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#僕のヒーローアカデミア夢小説
韮音 @み!るきーず
⚠自己満夢小説
⚠お相手→孤爪研磨
⚠夢主の片思い…?設定
⚠夢主と研磨は同級生
■ ヘ ッ ド ホ ン
私は君のヘッドホンが嫌い。
「孤爪くーん、おはよう!」
「……」
「孤爪くん…?」
理由その一、私の声が届かないから。
登校して一番に私が声をかけるのは君だけど、当の本人はゲームに夢中。
ヘッドホンをしていれば私の声に気付いてすらもらえない。
毎日声をかけているのに、私の事なんて眼中にないみたいで、少し悲しくなる。
その二、半分こできないから。
「またゲーム?」
「いや、音楽聴いてた」
「へえ!孤爪くんってどんな歌聴くの?」
「最近は…」
そう言って孤爪くんは新型のスマホ画面を見せてくれる。
画面には曲名が表示されていて、孤爪くんの首にかけられたヘッドホンから歌が微かに聞こえる。
その遠い音が私たちの距離を表してるみたいって思ったら、余計に辛くなった。
イヤホンなら半分こできるのに。
私はいつも曲名を覚えては、家に帰って一人で聴いてみるだけ。
兎にも角にも、私は君のヘッドホンが嫌い。
私と君の間に壁を作るように着けられた、それが。
(ヤバっ、曇ってきた。雨降ってきちゃうかな)
机から顔を上げて窓の外に目をやる。
放課後の教室は静まり返っていて、薄暗い外と蛍光灯の明かりのコントラストが眩しい。
黒い雲がすぐ近くまで迫ってきていて、私は慌てて筆記用具を片付けはじめた。
常備している折りたたみ傘を握りしめて、小走りで廊下を進む。
下駄箱に着いた頃、突然ピカリと辺りが光って、少し遅れて雷鳴が轟いた。
「っ、」
私は驚きで声も出ないまま下駄箱に背を預けるようにうずくまった。
真っ黒な底なし沼みたいな不安が一気に胸に押し寄せて、とぐろを巻いてゆく。
心臓がドクドクと早鐘を打ち、はくはくと息が浅くなって。
幼い頃に一人で留守番をしていた時に、雷で家が停電して、親が帰ってくるまでずっと怯えていた事があった。
それからずっと、雷だけは克服できずにいる。
(た、立てない…動けない。怖い。誰か…)
「ミョウジさん?」
「!」
と、頭上から声が降ってきて顔を上げる。
声の正体は部活終わりで赤いジャージ姿の孤爪くんだった。
「こ、孤爪くん…」
「どうしたの?具合悪い…?」
「あ、えっと…。ひっ!!」
話途中にもさっきより近くで雷が落ちた音がして、耳を押さえながらまた俯いてしまう。
すると孤爪くんは私と目線を合わせるようにしゃがんで、バッグから見慣れたヘッドホンを出した。
「ミョウジさん、少し手退かせる?」
「え…」
「一瞬だけ」
促されるまま恐る恐る手を退けると、そっとヘッドホンを被せられた。
驚いてる間にも孤爪くんはコードをスマホに繋げ、音楽アプリを開いて渡してくれた。
「好きなの聞いていいよ」
「でも…」
声がヘッドホン越しに辛うじて聞こえた。
孤爪くんは隣に腰を下ろすと、ゲーム機をいじり始めた。
スマホを握る手に力がこもる。
孤爪くんはゲームから顔をあげることも、励ます言葉を言うこともなかったけど、安堵と嬉しさで胸がじんわり熱くなった。
「孤爪くん…、ありがとう」
私がそう言った時、孤爪くんの表情が少しだけ柔らかくなったのは、気のせいじゃないといいな。
私は君のヘッドホンが嫌い。
だけど君の優しさを私に教えてくれたから、少しだけ。ほんの少しだけ、好きになった。
コメント
1件
素敵な読後感でした。冒頭で「ヘッドホンが嫌い」と宣言しながら、最後には「少しだけ好きになった」――この反転がとても巧いですね。同じヘッドホンが、夢主にとっては壁であり、同時に孤爪くんの優しさを伝える媒体にもなる。この設定の二面性が印象的でした。雷のシーンで彼が無理に励まさず、ただ隣にいてくれた距離感も、二人の関係性に合っていると思います。続きが気になりますね。