💙おい、いつまで俺の膝に乗ってる
🧡ええやん、もうちょっとぉ…
ほら、始まった。
俺は楽屋の長椅子で、なべに膝枕させている康二を見ていた。
羨まし…じゃなかった、けしからん。
それにしても、なんでなべは康二にはあんなに甘いんだろ。
まさか好きなんじゃ…という考えが生まれ、俺は慌てて頭の中でそれを否定した。
💛ふっか、ここの進行だけどさ
俺は照に話し掛けられてるのも気づかずに、なべと康二ばかり見ていた。
とんとん、と肩を叩かれてようやく気づく。
💛どうした?鼻血出てるぞ
💜えっ
たらー。
いつの間にか、鼻から血が垂れていた。
俺はティッシュで鼻を押さえる。
止まらないので、丸めたティッシュを鼻の穴に詰めた。
🤍うーわ、ふっかさん、かっこ悪
💜うるさいわ!
💛上向いてろよ
💜おう
上を向いて、首の後ろをトントンと叩く。
すると、なべが隣りにやって来た。
💙なに?エロいことでも考えてた?(笑)
💜ちげーわ!
話し掛けられて嬉しい。でも、鼻にティッシュを詰めてるかっこ悪い俺を見られるのはちょっと恥ずかしい。
🖤しょっぴー、ちょっと来て
💙ん?
なべは目黒に呼び出されて楽屋の外に消えた。
くそ。
一度はこっちに気を引いたのに、なべにはひっきりなしに誰かが話し掛けてきて、落ち着いて二人きりになることがない。
今日もあまり話せないな…と俺は肩を落とした。
🤍ふっかさん、どこ行くの?
💜トイレ行って来る
俺は楽屋を出て、顔を洗いにトイレに向かった。
🖤しょっぴー、康二にあんまりベタベタ触らせないでよ
💙は?触らせてねぇし
🖤二人、距離感おかしいよ
💙知らん、康二に言え
廊下を曲がると、なべと目黒が言い合いをしているのが耳に入って来た。
俺を見つけると、目黒は急に黙った。
💜なに?喧嘩?
🖤違うよ
💙めめが最近うるさいんだよ、康二に触らせるなとか、涼太と何話してたの?とか
🖤言ってない
💙言ってるだろ、隠すなよ
🖤しょっぴー!!!
目黒はバツが悪そうに声を上げた。
なにそれ。
目黒はやっぱりなべのことが…?
なべは何も気づいてないようで、俺に助けを求めている。
いや、これは首を突っ込みづらい。
目黒に協力するわけにもいかないし…。
🖤なんでもないです、俺、戻るね
目黒はいたたまれなくなったのか、先に楽屋へと帰って行った。
歩き方がいかにも不機嫌そうだ。
💙何なんだよあいつ。腹立つなあ
いや、気づいてやれよ。
と、俺は他人事ながら同情してしまった。
💜俺、トイレ行くわ
💙また後でな
💜おう
高校時代、自慢ではないが、俺はモテていた。
今はこれはネタとして話しているけど、当時は本当にこの世の春って感じで、次から次へと女の子に告白されるもんだから、選択肢は選び放題、俺は全くその方面には困らなかった。
まあまあの容姿の子なら、とりあえずキープしておいて、片っ端からデートをした。
一人に絞る必要がなかったので、みんなに優しくして、特定な相手は作らなかった。
女の子へのケアが完璧だったので全く悪い噂は立たなかった。
ひとつ後輩の照は、「いつか刺されますよ」とか言ってたけど、別にそんなことも起きなかったし。
今でも回数は減ったが、タレントさんや女優さんにアプローチを受けることもある。
でも俺はそれらを全て断って来た。
スキャンダルになると困るからというのもあるけど、何よりもなべのことが好きだから。
そして恋愛において致命的なのは俺という人間は告白されたり、近寄られたりしたことはあっても、その逆の経験が全くと言っていいほど無いということだった。
ましてや初の男相手。
本気で好きになる初めての相手がまさか男だとは俺は予想だにしていなかった。
コメント
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めめこじ(なのか?)×悪友はもうこの地点で神っちゃってますね(いいこといいこと) まきぴよさんもふっかもめめも(?)がんばれー!!