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ある夢を見た、幼馴染が死ぬ夢。
幼馴染の顔は、見えないくらいグチャグチャになっていて、沢山の血が飛んだ、なんでだろう鼻がツンとする。
息が苦しい、どんどん視界がぼやけていく、そして俺は倒れた。
目を覚ました。そこはいつもと同じベッド、俺は安心した。
だが、感覚は残っていて、目から何かが零れた、夢なのに、と思ってしまったが今日は学校なのでそんなことは考えずに、用意し家を出た。
家を出ると、幼馴染がキレていた。
何故キレているのか聞くと、何回も呼んだのに出てこなかった、かららしい。
しょうがないだろう、こっちは悪夢を見ていたんだし。とりあえず遅刻寸前だったので走っていくことにした。
門を通るとチャイムが鳴った。ギリセーフだな。とりあえず成績には響かないだろう。そんなことを考えながら教室へ向かった。
幼馴染と同じ教室。賑やかな幼馴染の顔。でも、夢の中では幼馴染と同じ教室は静まっていたし、そんな顔も見れないくらい酷い顔になっていた。
まだ夢の内容が抜けていない、切り替えないとと思っても、幼馴染の顔を見ると思い出す、こっちの方が悪夢だろ。
「おーい、大丈夫?景」
俺は、幼馴染の顔を見つめすぎてしまったらしい、幼馴染の顔がほんのり赤くなっている、可愛い顔にはとても似合う。
「嗚呼、大丈夫だそんなことより今日放課後どこかへ行かないか?」
やっとテスト期間が終わり、一緒に遊びに行こうと言っていたので、良い機会だと思い誘う。もちろん幼馴染はオーケーと答えた。俺達は先生に怒られないように、授業に戻った。
放課後になり、靴箱の所で待ち合わせ。
最近は選択科目で遅れることが多いので、あまり遊べないが、俺と幼馴染は今日じゃ無いので、門限まで楽しく遊ぼうと思う。
「お待たせー」
後ろから、いつもの声がしてきた。
「いやー、先生の話が長くてさー」
と、言いながら靴を履き替える幼馴染、もしかしたら授業の内容でも聞いていたんだろう。俺はあまり気にしていないし、「大丈夫だよ」と言い、遊びに行った。
幼馴染と遊ぶ時間は特別だ。
どんな奴と遊んでも退屈だが、幼馴染と遊ぶ時は違う、とても楽しい。
でもそんな時間もあっという間に門限の時間。楽しい時間が終わってしまうと考えると少し悲しいと思ってしまった。
幼馴染は、手を洗っている時、俺の顔を見たのか俺が小学生の頃あげたハンカチで手を拭きながら「大丈夫!また遊べるってー!」と安心できるような声で、励ましてくれた。俺と幼馴染は一緒に歩いて帰った。
何故俺は気づかなかったんだろう。
ずっと前から夢と同じ内容だったと言うことを。
幼馴染が死んだ。俺の目の前で。
俺が助けなかったから、知っていたのに、楽しいという快感に囚われていたから。
大好きな顔も見えない。
大好きな声も聞こえない。
大好きな髪も赤く染まっている。
大好きな瞳も閉じたまま。
大好きな人物が動いていない。
全部俺のせいだ。
俺は、救急車を呼んだ。何故だろう、もう息はしていないのに、助かるって思ってしまったのだろうか。
目の前にいる幼馴染のことでいっぱいで、何も聞こえない。時間が止まったようだ、ああ、時間が止まるんじゃなくて、時間が戻ったらいいのに。
幼馴染に近づくと、「篠原 花」と書いてあるハンカチが落ちていた。