子犬のように。

赫紫

どろどろ

長い

両側の視点あり。

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紫 side

「っ…もしもし、何してんの？」

通話越しに聞こえる声は、俺の愛している人の声と、余計な女の声が聞こえてくる。

「ぇ〜、 別に良くね？俺、お前の所有物じゃねえんだわ 笑笑」

「…幸せにしてくれるんじゃねえのかよ 。」

俺が小さく呟くと、ガビガビな音質でも聞こえる、なつの舌打ち。

俺はそんな舌打ちを聞いて、 腹が立った。

出会いはマッチングアプリ。

なつの彼女になれるように、セフレからちゃんとミスすることなくやったのに！！！

やっと一緒になれると思ったのに。

「仕方ねえから、今からお前の家行ってやるよ。 その馬鹿な女の面も見てぇし。」

「…は？くんなよ。関係ねえだろ。」

よく言えるよ、 「関係ねえだろ」って、俺お前の彼女だよ。

前まで優しく扱ってくれてた手つき、性行為の時の優しさ。 全部、いまはあのクソ女に取られてった。

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赫 side

「っ…もしもし、何してんの。」

いるまからの通話がかかってきた時には既に、 女と 夜を過ごしていて。

拗ねるいるまを通話越しで可愛がってたつもり。

女が口を開いて、「まだ居たい。」なんて変なことを言い出す。

「帰ってくれ。あいつと正面から話したくて。｣

色気使って俺の目堕とそうってなら。

考えただけで吐き気が押し寄せてくる。

「…はぁ、いるま来んのか」

そんなことを考えてたら、玄関からチャイムが鳴る。

効率が良く、いるまが部屋に入ったと同時に玄関の壁へ追いやる。

「何、お前嫉妬してんの？笑笑 」

「っ…は、そんなわけ、笑」

軽く落ち込みながら俯くいるまは、とても落ち着いてる雰囲気だった。

でも、少し優しい言葉をかけたらまるで子供のように可愛くて。 子犬のように擦り寄ってきて。

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「…なつ、っ… ごめん、ごめんなさい、っ …」

「許さねえよ。 なんだあの通話。 しょーもねえ。」

俺がこういったらまた子犬みたいに垂れ耳になった、落ち着いた雰囲気になる。

「…ごめん、っ何でもするから、っ許して、？ お願いお願い、っ… 離れるのは嫌、許して、お願い、… っ」

「そんな必死にならなくてもいいだろ。 さっきの通話での異性はどこいったん？笑笑」

通話越しでは 「しね」とか「くそ」とか暴言放ってたくせに、直接会うと恥ずかしくなって、すぐに黙り込む。

「それは、っ…女が居たからで、っ… なつに思ってた訳じゃないの、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめん、なつっ… 、好きなの、好きだからお願い、許して、？」

言い分聞くには 女にかっこいい所見せたかったからだ、とか調子乗ってる。

お前はとっくに俺の専属ざこあなるだけど。

「かわいいなぁ、威張りたかったの？笑笑」

「…うるせえ、ざこちんこなくせに煽んな。笑 」

ほんとはゃられたいだけなんだろうに、強がった振りして、俺に犯されて。

ほんと 、 かーわい　、 ♡♡

「…っぉ、ぁへ 、っ~~ 、？っ… ゛♡♡」

「さっきまでの煽りは？あ？どこ行ったんだよくそざこが。笑」

さっきまで立場の上だったいるまが、俺の下であんあん喘いでる。 可愛い声とぴちゃぴちゃと汚い、いやらしい音が部屋中に響く。

「…っひ、ぁぅ ~ …、っひく、っ… ♡」

「お前の方がざこじゃん。 いるま笑笑」

このまま殺してしまいたい。あの女の方に行かないためにな。

証拠隠滅なんかしない。一緒に俺も死んじまうから。

好きな人と一緒に死ねるとか最高だろ？

苦しんでるいるまが、どうにも美しい。

いつのまにか俺もこんなに歪んでしまっていたな、と感心する。

「っ…ひゅ、っは、なつ、 っ … ゛ 、？ 」

「きもちーね、笑  俺と同じ気分だね笑」

数十錠の錠剤を いるまの喉に伝わらせて飲ませる。 すると、段々いるまは弱く、 過呼吸を起こしだす。 そしたら俺の名前しか呼ばなくて、余計に興奮してしまう。

「ぁあ、っ …なつ、っなつ、なつ、なつ！っ … ゛゛ ♡♡」

「あー、洗脳されておばかになったんだ？？笑笑」

全ては俺のために。 あのクソ女のために。

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紫 side

息が苦しい。でも、上にいるなつが、なつが呼んでるの。俺の事。

「いるま、可愛いよ、醜くて、汚くて。笑笑」

「ひゅ、はぁ、っ …は、っぃぁ、… っ ゛」

俺の呼吸が浅くなると同時に、 俺の視界には 鋭くて、灰色の棒状なものが目に入る。

「…俺も、俺も一緒に逝ってやるからな。笑」

「なつ、っ、？なつ、大好き、愛してる…♡♡ こんな醜い俺でも、汚い俺でも、愛してくれるの、？♡♡」

首元に包丁を突き立てるなつに問いかけてやる。

今にもなつの首に包丁が刺さりそうで、 なつの醜い姿が見れると思うと同時に、 俺の呼吸音は消える。

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