第一話 少年
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空は分厚い雲で覆われ
風に吹かれた木の葉はカサカサと音を立てる
男「この子を頼む」
ここはブラックハーワード寮学校
ある男がマザーにその籠を差し出した
マザー「わかりました」
「ですが身辺の証明がなければ預かりかねます」
そのマザーは微笑みながら、だが籠は受け取らずに淡々と告げる
男「名前はリアム」
「生後五ヶ月だ」
男は籠にかけられた布を剥ぐ
赤ん坊
すやすやと眠っている
男「この子の家は没落した」
マザー「…承知しました」
「お預かりいたします」
ギィィィィ…
ブラックハーワード寮学校___その箱庭の門は
ゆっくりと閉ざされた
_____10年後 ブラックハーワード寮学校_____
リアム「…」
少年___リアムは広い食堂でパンをちぎっていた
ドチャッ
リアムの頭に
湿った物体が当たる
リアム「…」
「…オリバー様、?」
リアムは長い食卓の正面に座る少年を睨む
少年___オリバーは
ただ一人、絹と思われる上等な服を着ている
オリバー「あぁ、悪い悪い」
「臭かったからな、屑入れかと思った」
リアム「…」
ここは箱庭
むせ返るような弱者の咆哮が飛び交う箱庭
戯れるも騙るも嘲るも
自由
故に
「礼節」の名を持つ法と童の牢獄
コメント
1件
サムネいいじゃん