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【下僕プラン】は、静かに選ばれ続ける
――そして、利用者層が変わる
【下僕プラン】は、
ランキングに載らなかった。
バナーにも出なかった。
成功例インタビューも作れなかった。
それでも、
解約理由欄が空白のままの契約だけが
少しずつ増えていった。
1|最初に増えたのは、女性だった
花子のケース以降、
同じような利用理由が並ぶ。
> ・感情を預けたくない
・完成を期待されたくない
・決めるのは自分でいい
「下僕」という名前に
最初は引く。
でも、
説明文を最後まで読む人ほど
契約する。
“言われたことしかやらない”
“余計なことをしない”
“気持ちは提供しない”
それは、
安全だった。
2|次に来たのは、「失敗できない」男たち
変化は、
営業部門が最初に気づいた。
「……男性比率、
上がってません?」
データを開く。
40代
管理職
役職あり
離婚歴あり/未婚
理由欄。
> ・判断疲れ
・家庭でも職場でも正解を求められる
・弱音を吐く先がない
彼らは、
溺愛を求めていない。
癒しも要らない。
ただ、
> 「何も期待されない相手」
を必要としていた。
3|典型例(短い生活描写)
夜十一時。
スーツ姿の男が、
ネクタイを緩める。
「これ、処理して」
「はい」
下僕は、
質問しない。
「俺、今日の判断
間違ってたと思う?」
「判断の評価は行いません」
男は、
少しだけ笑う。
「……それでいい」
彼は、
“正しさ”を持ち帰らない場所を
初めて得た。
4|本部の違和感(観測不能)
会議では、
言語化できなかった。
「依存してない」
「長期化しない」
「でも、
切られても悪評が出ない」
誰かが言う。
「……これ、
“救われてる”んじゃ?」
その言葉は、
議事録から削除された。
5|花子、気づく(接続点)
花子は、
業界ニュースの片隅を読んでいた。
> 某業界幹部、
「私生活の最適化」に言及
(ああ)
彼女は、
すぐに分かった。
(これ、
下僕プラン経由だ)
「失敗できない人間が、
失敗しないために
感情を外注する」
花子は、
メモに一行だけ書いた。
> これは
個人サービスじゃない
社会の歪みの緩衝材
6|YONAOSHIへ(静かな接続)
数年後。
初代大統領政権の頃。
別の場所で、
別の名前で、
似たような仕組みが語られる。
「責任を分散する制度」
「判断を肩代わりしない補助」
「完成を目標にしない支援」
それを聞いて、
誰かが言う。
「……前にも、
似たの、あったよな」
名前は出ない。
ただ、
一度“人が壊れなかった仕組み”が
確かに存在したという記憶だけが残る。
それが、
YONAOSHIの土壌になる。
小さな締め
【下僕プラン】は、
世界を救わない。
でも、
壊れきる前の人間を
一人ずつ戻していく。
だからこそ、
本部には扱えなかった。
そして、
だからこそ――
この世界では、
何度も似たものが
名前を変えて現れる。