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Side 美緒
健治に抱きしめられて、優しく愛の言葉を耳元で囁かれ、体の力が抜けていく。
頭の中では、警笛音が鳴り続けているのに、甘い誘惑に絆されて、健治の手を離せなくなっている。
好きと言う感情は、心の目を閉じさせ、私を盲目にしてしまった。
きっと、いつか傷つくと分かっているのに、激しいキスをされて、体を熱くしている。
キスで溶かされて、甘い言葉を紡がれて、耳朶を食まれる。
すると、何も考えられなくり、健治の声が私の思考を支配する。
吐く息は甘く、健治に縋る手は熱を求めていた。
私を見つめる健治の瞳は、私を欲しがっている。
健治に一番愛されたい。もっと、私を愛して欲しい。
優しい手を離したくない。
こんなに簡単に許してはダメだって、分かっているのに、健治に絡め取られて堕ちていく。
「健治……」
「ん?」
健治は、キスをするばかりで、|強請《ねだ》るように名前を読んでもそれ以上の事はしてこない。
私の体を気遣っているのか、私の体を焦らしているのか、恋の駆け引きなど出来ない私は、健治の思惑が読み取れないでいた。
ただ、どちらにしてもキス以上の事を求めるならば、自分から健治に言わないと体を疼かせるばかりで欲しい物は、与えてもらえない。
でも、健治を自分から欲しがったら健治の不倫を許しているみたいだ。
もう、ずるい……。
濡れる瞳で見つめても、見つめ返してくるばかり……。
健治は、私のうなじに手を添え、もう片方の手で顎を持ち上げた。
まるで、その感触を確かめるように指先で唇をなぞり、私は唇を薄く開いた。
薄く開いた唇を舐め上げられ、隙間から舌を差し入れられる。
私を追い立てるように舌が動き、口腔内に唾液が溢れて行く。
たまらずにそれを飲み込むと、媚薬のように体の芯が疼きだす。
心の中で、健治を許せない気持ちと許したい気持ちが、|鬩《せめぎ》ぎ合う。
優しいキスをたくさんされて、凄く深く愛されているように感じてしまう。
健治の浮気を許せないのに、過去の出来事にしてしまいたい自分がいる。
中途半端にしたくないのに、言葉がでない。
「健治……」
「なに?」
本当はわかって居るはずなのに、はぐらかされる。
名前の続きの|強請《ねだ》るセリフを言わせようとしている。
でも、自分から言いたくない……。
部屋の中に私と健治のリップ音が鳴り響き、壁掛け時計が二人の時間を刻んでいる。
口の中に入り込んだ健治の舌が私の劣情を煽り、部屋に響くリップ音が時計の音と重なって、耳から私の理性を|摧砕《さいさい》した。
体が、疼きを覚えだし、腰のあたりに熱が集まるのがわかる。
それなのに健治は、キスをするばかりで、それ以上の事をしてくれない。
キスの雨を降らされて、甘い息が上がる。
両手で頬を包み込まれて、息も出来ない程深いキスで上口蓋を刺激されて、逃れる事も出来ずに体を疼かせている。
モジモジと両ひざをすり合わせ、健治を欲しがって、はしたなくなった体の熱に耐えた。
「ん……ぁ」
キスだけで、恥ずかしい声が出る。すると健治の口がスッと離れて、空気が口に入りこむ。
力強く抱きしめられ、耳元で囁きが聞こえた。
「美緒、愛してるよ」
耳から入ってくる健治の甘い声に官能がゾクゾクと走る。
「健治……もう……」
甘い息を吐きながら潤んだ瞳で健治を見上げた。
「健治……もう……お願い」
「なに?」
わざと聞き返してくる。
私は抗えずに熱を孕んだ声で健治を強請る。
「もう、健治が……」
そう言うと、健治が私を愛おし気に見つめ、額にキスを落とした。
そして、誘う。
「美緒……ベッドに行こうか」
窓から差し込む光が、部屋を明るく照らしている時間だというのに、私はコクリとうなずいた。
「こんな時間からベッドに行こうだなんて、新婚みたいだな」
健治は目を細め、私を抱き上げた。
ベッドの上に横たわる私の体をなぞるように、健治の手のひらが蠢く。
そして、胸のふくらみに健治の唇がよせられ、先端を甘嚙みされると、それに反応して身体がビクッと跳ねる。
「ん……んぁっ」
甘い声を上がると健治は楽しむように、熱い手で私の肌に新たな刺激を与える。
たくさんのキスを落とされて、頭の芯から溶かされて、とうとう健治に籠絡されてしまった。
こんなんじゃ、ダメだって分かっているのに。
もっと、怒って、強く言わなきゃって思っていたのに……。
健治に優しくされて、その手を手放したくなくて、結局なし崩し的にベッドで抱き合っている。
自分から健治の手を離すのが怖い。優しくて温かい手を手放せない。
弱くてダメな自分がいる。
肌と肌をすり合せ、お互いの体温を感じて、健治の腕に包まれて、心臓の鼓動を聞いていたい。
健治の背中に手を回し、ギュッと抱きしめた。耳をあてた胸から、心臓の脈動がドクドクと聞こえてくる。
私を求めているのだと思うと、安堵する。
そして、広く厚みのある胸板、心臓の上にキスをした。私の事を心に刻むように……。
衣擦れの音が聞こえて、ベッドに縫い留められる。
健治の手が、優しく私の素肌を撫で上げ、その瞳が私を誘う。
唇にキスを落とされ、その唇が頬から首筋を伝う。そして、耳に熱い息が掛かり、ゾクゾクと背中に電気が走るようで、体が無意識にピクリと跳ねる。
健治の唇が私の襟足に強く吸い付き、チリッと痛みを感じる。ソコにも所有痕を付けられたのだ。
まろみのある胸を包み込んだ大きな手が蠢き、私を刺激する。
唇が降りて、私の胸の先端の果実を口に含み、舌先で弄ぶ。
すると、お腹の奥に熱が溜まり出し、鼻から抜ける甘い声が上がる。
「ん、はぁ……あぁんん」
「美緒、もっと、溶かしてあげるよ」
薄っすらと瞼を開くと、上目遣いの健治と視線が絡み。艶を含んだ瞳にときめいた。
健治の唇が胸からお腹へ移り、お臍の横に軽くキスを落とされ、くすぐったい。
やがて、悪戯な唇は、お臍の下で止まり、そこにもチュッとリップ音を立てた後、チリッと所有痕を残した。
さらに下に唇が移る。太ももの内側にキスをされ、私の薄い繁みをかき分けて花芯を啄む。強い刺激に声が上がり、シーツを強く握った。それでも熱を逃がし切れなくて、足のつま先にまでギュッと力を込めた。
「あぁ……だめぇ……」
私の反応を楽しむように、健治は私の敏感な部分を舌先で転がす。その甘く痺れるような刺激に、大きな声を上げて、達してしまった。
ハァハァと肩で息をして、まだ体の芯に熱が籠っている。
濡れそぼり、敏感になった私の中へ、健治のモノが徐々に忍び込んでくる。
「あっ、ダメ、まだ……むりぃ」
「美緒の中、すっげ、うねって気持ちいい」
「ふぁぁ」
「可愛いよ、美緒」
私の体の最奥まで届き、その熱に侵される。
健治には、私しかいないんだって思いたい。
健治に愛されているって信じたい。
体だけを繋げてもダメなのに……。
今は不安な気持ちを体の熱で溶かしたくて、健治と抱き合っている。
「健治……」
「ん……美緒、愛してる」
その言葉、噓じゃないよね。
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