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街が静かになった頃、業務を終える前に車の修理をしてもらおうとJTSに寄ると外で青井もヘリの修理をお願いしていた。


「いらっしゃいませー、修理ですか?」


「もちろんだぜ、よろしく頼んます。」


サングラスつかけキャップ帽を逆向きに被り、黄色いつなぎを着た従業員がヘリの下に潜り込みながら声をかけてきた。


「ちょっとお待ちくださーい。……よし、ヘリ修理完了です、ありがとうございます。」


「はーいどうもー。」


「車修理お待たせしましたー!えぇ色のパトカーやなぁ。」


「お、この良さが分かるっすか!」


「かっこ良いっすねぇ!この街はパトカーも色んな色あっておもろいな。てか初めましてっすよね?」


「初めまして…っすよねぇ!特殊刑事課つぼ浦匠、よろしく。」


「つぼ浦さんよろしくお願いします。JTSの社員の鮫島フラムっていいます。特殊刑事課って事はキャップのとこすか?」


「あーそうっすね、一応キャップが上司っていう体でやってるっす。だが俺をキャップと同じだと思っちゃぁ痛い目見るぜ。」


こちらに近付いてくる青井を横目で見ながら自己紹介をした。


「アオセンも初めましてじゃないすか?えーと鮫島さん?フラムさん?」


「どっちでも良いすよ、フラムさんて呼ばれる方が多いかな。」


「いや俺は何回か会いましたよね?」


「青井さんは前にこのツナギめっちゃ褒めてくれたの覚えてますよ。」


「へーそうなんすか…なんでこの街に来たんすか?」


「いやぁちょっと長くなるんすけど、実は僕親に身体を改造されて身体にナノチップを埋め込まれてるんですよ。それで、日本で研究機関に追われてたのを逃げてきた…って感じすね。」


「おぉ…なんか色々大変そうすね。」


「改造?ナノチップ?フラムさんは改造人間って事すか?ロボットとかアンドロイドとは違うよな?」


「改造人間が正しいんかな。具体的に言うと身体を叩くと口からドラムの音が鳴るんすよ。」


「「ドラムの音!?!?」」


綺麗にハモって思わず顔を見合わせた。一見ごく普通の、陽気そうで親しみやすく西のニオイを感じる人物からは到底想像できない情報がポンポンと出てくる。


「え、ドラムって楽器のドラムすか!?それぞれのパート?の音が出るんすか!?」


「そうっすねぇ、ちょっとやりましょか。」


「え、そんなすぐできるんすか?」


「気合い入れなきゃいけないんでちょっとだけお待ちを…よし、じゃあいきますね。まず胸の筋肉を叩くと…\タンッ/」


「ええ!?」「おお!?」


「で右足を踏み込むと…\ドゥンッ/」


「すげぇ!!」


「指パッチンすると\シャーン/こんな音が鳴るんで、これを上手く組み合わせると…」


軽快で鮮やかなドラム演奏が繰り広げられ、驚いてぽかーんと口を開けながら聴く青井と踊り出すつぼ浦。終わる瞬間には音に合わせてつぼ浦もジャンプした。


「えええすごいすごい!!」


「かっけぇー!!」


「あざす、こんな感じっすね。」


「いやすごすぎる、こんな感じで片付けて良いもんじゃ無いでしょ。」


「え、リクエストとかアリっすか?」


「ちょっと自信無いけど僕が知ってる曲やったらぜひ。」


ほぼどの曲を言っても即興で繰り出される演奏に大盛り上がり、時間を忘れて夢中で楽しんだ。


「はーすげー!!…あ、もうこんな時間だ、そろそろ帰んねぇと。フラムさん今日ID何番すか?」


「え?いやいや良いすよ、良い練習になったんで。」


「そっすか…あ、連絡先交換しません?」


「それはもちろん!送りますね。」


「…よし、じゃあ帰るか。ありがとうございました!JTSに来ればまた聴けるんすか?」


「街で会った時も言ってくれればいつでもやるっすよ。また来てください!」


「楽しかったーあざっした!また来るぜ!」


連絡先を交換し合い、それぞれ急いで警察署に戻りながらフラムに送金した。退勤して一息ついてから家へと向かう。


「はーーいやすごかったなフラムさん!!」


「かっこ良かったな、てかつぼ浦珍しくなかった?何しにこの街来たとか聞くイメージ無かった。」


「あー…なんすかね、分からんけどフラムさんはなんか気になった。」


「へぇ、すごい人だったな。今後ライブとかやるんかね。」


「ライブ行きてー!あれはプロだぜ。」


演奏してもらった曲をノリノリで歌って、この上なく上機嫌なつぼ浦に笑いながら帰路に着いた。

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