テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠️注意⚠️
🎲
nmmn
BL、青失恋
赤水付き合ってます
青桃
俺は、いつからこんなふうになってたんだろう。気づかないふりをしてきただけで、ずっと前から壊れかけていたのかもしれない。
仕事と両立しながら、必死に走り続けてきた。
だけど、まろが疲れて倒れそうになれば、みんなはすぐに駆けつける。
「まろは無理させたら危ない」
「まろは守らないと」
そのたびに俺は笑って、
「大丈夫、俺がやっとくから」って言った。
──本当は、全然大丈夫じゃなかったのに。
熱があっても、喉が痛くても、身体が悲鳴を上げても。
「ないこなら大丈夫」って言われれば、
無理やり笑顔を作って、動いてきた。
まろが大事にされている姿を見ると、胸が焼けるみたいに苦しかった。
羨ましくて、憎らしくて、でも……大事な仲間だってわかってる。
だからそんな自分を「最低だ」って責め続けた。
「まろの方が辛い」って、何度も言い聞かせて。
その日、俺は熱で布団に沈み込んでいた。
息をするのも重くて、視界も霞んでいる。
そんな時、りうらから電話が鳴った。
「ないくん、まろが倒れた。病院に運ばれた。すぐ来て」
焦った声。切羽詰まった響き。
でも俺は、布団の中でかすれた声を返した。
「……ごめん無理。俺、熱がある。動けない」
一瞬の沈黙のあと、別の声が重なった。
「ないちゃん、なんで来ないの?まろが大変なんだよ!」
「ほんまに冷たいな。こんな時に休むとか、ありえへんやろ」
その瞬間──俺の中で、ぷつんと何かが切れた。
「……俺だって……!ずっと無理してきたんだ……!」
電話口に向かって怒鳴った。
声は震えて、熱で喉が痛んでも止められなかった。
「なんでまろばっかり!なんで俺は“平気だろ”で済まされるんだよ!
熱があっても、咳が止まらなくても、それでも俺は動いてきた!
なのに、なんで俺が倒れそうな時は、誰も気にしてくれないんだよ!」
受話器の向こうが静まり返る。
でも、堰を切ったみたいに言葉は止まらなかった。
「羨ましいんだよ……!まろが大事にされるのが……!
本当は憎いんだよ……!俺のことなんて、誰も見てくれないのに……!」
涙が勝手にあふれて、声が潰れる。
「でもな……そんなこと思っちゃう俺は最低だろ……? 仲間を羨んで、憎んで……俺はリーダー失格でしょ……?」
嗚咽混じりの声が受話器に吸い込まれていく。
もう、誰に届いているのかもわからなかった。
沈黙のあと、りうらが絞り出すように言った。
「……ないくん、ごめん」
いむもしょーちゃんも、何も言えなかった。
その沈黙すら、もう耐えられなくて。
通話を切った瞬間、力が抜けて、布団に沈み込む。
熱で霞む意識の中、最後に浮かんだのは──
「……俺なんか、いなくてもよかったんだ」
そんな苦い言葉だった。