あらすじ:
高校生のユイは、ある日を境に「財布の中に入っていた覚えのない丸い物体」に気づく。サイズは100円玉くらい。表面はつるつるで、なんの刻印もない。
最初は気にも留めなかったが、数日後から異変が始まる。
財布を開くたび、“その丸いもの”の模様が変わっていた。
最初の模様:桜の花びら → 桜が季節外れに一輪だけ咲いていた
次の日:歯車の模様 → 教室の時計が止まったまま動かない
さらに:触れる影 → 誰かがそっと肩にふれた気配が
何度も開けると、その“模様”にリンクした微細な現象が起こる。
でも、誰かに見せようとすると、丸いものは普通のコインに戻ってしまう。
「これは、わたしにだけ許された“選ばれない奇跡”だ」
ある日、“何も模様がない日”がくる。
その日は、ユイにとっても何も起こらない普通の1日。
「……つまんないな」
そうつぶやいて、ユイはふたたび財布を開く。
――そこには、“新しい模様”が刻まれていた
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