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#四季総受け
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21,509
どのくらい飲んだだろう。そんなにハイペースな飲み方をしたつもりはなかった。
ただ、底意地の悪い目の前の男を適当に持ち上げ、気分良く飲ませてとっとと追い返そうと躍起になっているうちに、いつものペースを乱され、気付けば一瓶、ほとんど自分の分であっという間に空になっていた。空になるたび、いつの間にか、赤いものが注ぎ足されていた。
「このワイン、飲みやすいでしょう? しかも、チーズとの相性がいいんですよ」
いつの間にか、芹沢は澪の隣に腰を下ろしていた。小皿のチーズを、指先で摘まむ。
(なんで、コイツはこんなに涼しい顔をしてるんだ……)
酒豪とまではいかないが、自分だって、けっして酒に弱いわけじゃない。なのに、顔色一つ変えない男を見ていると、どうしようもなく腹が立ってくる。
しかも、困ったことに、何故だか無性に体が熱くて仕方がない。
いつもと何か違う気がするが、何が違うのかと聞かれれば、上手く答えられなかった。
――本当に、酒のせいだけだろうか?
「あれ? 大丈夫ですか? 随分顔が赤いですが……。息も上がっているみたいだし……」
心配するようなフリをして、芹沢はわざわざ身を乗り出し、澪の顔を覗き込んできた。
その整った顔が間近に迫るだけで、皮膚が粟立ち、身体の奥底から、ぞわぞわとした熱が這い上がってくる。
「っ……、だ、誰が……大丈夫だ、馬鹿……」
掠れた声を絞り出したが、自分で聞いていても、あまりに説得力がない。
心臓は早鐘のようにうるさく鳴り、熱を帯びた息が、自分の意思とは無関係に荒く漏れ出した。頭の芯がトロトロと溶かされるようにぼんやりとしながら、下腹部の奥だけが、妙に疼いて疼いて仕方がない。
「ふぅん? でも、ここは随分と苦しそうですねぇ。あ、もしかして……シたくなっちゃいました?」
「なっ、な……っ、そ、そんなわけないだろうがっ!」
咄嗟に隠そうとした手を、いとも簡単に払いのけられ、するりと股間に手が伸びてくる。
形をなぞるように撫でられ、反射的に腰がわずかに浮いた。
「やっぱり、勃ってるじゃないですか……。お酒飲むとエッチな気分になるって言うし……、あ、もしかして欲求不満?」
「ち、違うっ! そんなわけあるかっ! 触るな変態っ」
必死に引っ込めようとした腰が、しかし芹沢の掌の熱に引き寄せられるように、かえっていやらしく跳ねてしまった。
言葉とは裏腹に、体の底から溢れ出す熱は、少しも言うことを聞かない。股間を包む布越しに伝わる体温が、ジンジンと痺れるような快感を呼び起こしていた。
「変態ですか。ひどいな、優しくしてあげてるのに」
低く笑った芹沢の指が、スラックスの前立てを、じっとりと円を描くようになぞる。
摩擦のたびに、視界が白く弾け、澪は思わず、後頭部をソファの背もたれに押し付けた。
(俺の家で、俺のソファで、何してくれてんだこいつ……!)
「ああっ……、ん、ぁっ……!」
喉の奥から、自分でも聞いたことのない甘ったるい嬌声が漏れる。
慌てて両手で口を塞いだが、震える指の隙間から、湿った息が、とめどなく溢れ出した。
「ほら、自分で自分の声、聞こえました? そんなに敏感になってるくせに、よく言うなぁ」
「う……、うるさい……っ、離せ、これ……なん、なんだ……っ」
熱に溶かされた頭では、もうまともな思考なんてできない。
これがただの酔いではないことくらい、体で分かっている。薬を盛られたのか。いつ。どうやって。考えようとするたびに、その隙間を、ねっとりとした快感が侵食して、形にならない。
コメント
1件
おお、これは……ただの酔いじゃないですよね。澪の「酒に弱いわけじゃない」という自負と、実際の身体の反応のズレ、そこに芹沢の涼しい顔が重なる描き方が絶妙でした。チーズをつまむ仕草とか、指先でなぞる動きとか、細かい所作でじわじわ支配感が出てる。伏線めいた「いつ注ぎ足したんだろう」の違和感も効いてます。次の展開が気になる一本でした。