夜が明けた。
森の隙間から差し込む朝日が、玲央の顔を照らす。
火はすでに燃え尽き、灰になっていた。
玲央はゆっくりと立ち上がる。
体の痛みはまだ引かないが、昨日よりはマシになっている。
「さて、そろそろ行動開始だねぇ……」
玲央は周囲を見渡しながら、進むべき道を探した。
生存するだけではダメだ。
今の目標は、この場所がどこなのかを知り、千空たちの元へ戻ること。
そのためには、高い場所に登って地形を把握するのが一番だ。
玲央は近くの丘に向かい、慎重に足を進めた。
見渡す限りの荒野——ここはどこだ?
丘の頂上に辿り着いた玲央は、息を整えながら景色を見渡した。
目の前に広がるのは、果てしない荒野と森。
遠くに山脈がそびえ、川が蛇行しながら流れている。
「……こりゃまた、どえらいとこに流れ着いたもんだねぇ……」
砂浜の様子からして、海に面している場所のはず。
問題は、ここがアメリカ大陸なのか、どこかの無人島なのか——。
(……ゼノの研究所からどれくらい流されたかは分からないけど……)
玲央は考えながら、改めて周囲を観察する。
すると、遠くの地平線の向こうに、煙が立ち上るのが見えた。
「……人の気配、かねぇ?」
玲央は目を細める。
この世界では、見知らぬ人間が敵か味方か分からない。
しかし、情報を得るには人と接触するしかない。
「さて、行ってみるとするか……」
玲央は覚悟を決め、煙が立ち上る方向へ歩き出した——。
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