……キーンコーンカーンコーン……
授業終了のチャイムが、学校全体に響き渡ると同時に、私は教室を飛び出した。
暗い廊下を走り、走り、走る。
授業が終わり、廊下に出てきた他クラスの担任に注意されるが、そんな言葉は、もう私の耳には入ってこなかった。
今やるべき事は、 “ あの場所に行く。 ”
只、それ だけ。
スマホとハンカチを手に、長い長い廊下を走り抜けた後、私は個室に滑り込んだ。
「はぁっ、はぁっ……やっと……!」
何よりも会いたかった【×××】に会えて、ほっと、安堵の溜息をつく。
そして、乱れた呼吸を落ち着かせながら、私は椅子に腰掛けた。
「良かった、間に合って………。いなくなってたら、どうしようかと思った。」
額の汗を拭いながら、そう口にする。
……が、貴方は動かない。
「……何、無視……?冷たいなぁ………。」
だがまあ、別に良いのだ。最初から反応は期待していないし、間に合ったのだから。
そう一人頭の中で考えながら、立ち上がり、個室のドアを開けた。
此処には、まだ誰も来ていないみたいだ。
「……あー良かった、誰もいなくて。」
「いたら、さっきの変な独り言、聞かれてたもんねぇ。」
水を出し、手を洗い、ハンカチでそれを拭く。 そして、私はそっと、女子トイレを後にした。
「ほんっとに、間に合って良かった。ダッシュした甲斐があったわ………。」
「それにしても、冬の【便座】、冷たすぎ。家の【便座】は温かいのになぁ。」
おしまい。
コメント
9件
伏線回収えぐすぎてだいすき
無機物に話しかけるのはあるあるなので主人公ちゃんは正常です👍️
天才か