩に渡辺先輩、宮舘先輩も生徒会長さんも風紀委員長さんも、ふっかさんと親しい人みんな、ふっか呼びやん!!
あかん、ほんまに気づかなかった…!
そんなにふっかってあだ名で呼んで欲しいんや……!
「………ま、これは言わなくてもいいか、ボソ」
「へ?どうかしました?」
今、ふっかさんなんか言ったよな?
「んふふ、何でもない!わら」
「ほんまにですか?」
「ほんまにほんまに〜、わら」
笑いながら校舎にまた歩き出すふっかさん。
……一瞬、暗い顔してた気するんやけど……
「ふんふふん♪」
気のせいなんかな?
(深澤視点)
これで、俺の近くにいる人は全員苗字呼びはいなくなったかな…?
あ、いやいるな。
「ねえねえ康二」
後ろをてこてこついてくる康二に声をかける。
「?何です?」
「お願いなんだけどさ、ラウールと目黒にも俺のことふっかさんって呼んでくれるよう伝えといてくんない?わら」
「…………え?」
やっぱり、これから関係が長く続くであろう子たちだからね。
深澤先輩なんて呼ばれたくない。
俺のこと、ちゃんと知って欲しいもん。
うるさい大人たちが呼んできた優等生の深澤でも、勝手にキャーキャー言ってくる生徒たちの深澤でもない。
…………父さんと、同じじゃない。
同じになんてなりたくない。
うーん、苗字って変えれないのかなぁ……裁判とかでどうのこうのって話は聞いたことあるけどめんどくさいし……
は…!
方法ならあるっちゃあるな。
俺、今18じゃん!で、今照が17だから……
あと1年で結婚して籍入れて改姓できんじゃん!
「………あ」
俺……まだ照と交際してなくね……?あれ?
てか、俺……何で当たり前に照と結婚なんて………
「ッッッ///」
やばい……さすがにやばすぎるだろ、俺……!!!
な、何で、え?はぁ?!///
「……ふっかさん?どないしたん?」
「な、ななななな何でもない!!!」
「顔真っ赤やで?」
「大丈夫!!!///」
慌てて顔をカバンで隠す。
やばい……こんなことこそ康二に言えないって…!!
「ボソ…岩本辰哉………」
「んぇ?岩もt
「やっぱ何でもな〜い!!!!!!??///」
はっっっっっず!!!!!!!!!!
「………はぁ…」
体育館の裏、息を吐きながら遠目にグラウンドを眺める。
今は、2年生がサッカーしてるんだ…
2年生……
康二は偉いなぁ、わざわざ職員室行くなんて。
俺は絶対行きたくないね!わら
それで、2年生のサッカー……
「会長!!そっち行った!」
「おーけい!」
あ、阿部ちゃんの声だ。
……てことは…
「照ー!!パス!」
「ん」
阿部ちゃんの明るい声と照の声。
「……わ…」
ボールが地面を跳ねる音と、短いシュート音。
審判の笛の音と聞こえてくる歓声。
「照!ナイス!!」
「阿部も、ナイスパス」
照と阿部ちゃんのハイタッチを見て、俺もつい拍手を送る。
いいないいなぁ!
俺もサッカーしたい!!
そうだ、確か体育倉庫にあまりのボールあったよね?
それ取りに行ってリフティングでもしようかな?
「ふんふふ〜ん♪」
いーち、にー、さーんっと……
足だけじゃなくて頭でもとっちゃったりしてね。
昔、翔太と一緒にサッカーしてたっけな〜。
涼太も結構うまかったんだよね。
でも、佐久間はてんでダメだったな!わら
壁当ては……怒られそうだからやめとこ!
とりあえず、リフティング何回行けるかに挑戦してみよ…
「………あ…」
そう思って上に上がったボールを見ようとした時、そこにいた。
大きな、虫………
「うわああああああ!!!!!!!!!???」
思いっきり拳を振り上げる。
何でこの季節に虫がいるんだよ!!?
でも、俺の拳が当たったのは虫じゃない。
サッカーボールが、すごい勢いでグラウンドまで転がって行く。
やっべ!!!!
ボールはコロコロとグラウンドに転がって、別の方を見てた阿部ちゃんの足元で止まる。
「……?え?ボール…?」
不思議そうにボールを手にする阿部ちゃん。
わあああああああ……!!!やばーい…!!!!
取りに行ったら確実に2年の熱血体育教師に捕まる…
学校来てるのもバレるし、ネチネチ学年主任にバレたらこの世の終わりだよ!
「照、このボールって照の?」
「え?違うけど?」
やばいやばい、照にも話が……
うわぁ、どんどんみんなが集まっちゃってるよ…軽い怪事件になっちゃってるよ…!
熱血教師まで参加しちゃってる…!
ボールの数はそれを抜いてぴったりなのにおかしいなってるよ!!
「……し、し〜らない!」
ボールを余分に片させちゃうのは申し訳ないけど、今は教師にバレないことが1番大事!
屋上にでも逃げ込んで昼寝でもしてよ!!
(佐久間視点)
「ざしきわらし?」
「なんか出たらしいよ」
昼休み、翔太からそんなこと聞いた。
今日、座敷童が出たらしい。
いや、どういうことだよ?
「今日の2年の体育で、座敷童が出たんだって」
「体育の時間?なんかとんでもない幸運でも起こったの?おかっぱ和装の女の子でも出た?」
座敷童って、こんな都内の中心の学校に出てくるかぁ?
「見知らぬボールがどこからともなく現れたんだって。で、どこを探してもボールの持ち主はいなかったらしいよ」
「……ほーん…?」
「座敷童が遊んでたのかもしれないっていう噂」
「サッカーで?座敷童、サッカーで遊んでたの?!」
そんな、そんなことある?!
俺サッカーできないのに、座敷童はできるの?!
あの和装で?おかっぱの小さい子にあのでかくて硬いボールが転がせると…!?
うっそ…なんかショックなんだけど〜…
「確か、会長と委員長もその場にいたらしいよ」
「え?!阿部ちゃんと照も!!?」
2年の体育だし、そりゃそうか。
じゃ、後で話聞こ〜!
「おっ!康二たち来てる〜!」
生徒会室兼風紀委員室に入ると、康二、蓮、ラウの3人が揃ってた。
3人全員、安心してる顔してるな。
翔太と一緒に近くのソファに腰掛ける。
「ねぇねぇ、3人は座敷童の話聞いた?」
「「「座敷童?」」」
3人はきょとんってした顔でこっちを見る。
ふんふん、知らないようだな!
「よっし!翔太、説明したれ!」
「俺がすんのかよ!」
そんなこと言って自慢げに話すくせに〜、笑
「みんな、何の話してるの〜?」
「もう来てたんだ」
お!噂をすれば…
「阿部ちゃーん!!♡と、照!」
勢いよく阿部ちゃんに抱きついて、照にヒラヒラ手を振る。
こっからは、この怪事件に立ち会った張本人の事情聴取だ!笑
「座敷童について教えてよ〜!」
腕にギュウギュウ顔を押し付けて阿部ちゃんを隣に座らせる。
「座敷童…?照、知ってる?」
「いや、全く……」
阿部ちゃんは不思議そうに照に視線を送ってるけど、照も知らない?
張本人が知らないパターンのやつだ!!
俺、翔太、康二、蓮、ラウの全員の期待の目を受けてるけど、怪事件に立ち会った2人だけは不思議そうな顔をしてる。
「……もしかして、体育のやつかな?」
阿部ちゃんがようやく気づいてくれた!
思いっきり首をブンブン縦に振る。
「急にボールが転がってきたやつ?」
照も顎に手を当てて思い出したように言う。
「そうそうそれ!」
「な、な、どんな感じだったの?」
俺と翔太で2人を問い詰める!
さぁ、教えてくれ!!
「座敷童はちょっとわかんないけど、急にボールが足元に転がって来たんだよね」
「それも、誰かが使ってたボールじゃないやつ」
「………む、それだけ?」
「「それだけ」」
俺が思わず聞き返すと、2人は真顔で頷いた。
俺と翔太、そしてラウは一気に冷めてく。
もっと不思議な話を期待してたんだけどなぁ……
そりゃそうだよな、座敷童なんているわけないし!
渋々ストローの袋を破ってカフェラテの蓋に刺す。
うん、相変わらずうまいな!
「……でも、なおさら不思議じゃない?」
「誰がボールを蹴ったかはわかってないんやろ…?」
カフェラテを堪能してると、蓮と康二がそんなこと言い出す。
むぅ、確かに?
「その場に誰もいなかったんでしょ?」
「そうだね」
俺の質問に照は頷く。
「倉庫の扉は?」
「鍵は開いてはいたけど、扉は閉まってたから風で飛んでくるとかもないね」
次の質問に阿部ちゃんが詳しく説明してくれる。
……え?じゃあ、ほんとに座敷童?
これは、大事件だぞ……
この学校に座敷童……
えぇまじか!!なんかワクワクしてきた!!
___ガチャ
「全員揃ってるね」
「やほぉ、わら」
お!涼太とふっかも来た!
「2人でなんて珍しいね」
翔太のちょっとむすってしてる声……嫉妬してんな〜、笑
「ここに来る途中で見つけたんだ」
「せっかくなら一緒に〜ってね」
「ふ〜ん……」
あーあ!翔太拗ねちゃった〜!
もちろん涼太もそんな翔太に気づいてるから、翔太の隣に自然と座る。
みんなの前で堂々とイチャつけるのすげーな、笑
あ、俺もか!笑
「2人はさ、座敷童の話聞いた?」
「「座敷童?」」
ちょっと機嫌が良くなったらしい翔太を横目に、早速話を切り出した。
「……ってことがあったのよ」
2人に座敷童の話をした。
改めて話すとほんとに不思議な話だな。
みんなで首を傾げる。
まぁ、頭いい阿部ちゃんにさらにふっかも加わったわけだし、この謎も解けるべ。
そう思ってふっかの顔を見てみる。
ふっかは口元に手を当てて……なんか、笑顔引きつってね?
「ふっか?お前、顔どうした?」
単刀直入に聞いてみた。
「え、えぇ?か、かかかか顔…、?別に、別になぁんもないけど、?!」
『………』
ふっか以外の全員の視線が集まる。
こいつ、絶対なんか知ってんだろうが!!
「い、イケメンすぎて、みんな惚れちゃってんじゃな〜い?」
わかりやすすぎる焦り具合…こいつ、こんな嘘つくの苦手だったっけ?
俺と翔太でふっかの肩を掴む。
「お前、何か隠してんな?」
「俺らにも教えてくれよ」
有無を言わせない悪い笑顔を浮かべる。
「……はひ…」
「だ、だから……座敷童は俺なんです…」
ふっかの自白。
え?つまり……
たまたま阿部ちゃんと照のサッカーしてるとこを見て、自分もしたくなっちゃって、それでリフティングしてたら大きい虫が現れて?その虫にビビって殴ろうとしたらそれがサッカーボールで?グラウンドにコロコロ転がっちゃって、先生にバレるのが嫌で逃げたら座敷童って噂になりましたって……
「お前、何してんだよ」
翔太のここにいる全員の声を代表した言葉。
流石にアホすぎるだろ!!
みんなからの呆れた視線を向けられてあわあわしてるふっか。
「だ、だってしょうがないじゃん!!ほんとにおっきかったんだよ!こーんなに大きかったの!ほんとだもん!!」
言い訳がメイちゃんかよ!なんだほんとだもんって!
かわい子ぶりやがって!
「まぁ、和ませ役としては最高じゃない?」
「ね、これくらいの噂がちょうどいいんだよ」
阿部ちゃんがやわらかく笑うから俺もそれに乗る。
そうだよな、これくらいの噂が楽しいの。
噂は、誰かを傷つけるだけじゃない。
都市伝説とかそういう誰かが楽しめる“役割“だってある。
だからこそ、俺らはあいつを許しちゃダメなんだ。
“みんなの秘密を暴き隊“……
絶対捕まえてやるんだからな!!
コメント
7件
💜の「ほんとだもんっ」✨ありがとうございます🙇好きぃ💘
自分で考えて、自分で照れちゃうのほんとにかわいすぎて...🤦♀️💕 結婚とか特大💛💜助かります! みんなも座敷わらしの話題で盛り上がってたり?、ふっかさん呼びになったりで和みます!
iwfkありがとうございます…‼️ 今回もめちゃくちゃよかったです! ちょっとずつ仲良くなっていってるのが嬉しい…✨️