テラーノベル
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10話目もよろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
「キヨの企み」
その夜。
レトルトはベッドに寝転びながらスマホを耳に当てていた。
電話の向こうにはキヨ。
打ち上げから帰ってきたばかりなのか、どこか機嫌の良さそうな声が聞こえてくる。
二人は今日の試合の話をしていた。
「あの時のパス、めっちゃ上手かったやん」
『だろ?俺も自分天才じゃんって思ったわ!』
キヨは得意げに笑う。
サッカーのことはよく分からないレトルトだったが、今日見たキヨの活躍を思い出しながら楽しそうに話していた。
「キヨくん、本当にかっこよかったで」
レトルトがぽつりと言う。
すると電話の向こうが一瞬静かになる。
『……』
「キヨくん?」
『….そんな何回も言うなって////』
少し照れくさそうな、 嬉しそうなのが丸分かりな声だった。
「だって本当やし」
レトルトは笑う。
「今日のMVPやったやん」
『まぁな!!俺スーパーマンだしな!』
さっきまで照れていたくせに、すぐ調子に乗り始める その単純さが面白くて、レトルトは吹き出した。
電話越しに聞こえるキヨの嬉しそうな笑い声。
それを聞いていると、レトルトまで嬉しくなった。
今日の試合を思い出す。
ゴールを決めた時のキヨ。
仲間達に囲まれて笑うキヨ。
そして、自分に褒められて嬉しそうに頭を擦り寄せてきたキヨ。
思い出しただけで自然と頬が緩む。
その後も二人は色々な話をした。
今日の試合のこと。
夏休みの予定。
学校のくだらない話。
話題は次から次へと尽きず、気付けばすっかり夜も更けていた。
『それでさ〜』
電話の向こうで話していたキヨの声が、だんだんゆっくりになっていく。
呂律も少しふにゃふにゃしていた。
(眠たいのかな。)
レトルトは思わず笑う。
「キヨくん」
『ん〜?』
返事もどこか眠そうだ。
「そろそろ寝よっか」
そう言うと、キヨは少し黙ってから 睡魔と戦うように、
『このまま…電話…繋いでても….いい?』
と呟く。
レトルトはふふっと笑った。
「ええよ」
子供をあやす様な優しい声。
すると電話の向こうから、
『へへへ〜….やったぁ….』
と嬉しそうな声が聞こえてきた。
『レトさん、おやすみ〜』
今にも寝てしまいそうな声。
「キヨくん、おやすみ」
レトルトも小さく返す。
「今日はお疲れ様」
そう言って耳からスマホを離し、スピーカーに切り替えた。
しばらくすると、 電話の奥からスースーと規則正しい寝息が聞こえてくる。
(寝ちゃった)
レトルトは小さな寝息を聞きながら小さく笑った。
昼間はあんなに格好よかったのに 今は安心しきって眠る子供みたいなキヨ。
(ほんと、かわいいなぁ)
スマホから聞こえる寝息に耳を傾けながら、レトルトもゆっくり目を閉じる。
夏休みの夜は、穏やかに更けていった。
次の日の朝。
スピーカー越しに聞こえてきた、ゴソゴソという布団の擦れる音でレトルトは目を覚ました。
まだ少し眠い目をこすりながらスマホを見ると、 通話はまだ繋がったままだった。
静かに耳を澄ませていると、
『ん〜……』
電話の奥でキヨの小さな声が聞こえてくる。
どうやらまだ完全には起きていないらしい。
寝ぼけたような声と、時々聞こえる布団の音。
その様子を想像して、レトルトはふふっと笑った。
(なんか、一緒に寝てるみたいやな。)
そんなことを思い、少しだけ胸が高鳴った。
レトルトはキヨを起こさないように、そっと寝返りを打つ。
すると、 その小さな音が聞こえたのか
『んっ……レトさん?』
スマホの向こうから、 少し掠れた寝起き特有の声がした。
『レトさん……おはよぉ』
キヨのふにゃふにゃした声がスピーカー越しに聞こえてくる。
レトルトは思わず笑ってしまった。
「おはよ」
レトルトの声にキヨは満足そうに、小さく声を出した。
まるでレトルトの声を確認して安心したみたいに。
(朝から可愛すぎるやろ。)
レトルトはそう思いながら、聞こえてくる寝起きの声に耳を傾けていた。
「キヨくん、そろそろ起きなきゃ。今日も部活でしょ?」
レトルトは優しく声をかける。
本当はもう少し寝起きのキヨを堪能したかった。
寝ぼけた声も
ふにゃふにゃした話し方も
自分だけが知っているみたいで少し嬉しかった。
『んー……まだ起きたくないーーー』
電話の向こうから不満そうな声と共に ゴソゴソと 布団に顔を埋めるような音。
「ほら!」
レトルトは少しだけ強めに言った。
「起きてご飯食べておいでや」
すると、
『はーい』
とキヨは返事はするものの、まだ眠そうな声。
レトルトは苦笑する。
「キヨくん、ちゃんと起きる?」
『起きる〜』
「ほんと〜?」
『起きるってぇ〜』
そう言いながらも、またゴソゴソと布団の音がする。
そして、数秒後布団が勢いよく動く音が電話越しに聞こえる。
『よし!起きるぞ!レトさん、また夜電話するね』
やっと目が覚めたのか、そう言ってキヨは名残惜しそうに電話を切った。
通話終了の画面。
さっきまで聞こえていたキヨの声が消えて、部屋は静かになる。
レトルトはスマホを胸の上に置いて ふふっと嬉しそうに笑った。
初めてした寝落ち電話
なんだか少しだけ恋人らしいことをした気がして、 思い出すだけで顔が緩む。
「へへ……キヨくん、可愛かったなぁ」
そう言って一人で笑ってしまう。
その頃キヨは慌てて朝ごはんを食べ、部活へ向かう準備をしていた。
夏の大会で優勝したばかりだが
もっと上を目指すために今日も練習だ。
そしてレトルトは夏休みの宿題を片付ける為かな机に向かう。
「うわぁ……」
積み上がった問題集を見て思わず声が漏れる。
キヨは部活へ。
レトルトは夏休みの宿題へ。
お互いに今するべきことへと向かっていく。
けれど、夜になればまた電話ができる。
それを思うだけで、お互い少しだけ頑張れる気がした。
部活の休憩中。
キヨはグラウンドの端の木陰に座りながら
スポーツドリンクを飲んでいた。
皮膚を焦がすような太陽。
耳が痛くなるほどの蝉の鳴き声。
雲ひとつない青空。
夏そのものだった。
『暑ぃ〜……』
キヨは空を見上げながら呟く。
キヨは一人考え込んでいた。
(せっかくの夏休みだし、 レトさんと何かしたいなぁ….)
夏祭りも行きたいし、 花火もしたい。
一緒にアイス食べたり、どっか遊びに行ったりもしたい。
キヨの頭の中はレトルトの事でいっぱいだった。
(ん〜、なんかもっと…. 夏休みっぽいこと。
二人だけの思い出になること…)
『ん〜……』
キヨは唸る。
そして次の瞬間、
『あっ!!』
何かを思いついたのかニヤリと口角が上がる。
『へへへ〜…』
キヨの何かを企む様な笑顔に近くにいたチームメイトが少し距離を置いたのを本人は気付いていなかった。
その夜。
夜ご飯を食べ終え、レトルトはベッドに寝転んでいた。
その時、 スマホが震え 画面を見ると、
『キヨくん』
の文字。
レトルトは自然と口元を緩めながら通話ボタンを押した。
「もしもし」
『あ!レトさん?』
電話の向こうから元気な声が聞こえる。
『今何してんの?暇?』
どこか嬉しそうな声。
そして、 その嬉しそうな声に混じる何かを企んでいる気配。
その気配にレトルトはすぐに気付いた。
全身組で何か馬鹿なことをする時のキヨの声だ。
(これは絶対何か企んでるなぁ)
レトルトはニヤリと笑った。
「え?全然暇じゃないで?」
笑いを堪えながら答える。
「俺、大忙しやねん」
『うそつけ』
即答だった。
レトルトは吹き出しそうになる。
『絶対ベッドでゴロゴロしてただろ』
「なんで分かるん」
『分かるわ』
キヨは自信満々に言った。
『レトさんのことは全部わかんだよ!』
その言葉にレトルトは少しだけ照れる。
そしてわざとらしく咳払いをした。
「それで?」
『ん?』
「何企んでんの?」
一瞬、 電話の向こうが静かになった。
『へへへ』
と少し間を置いて聞き慣れた笑い声。
(あぁ。 やっぱり何か思いついたんやな)
レトルトは笑いながら天井を見上げた。
『なぁ、レトさん』
キヨの声が少し弾む。
『今からプール行かね?』
突然の提案に、レトルトは思わず変な声を出した。
「へ?」
『プール!』
「プール?」
『そ!プール!』
キヨは楽しそうに笑う。
『だって暑いじゃん』
確かに暑い。
昼も夜も関係なく暑い。
「どこの?」
レトルトが不思議そうに聞くと、 キヨは少し間を空けてから答えた。
『学校の』
その瞬間、 レトルトは吹き出した。
「はははっ」
(なるほど、 そういうことか。)
キヨの企みを完全に理解したレトルトは、ニヤリと口角を上げた。
「ほんまキヨくんさぁ」
『なんだよ』
「見つかっても知らんで?」
『大丈夫大丈夫』
全く大丈夫じゃない。
でも、 だからこそ面白い。
『で?』
キヨが聞く。
『行かないの?』
レトルトは笑いながら、
「行くに決まってるやん!」
即答だった。
『よっしゃあ!!さすがレトさん! 』
電話の向こうでキヨが大喜びする。
『よし!決まり!』
「うん」
『9時に校門前集合な!』
「了解」
そう言って電話を切る。
レトルトはスマホを見つめながら笑った。
本当にろくなことを考えない。そして、いつも巻き込まれる。
でも、 そういうところが好きだった。
夏休み中の 夜の学校。
誰もいないプール。
勝手に入っている所が見つかれば絶対に怒られる。
でも絶対に楽しい。
そんな確信だけはあった。
そして、 二人は自転車に跨り学校を目指した。
続く
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せきこみごはん
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魑魅魍魎
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#kyrt
魑魅魍魎
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コメント
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第10話!!キター!!!! うおおおお青春じゃ(;´༎ຶД༎ຶ`) 疲れが癒された!!次も楽しみにしてます👍
あ〜もう、この回めっちゃ好きです🥀💕 寝落ち電話からの朝の「おはよ」、キヨくんの寝起きボイス…ずるい、尊すぎる。 レトさんの「かわいい」が全部理解できる。 で、夜の学校プールって!そんなバカなこと企むキヨくんも、ノリノリで乗るレトさんも最高。 「見つかっても知らんで?」「行くに決まってるやん!」の流れ、心臓ぎゅってなった。 夏って、こういう罪な思い出作るための季節だよね。次の話、絶対読みます🌙