テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
※アニメと原作が混ざってます
本日は身体測定である。
葵梨「聴力検査終わり〜……はぁ……」
この後のことを考え、思わずため息をつく。最近、葵梨はため息をつくことが多くなった。
学園の新人教師である安部晴明のことを任されている葵梨。しかし晴明は校舎を壊す等の問題行動を起こしており(晴明が悪いとは一概には言えないが)、葵梨はその影響により何度も学園長に怒られている。
しかし今回のため息の理由は、晴明のことではなく──
秦中「出せ〜!!! 俺に注射は必要ない!!!」
叫ぶような秦中の声が、保健室に響く。
動物妖怪は皆、身体測定で注射をすることになっている。先生も生徒も関係なく、だ。もちろん犬神の葵梨も例外ではなく──
葵梨「……うるさいです。諦めましょうよ」
叫び続ける秦中や狸塚、秋雨、ねずみ先生を諌めようとする葵梨。抵抗する気力もなくなっている様子。
晴明「へぇ〜、秦中先生はイタチの妖怪、葭屋町先生は犬の妖怪なんだ」
葵梨「ちょっと安倍先生、なに呑気なこと言ってるんですか……」
晴明の呑気さに呆れる葵梨。
神酒「さあ、先生よろしゅうお願いします。」
狸塚「わぁぁぁぁ鬼!! 悪魔!! 人でなし!!」
秋雨「酒に弱いくせに、何が酒呑童子だ!!」
秦中「前貸した3000円、今すぐ返せ!!!」
神酒の言葉に、動物妖怪たちは騒ぎ出す。……秦中の発言はごもっともな気がするが。
彼らの叫び声を聞いた神酒は、
神酒「……たかはし先生?」
たか「え? ……あぁ、はいはい。午後の手術予定1個飛んだので、去勢手術ぐらいならサクッとできますよ。」
「!?」
驚き慌て、怖がる動物妖怪たち。その様子を見ながら、たかはし先生は、
たか「あはは、冗談だよ、冗談」
と言っているが、5割は本気だと思われる……。
晴明「大丈夫だよ。狸塚くんすぐ終わるから。」
晴明は狸塚を安心させようと、声をかけたが……
狸塚「やっぱヤダ!!」
たか「あっ」
狸塚が動いたことによって注射器は飛んでいき──
サクッ
あろうことか、晴明の頭に刺さってしまった……。
晴明「う……うぉぉぉぉぉっ!!! おま……っ、狸!!! うぉぉぉぉぉ!!!」
葵梨「……たかはし君、あれ、大丈夫なのですか? 彼、一応は人間……だと思うんですけど……多分」
叫ぶ晴明。流石に心配した葵梨がたかはし先生に尋ねてみる。彼は人間なのだろうか、という疑問を抱きながら。
たか「大丈夫ですよ。ちょうどこの間人間のモルモッ──、患者さんにも打ちましたから。」
晴明「モルモッ……!?」
葵梨「ちょ、今、モルモットって……──」
たかはし先生の言葉に驚く一同。医者として、いや医者じゃなくてもアウトな発言な気がする。
たか「あぁ安倍先生、もし心配でしたら、こっちも打ちます?」
たかはし先生はそう言いながら、晴明用に、別の注射器を出してくる。
その注射器は長身のたかはし先生でも抱えなければいけないほどに、大きい。色は紫色。
明らかに怪しい薬だ。
たか「昨日できたばかりの、新薬……」
葵梨「あー、たかはし君……新薬使わなくても平気みたいですので、その注射器は直してください」
たか「えー……」
葵梨の言葉を聞き、少し残念そうなたかはし先生。
けれどすぐに、晴明の頭に刺さっていたものと同じ注射器を持ち出し、
たか「では次は、葭屋町先生の番ですね」
葵梨「あ……」
葵梨「…………」
神酒「ホラ!! 後は身長測るだけなんだから──」
葵梨「それが大変なんでしょ……嗚呼、あのマッド医者……」
晴明「もう帰りたい……」
動物妖怪たちの注射が終わった後、先生たちは身長を測るために運動場に出る。
……運動場?
晴明「──で、これを登って測るんですか!?」
神酒「ホラ、担任やろ? 任せた!!」
葵梨「頑張ってください〜」
晴明が叫ぶのも無理はない。
運動場には、見上げるほど高い身長を持つ生徒──ダイダラボッチの大田がいた。
晴明「え〜っ!! 神酒先生か秦中先生か、葭屋町先生がしてくださいよ!!」
神酒「いや、秦中君は無理やわ」
晴明「案外、打たれ弱いな……」
秦中は精神的ダメージが大きいみたいだ。
晴明「じゃ……じゃあ、公平にジャンケンです!」
神酒「えぇ……──」
晴明「ホラホラ! じゃーんけーん……──」
結果:晴明が登ることになった
晴明『ようやく、耳まで達しました……』
神酒「は〜い、気をつけて〜」
電話口から晴明の声が聞こえる。
生徒「み……神酒先生、葭屋町先生〜っ!」
そのとき、女子生徒が走ってやってきた。泣きながら……。
神酒「ん!? どないしたん!?」
斯々然々。
神酒「えっ、教室に置いとったセーラー服がない!?」
葵梨「……あ、安倍先生……」
晴明がセーラーを盗んだと思った葵梨と神酒。流石にドン引きする。
晴明『僕じゃないからな!!! 断じて!!!』
葵梨「本当ですか、それ……、っあ……安倍先生……!」
晴明は2人の反応のせいで、間違えてロープから手を離し──
晴明『嫌だ!! 死ぬ時はセーラーに囲まれて死ぬって決めてんだ!!』
落ちていく……──
佐野「どんな死に方だよ、それ」
晴明「!」
晴明のアホ毛を掴んで助けたのは、佐野だった。
晴明「佐野くぅぅぅぅん!!! どうしてココに!!!」
佐野「身体測定面倒だったから、大田の頭上でサボって寝てた」
晴明「そっか〜、佐野君身軽だもんね、ヒョイっと登れるよね」
佐野「まぁな」
2人の会話が、大田の頭付近からギリギリ聞こえてくる。
※一応、犬は人間よりかは耳がいいみたい
葵梨「いやいや安倍先生……サボってたことに対する指導をちゃんとしましょうよ」
晴明『もしもし、神酒先生、葭屋町先生。大田君130メートルです。』
大田「えっ130メートル!? ……やったーっ!! ついに牛久大仏に勝ったぞー!!」
晴明『す……すごいものと張り合ってるね……』
大田の身長を測り終えた晴明から電話が来る。
神酒「はい、大田君130メートルね。ありがとう」
葵梨「じゃあ私たちは他の場所見てきますので、気をつけて降りてくださいね〜」
葵梨と神酒は晴明を放って、別の生徒を見に行くことにする。冷たいものだ。
葵梨〔……というか、よく考えたら、太田君が手で運べばよかったんじゃ……──まあいっか〕
神酒「はー、終わった終わった……」
葵梨「疲れましたねぇ〜……」
身体測定が終わり、たかはし先生たちを見送った先生たち。
秦中「……そういえば、安倍先生は何処行ったんだ?」
葵梨「そういえば、何処に行ったんでしょう」
晴明がいないことに、今更気づく先生たち。
狸塚「せんせー、佐野君知らない?」
神酒「なんや、佐野君もおらんようなったかいな」
晴明だけでなく、佐野もいなくなっていたらしい。
秦中「全く……どこへ行ったのやら……」
葵梨「まぁ……安倍先生のことですし、次回にはケロッとして登場してくるでしょう」
神酒「確かに……」
葵梨「てことで私は帰りますね〜」
秦中「あ、おい!?」
ちなみに晴明と佐野は……
なんか色々あって沖まで飛ばされ、なんか色々ありながらも、何とか帰ってきたらしい。