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大学卒業まであと少しと迫った頃。
久々に同級生の彼氏から呼び出された私は、嬉しくて嬉しくて、心がホワホワと舞い上がっていた。
待ち合わせは夕方ということで、昼間のうちに美容院へ行って。
就職活動を意識して黒に近くしていた髪の毛を、就職も決まったし、もういいよねってラベンダーベージュに染めて、毛先を肩下5センチに切り揃えてもらった。
そんな髪の毛に、ついでのようにゆるふわウェーブのパーマをかけて、ほんのちょっとエアリーさも出してから、小花柄のワンピースにニットのカーディガンを合わせたフェミニン仕様で、そわそわと待ち合わせの場所へ。
なのに。
「春凪、俺と別れて欲しい」
待ち合わせ時間に10分以上遅れてきた彼は、私を一瞥するなりそんな言葉を投げかけてきて、1年半のお付き合いに呆気なく終止符を打たれてしまった。
2人とも就職先はそんなに離れていなかったし、大学卒業後もこのまま続いていくんだ。
ゆくゆくは結婚かな?
きっと、彼こそが私を色んな柵から解き放ってくれる王子様に違いない!
そんな夢見がちなことを考えていた私には、彼の言葉はまさに青天の霹靂。
しかも別れの理由は、エッチの相性が悪いから、とか――。
私みたいな不感症の女は、何度抱いても単調で面白くなかった、正直もう限界なんだと眉根を寄せられた。
「それにさ。今更追い討ちかけるみたいで言いたくないけど。乳首がないおっぱいっての? あれ、俺はやっぱ馴染めねぇんだよ」
って酷いよ。
告白された時に、意を決してちゃんとカミングアウトしてたのにっ。
――私、両胸とも陥没乳首で……その……おっぱいの見た目が人と違うんです、それでもいいですか?
って。
――そんなの気にしないよ?
――俺はそのままの春凪が好きなんだ。
そう言って抱きしめてくれたのは、嘘だったの?