🇮🇹side .
数日後____…
今日はお休み。だから家にいるんだけど……
家事をするのが、怖い。
何処からか、あの人の声が聞こえてきそうで。怒られてしまいそうで。
いつまで僕は怯えて暮らすんだろう。早く克服しないといけないなんて、疾っくの疾うに分かりきっていた事なのに。
ぴんぽん♪
そんな軽やかな音が、僕の頭を貫く。
急だったからかとても吃驚してしまった自分にも驚いた。
でもこの時間帯なら、さっき連絡を取ってきたあの人だろうな。
そんな事を考えながら、僕は重い足を動かして玄関へと向かった。
「はーい……」
「……あぁ、やっぱりオーストリアさんか。」
「ふふっ、会うのはお久しぶりですね。」
そう言って、ニッコリと彼は笑った。僕が、幼少期からずっと見てきた笑い方だ。
「えへへ、そうだねぇ〜!でも、突然『うちに来たい』なんて、どうしたの?」
「嗚呼、急に連絡してしまってすみませんね……。ですが、最近会っていないものですから、どうしてもイタリアさんが心配になってしまって……」
そう言って、苦笑いをする彼の瞳には、僕を心配する気持ちと、何かを探ろうとしているような、気持ちが混じりあった感じがした。
「……そっか!心配させてごめんね……、取り敢えず上がってよ!」
「ありがとうございます、!」
「……少し、診察をしても、いいですか?」
「へ、いいの?」
自分から言い出すなんて……思ってもみなかった。まあ、小さい頃はよくやって貰ってたけど……。
「んへ、オーストリアさんが自分から診察してくれるのなんていつぶりだろ……」
「……そうですねぇ、もう随分昔にやら無くなっちゃいましたね。」
「まあいいや!診察してー!!」
オーストリアさんの診察は、好きだ。普通の病院と違って、とっても優しい手つきでしてくれるから。それに、やっぱり知らない人だと怖いし。
でも、今日はプライベートだからか、スマホをチラチラ見てるなぁ……
「……イタリアさん、ちゃんとご飯、食べてます?」
「え”っっ……」
そうか、医者ならそれくらい見抜けるか……!
「え、えっと……最近はあんまり……」
そう言って、へへ、と笑ってみせる。が、オーストリアさんは顔を顰めながら、悲しそうな顔をしていた。
「っご、ごめ、なさ……!」
「あ、謝って欲しいわけじゃないんです!!……ただ、私はイタリアさんに健康でいて欲しくて……」
「そ、そっか……今度から、ちゃんとご飯食べるよ……」
でも、やっぱり家事するのは怖いし……
「っ、イタリアさん、少しほど質問に答えていただけないでしょうか?」
「え?質問……?いい、けど……」
そうして僕は、オーストリアさんが読み上げた質問に素直に答えて行った。
何が目的なんだろう……?
「……〜っ、やっぱり……」
「?オーストリアさん……?」
さっきからずっと考え込んでばっかりだよ、オーストリアさん。
どうしちゃったの?
「イタリアさん。」
すると、如何にも真面目な顔をしてオーストリアさんはこっちを向く。
えなになに、僕もしかして重大な病気だったり……!?
「……イタリアさん、貴方はやっぱり、愛着障害ですよ。」
「……へ?」
愛着障害って何……?そんなの、僕知らないし……
「まあ、簡単に言えば『乳幼児期の虐待やネグレクトにより、保護者との安定した愛着が絶たれたことで引き起こされる障害』って感じですかね。」
「でも、治療をすればちゃんと治りますから……」
「……ぅ”……」
「へっ?」
「そんなの嘘だっ!!!」
「っ、」
違う違う違う、僕は正常なんだ、何処もおかしくなんてないの!!!僕は普通なの!!!!
「イタリアさんッ、落ち着いて……!」
「やだやだやだ!!!なんでそんな事言うの!!!ioは至って正常なのに!!!!」
🇦🇹side .
「やだやだやだ!!!なんでそんな事言うの!!!ioは至って正常なのに!!!!」
あぁぁ来てしまった……!!イタリアさんの場合だと、癇癪を起こしやすいんだ……!!
流石にこれはひとりじゃ無理だな……、はあ、嫌だけどあの二人を呼ぶか……
ぷるるるるる…
「ん、如何したオーストリア?」
「助けてください、イタリアさんが癇癪起こしちゃいました。」
「OK,すぐ向かう。」
そして通話が切れる。
あっやば、イタリアさんが暴れる、
「オーストリアさんなんて嫌いぃっ!!!」
「っ危な、!!」
「Hey!!大丈夫か!?」
「アメリカ、拘束は任せましたよ。」
するとイギリスさんは足をひっかけて転ばせ、動こうとしたイタリアさんをアメリカさんが拘束してイギリスさんが手刀をとん、と素早く決めた。
「ぁ、ありがとうございます……!」
「おう。でも部屋の荒れ様が酷いな……」
「あはい、少し物を投げていましたから……」
「それで、愛着障害だったんですか?彼は。」
「あ、はい。ほぼほぼ間違いないですよ。」
「……そうですか……」
「まあ今日はここを片付けて、彼を寝かせたら帰った方が良いでしょう。」
「そうですね/だな……」
🇬🇧side .
あの出来事から数日。イタリアさんは、無断欠勤を続けている。オーストリアさんによれば、最近食事をあまり摂っていなかった様だから少し心配だ。
如何するべきが正解かを考えながら、無駄に長くてだだっ広いだけの廊下を歩く。すると、向こう側から足音がひとつ。
「……、嗚呼、ドイツさん。Hello.」
「ぁ、イギリスさん。Guten Tag.」
「……あの、最近イタリアが見当たりませんが……」
「……彼は今、無断欠勤中です。」
「えっ、如何してですか……?」
そう聞かれたので、私は全てを話す事にした。何故か、彼ならどうにかしてくれると思ったのだ。ただの、勘だけれど。
「……じゃあ、俺がイタリアの家、行ってきましょうか。」
「え、貴方話を聞いていましたか!?彼は癇癪を起こしやすくて……!」
「分かっています。でも俺も前イタリアに酷いことをしてしまったので……謝りたいんです。」
「……、そうですか。行くのなら、くれぐれも気をつけてくださいね?」
すると彼は、しっかりとした返事をして、自分のオフィスへと戻って行った。
如何なるかは分からないが……今は、彼を信じるのが最善策な気がする。
コメント
5件
毎回話が面白い……
あっ、あ、やっとコメ残せる😭 イタリー可愛い…可愛いぃ… 次が楽しみすぎて震えてる(?)
そろそろ終わるかも…?