テラーノベル
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最初に違和感に気づいたのは、周りだった。
【あき】「それ、誰かやっといて〜」
指示でも命令でもない。
ただ、任せる前提の軽さ。
一瞬、空気が止まる。
【まぜ】「……今の聞いた?」
【けち】「聞いた!」
俺は気づかず、机に突っ伏したまま続ける。
【あき】「今日さ、頭回んなくてさ」
「企画まとめるの、後でもいい?」
前なら言わなかった。
言えなかった。
“自分がやらないと崩れる”と思ってたから。
【あと】「いいよ」
【ちぐ】「むしろ休んで!」
即答。
俺は「ありがと」とだけ言って、目を閉じた。
――完全に、信じてる。
撮影中。
俺がボケを投げて、反応が少し遅れた瞬間。
【あき】「ねぇ!?w今ボケたから拾ってほしい!w」
冗談みたいなトーン。
誰も否定しない。
【まぜ】「はいはい」
【あと】「任せておけって」
拾われるのが当たり前、みたいになる。
ぷーのすけが、みんなになんか言ってる。
小さすぎてよく聞こえない。
【ぷり】「なあ、あっきぃ無意識だよな」
【まぜ】「それな。甘えてる自覚、ゼロ」
休憩時間。
俺はぷーのすけの隣に自然に座る。
理由もなく。
距離を測る感じもなく。
【あき】「…これ飲んでもいい?」
【ぷり】「ん?ええよ」
確認するけど、遠慮してない。
(あ。俺、戻ってきてる)
そう思える決定打が来た。
帰り際。
【あき】「今日さ」
「先に帰っていい?」
一瞬の沈黙。
俺は慌てて付け足す。
【あき】「嫌とかじゃないよ!?」
「ちょっと眠くてさ」
その“説明”が、
昔よりずっと軽い。
【ちぐ】「全然いいよ!」
【けち】「また明日ねー!」
誰も引き止めない。
俺は少し驚いた。
【あき】「……え、怒んないの?」
【ぷり】「怒る理由ある?」
【あき】「あ……そっか」
俺は一瞬固まったけど、
それだけ言って、笑った。
夜。
俺はベッドに寝転びながら一人で考える。
(俺、今日)
(ちゃんと任せたな)
不安はある。
でも、罪悪感がない。
(あれ)
(これって……)
翌日。
まぜちが、何気なく言う。
【まぜ】「最近さ」
「甘え方、上手くなったよな」
俺は目を丸くした。
【あき】「え?俺が?」
【まぜ】「うん」
「無意識だけど」
少し黙ってから、俺は言った。
【あき】「……それ」
「迷惑じゃない?」
ぷーのすけが、肩をすくめた。
【ぷり】「今さらすぎ」
「順番回ってきただけやん」
【あき】「……そっか」
この声は、
前みたいに確認する音じゃなかった。
受け取る音だった。
俺はまだ完全じゃない。
不安も、闇も、来る。
でも今は。
甘えることを“許された行為”じゃなく
“自然な動き”として選んでる。
それに気づいたのは、
俺より先に、周りだった。
そしてそれが、
一番静かで確かな回復だった。
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