テラーノベル
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僕は
君の顔を見た事がない
生まれつき目が見えない
僕の世界は常に真っ白。
耳と鼻で誰かを判断するしかなかった。
そんな僕は当たり前のようにクラスで孤立。
でも、転校生の君だけは話しかけてくれた。
見えなくても、君の優しさだけは伝わった。
彼女は方向音痴なようで、時々居なくなる。
心配だが、僕が探しに行ってもどうにもならないから。
ある日の事。
「私ね 目の色がちょっとおかしいの。」
そういう彼女は、少し悲しそうな声色だった。
君の顔を見てみたい。
君の瞳を見て「綺麗だ」と言ってあげたい
君がどこにいても見つけてあげたい。
そんな僕にある日、目の手術を医師から提案された。
今まで治療の施しようがないと言われていたのに。
入院するから、しばらく君の声は聞けなくなるけど。
それでも君の目を褒められることが、君を見つけられることが嬉しかった。
もうすぐでこの真っ白な世界からお別れだ。
手術当日。もちろん怖かった。君の声を脳内で何回も再生して気を保っていた。
手術が終わった。包帯でと何も見えないけど隣に君がいるのはわかる。
母とずっとなにか話している。
「そこに いるのかい ?」
君の名前を呼んでみる。
母も君も驚いたように、
涙声で僕の名前を呼んだ。
母は先生に許可をとって、僕の目を覆っている包帯を取った。
僕が生まれて初めて見た物は、嬉しそうな、でもどこか悲しそうな君の顔だった。
「君の目、とても綺麗だ」
君を見て、ずっと言いたかったことを言った。
嗚呼。嬉しそうに僕を抱きしめる君が
とても愛しいと言っていいかい ?
コメント
8件
おっふ……心が洗われた…😇😇
やべ、 ビー玉見て思いついた話なのに ビー玉全く出せなかった 女の子がビー玉をよく持ってきて、君の瞳、ビー玉みたいに綺麗だよってセリフ書くつもりが…