テラーノベル
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ネクタイでまとめられた手首。
逃げられない距離。
それなのに――
エリオットは、ふっと笑った。
「……ねぇ、チャンス」
「なんだ」
「これさ」
軽く手首を動かす。
きし、とネクタイが鳴る。
「縛ったつもり?」
「つもりじゃねぇ、縛ってる」
「そっか」
小さく頷く。
そのまま、ゆっくり前に体を傾ける。
拘束されているはずなのに、
自分から距離を詰める。
「じゃあさ」
顔が、近づく。
逃げ場はないはずなのに――近づいてくるのはエリオットの方。
「なんでそんな余裕なの?」
チャンスの目がわずかに細くなる。
「……は?」
「だってさ」
声が少しだけ低くなる。
さっきまでの照れが、ほんのり残ったまま。
「普通、縛られてる方が不利じゃない?」
「当たり前だろ」
「でもさ」
エリオットはそのまま、ぐっと距離を詰める。
肩に軽く触れる。
逃げられない状態で。
「今、どっちが逃げられない?」
一瞬の沈黙。
チャンスの呼吸が、ほんのわずかに止まる。
エリオットはそれを見逃さない。
にやっと笑う。
「ほら」
さらに一歩。
「近いでしょ」
「……お前が来てんだろ」
「そうだよ」
即答。
そのまま、顔を傾ける。
触れそうで触れない距離。
「じゃあさ」
囁く。
「避けてみてよ」
挑発。
完全に。
チャンスは動かない。
動けない。
一瞬、時間が止まる。
エリオットはそのまま――
肩口に軽く額を預ける。
ふっと息を吐く。
「……ほら」
小さく笑う。
「捕まってるの、そっちじゃん」
静かな一言。
チャンスの指がわずかに動く。
でも、離さない。
エリオットはそのまま顔を上げて、またネクタイを見る。
自分の手首に巻かれたそれ。
「これさ」
「なんだ」
「外してほしい?」
少しだけ首を傾ける。
「それとも、このままの方がいい?」
チャンスは一瞬だけ黙る。
その間を、エリオットは楽しむように笑う。
「どっちでもいいけど」
さらに距離を詰める。
ほとんど触れている。
「どっちでも、逃がさないから」
その言葉に、空気が変わる。
チャンスの目が、はっきりと細くなる。
「……言うようになったな」
低く呟く。
エリオットは少しだけ照れたまま、
でも笑う。
「誰のせいだと思ってんの」
「……俺か」
「そう」
即答。
そのまま、少しだけ間を置いて――
「責任取ってよ」
軽く言う。
でも、目は逸らさない。
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ゆゆゆゆ