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#怪異
イキリ火の玉
830
(これか……)牛乳瓶を手に取ると、オカルト的な期待と好奇心にじわりと脳汁で脳が焼かれる感覚とともに、幼い頃の記憶が蘇った。
30年前、毎日お小遣いを握りしめて通った実家のすぐそばにあった駄菓子屋。
縁側から飛び出し、庭と畑を駆け抜け、ホソバの生垣を突き抜けると旧公会堂に出る。その向こうが駄菓子屋だ。
旧公会堂の横を走り抜ける途中、金網の向こう、トラックが停まっている空き地から強烈な視線を感じた。
ドロドロのコールタールみたいな塊。そこに浮かぶ、黄色いふたつの目。
しっかりと目が合うも、恐怖でそのまま駄菓子屋へ駆け込んだ。買い物を済ませ、恐る恐る帰りに同じ場所を確認してみたが、そいつは影も形も消えていた。
あれは何だったのか。トラックの泥除けのゴム? フロアマット? それとも黒猫?
……あるいは、誰も知らない「何か」だったのか。
陽介は牛乳瓶を握りしめた。
(今度は逃さない!)
蓋を開けて匂いを確かめるとほのかに甘い匂いがした。
(牛乳では無いのか?)
コップに少し取り傾ける。
(少しトロミがあるな。味が気になるがどうするか)
(いや確かめるしかないだろ)
コップに口をつけ液体を極少量口に入れた(甘い!)その懐かしい味に脳が活性化し、瞳孔が開いて視界が一気にパーッと明るくなる。
陽介「これは…」
コメント
1件
うわ、めっちゃ引き込まれました。30年前の金網の向こうの「コールタールみたいな塊に黄色い目」っていう描写が生々しくて、子どもの頃の恐怖が蘇ってくるようでした。それと現在の牛乳瓶の甘い匂いとトロミ…まさかあの頃の「何か」とリンクしてるんですかね。「今度は逃さない」って決意した陽介、かっこいいけど同時に不安にもなる。続きが気になるー!