テラーノベル
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人の手が行き届かず自然の摂理を体現した暗がりの森の中”それ”は確かにそこに居た
【ここはどこだ、私は誰だ】と
いや実のところは理解していただが証明をくれる人はもう居ない、”それ”は静かに
己の価値を証明するために這う
ここは神と精霊と妖魔と人間が入り混じり合い共存する神々が愛した土地
【幻想郷】
??「ん……うん…?」
目が覚めるとそこは森の中だった
??「あれ?ここは…どこだ…?」
己がここに居る理由が分からない
??「なんでこんなところ…に…?
俺、最後何してたっけ…」
最後に自分がしていたことを思い出そうとするが記憶には靄がかかり朧気だ、そして
思い出そうとすることに何処か嫌悪を抱いている、思い出すな、思い出すなと
何処かで記憶の詮索を拒否していた
??「…ッ!!…今は…やめておこう…それより… これはどうしようか…とりあえず森から抜けたほうがいいかな」
ここに居ても埒が明かないと、当ても分からず歩き出す
いくらか歩いただろうか遠くで人影が見える
チルノ「ーーでさぁ!みんなアタイのこと馬鹿って言いすぎじゃない!?ねぇ!?ひどいと思わない!?ルーミア!」
ルーミア「いやぁ、天才最強って言ってるのに1+1を間違えるのはどうかと思うぞー」
明らかに日本人では無い髪色、いや染めているのだろうか?それにしてはだいぶ幼いように見える
??「あ…ちょ…待って!!君たち!!」
俺はここで引き返すべきだった
見ず知らずの土地、森の中多少明るいとは言え日はだいぶ沈んでいるように見える
そんな時間に森の中を散策する人間は普通はいないのだと、気付くべきだった
ルーミア「うん?」
チルノ「誰だー?」
??「ちょうどよかった…!ごめんだけど近くに人がいるようなところはない?迷っちゃってて…」
チルノ「えー?仕方ないなぁ!最強で天才なアタイが道案内をしてあげよう!」
ルーミア「ここからだと霊夢んところの神社が近いかな案内するのだー」
??「助かるよ!ありがとう」
道案内をしてくれるという子供たちについて行く
ルーミア「こんな時間に霊夢に会いたいだなんて珍しいやつだなー何かあったのか?」
チルノ「霊夢は寝るの早いからな!邪魔されると凄い怖いんだぞ!アタイは最強だから怖くないけどな!」
??「あー…いや道に迷ってしまって…その…霊夢さん?って言う人はどんな人なの?」
子供達の足取りが遅くなる
ルーミア「…お前霊夢を知らないだなんて珍しいやつだな幻想郷じゃ知らないやつなんて聞いたこと無いぞー」
??「そんなに有名な方なの?というか…幻想郷って?」
ルーミア「…」
金髪のルーミア呼ばれていた子が足を止め、こちらに視線を向ける
チルノ「どうした?ルーミア?」
ルーミア「ねぇお兄さん、もしかしてだけどお兄さんさんって”外の世界”から来た人?」
チルノ「え?」
??「何の話?」
外の世界?と疑問を放つそれが間違いであることに気付くにはそう時間は掛からなかった
ルーミア「ここはね、神さまと妖怪妖精と精霊と人間が入り混じる幻想郷
外から忘れられた人達だけが入ってこれる幻想の空間」
少女の目つきが鋭くなるまるで狩りをする側のように、俺は到底小さい体から貴方れているとは思えない威圧感に気圧され身動きが出来なかった、そして少女は背後に回りながら続けた
ルーミア「でもね、数十年前に空間が崩れちゃって…外の世界の人間たちが流れ込んできたの、酷いんだよ、外の世界の人達は珍しい物だと分かれば容赦無く奪いに行くんだよ、それで…私の友人も傷付けられたの」
??「そ…れは…俺には関係ないことじゃ…」
後に回られ首に手を当てられる、その力は到底少女のものではなかった
ルーミア「でもね人間と妖怪や神さまなんかが協力して追い払ってくれたんだよ、それから幻想郷の中にいる人たちは協力しようっていうルールが出来たの」
??「ッ!!!」
咄嗟に手を振り払い、逃げる
チルノ「お、おい!?ルーミア何してんの!?」
ルーミア「あいつ、外の世界の人間だぞーチルノー」
チルノ「…は?」
水色髪の少女が何かを形成し始める
ー氷だー何もないところから氷を生成している
??「はぁ!?!?」
間一髪避ける、次の瞬間腕から熱が上ってくると同時に冷たくなる感覚に襲われる
??「…!!!」
少女から発せられた氷の塊が腕に突き刺さっていた痛みを堪えただ走り避け続ける
そうして目の前に現れたのはー
??「…階段!?」
所々に苔が生え古いような…それでいて神聖を感じる階段…恐らくここが…
ルーミア「チルノ!もう一回!」
後に逃げ場はないただ階段を駆け上がる
ーしかしー
??「うわッ!?」
階段に躓き、その隙に脚にも氷が当たってしまう
もはや逃げ場も逃げる手段もない
ルーミア「人間が妖怪相手に追いかけっこで勝てるわけ無いんだぞー」
チルノ「そうだぞ!おとなしくしろ!」
生成した氷がこちらに照準を定める
放たれようとした次の瞬間
霊夢「止めなさい」
階段の先鳥居の前で立っていた巫女が声をかける、瞬間眼前の妖怪は動きを止める
ルーミア「なんでだー?こいつは外の世界の人間だぞー」
霊夢「ここが博麗神社の敷居の中だからよ、その中で争いごとなんて私が許すわけないでしょ」
霊夢「その人間の処分は幻想郷の巫女である私が決めるわ、それで良いわね?」
チルノ「はぁ!?ふざけるな!こいつは外の世界の人間だぞ!」
ルーミア「チルノ、ここはやめるんだぞー、私達が束になっても霊夢にかなうわけないんだぞー」
霊夢「そういうこと、大人しくすれば何もしないわ」
チルノ「…」
巫女の言葉で妖怪達は立ち去る
そして、自分の処遇担うという巫女と目が合う
霊夢「まずは入りなさい手と足手当てしてあげるわ」
そう続けた瞬間俺の体が宙に浮き始める
??「うわぁ!?」
霊夢「黙ってついてきなさい」
そうして境内に入り治療を受ける
治療を受けた箇所は瞬く間に治り動かせるようにまでなっていた
彼女が言うには霊力を使っているらしいが…
霊夢「さて、まずは自己紹介かしら
私の名前は博麗霊夢、ここ幻想郷の巫女をやっているわ、アンタの名前は?」
靄がかかる記憶を辿るこちらを呼ぶ声が聞こえる…男性と…女性の声…そして無数の怒号の様な声…共通して呼ばれてたそれを咄嗟に声に出す
赤羽「赤羽…日向」
霊夢「そう、赤羽、アンタはどうやってここに来たの」
赤羽「分からない…気付いたらここに居て眠ってて…」
眼前の少女は少し考えたように視線を逸らしすぐに向き直す
霊夢「幻想入り…かしら…人間が…?珍しい事もあるのね」
赤羽「幻想入り…?」
霊夢「ここに入る条件よ、簡単に言えば外の世界から忘れ去られたものだけがここには入る事ができるの」
サラリと出された恐ろしい事実
誰も彼からも忘れられて入れる…?
おかしいことではないのだろう自分自身さえ先ほどまで忘れていたのだ、しかし友人や…親も自らを忘れてしまったことになる
……ーなぜ?ー……
ここまで考えたところで恐怖が湧き出る
これ以上は進んではいけないと警告音が鳴り響く、それと呼応するように頭痛が激しくなる
霊夢「さて、ここからが問題だけど幻想入りした人間の末路はね、そのへんの妖怪に食われて死ぬ、さっきのアンタみたいにね」
赤羽「!!」
霊夢「でも、ここ、博麗神社に辿り着いた人間にのみ選択肢が出てくる、このまま幻想郷の住人になるか、元の世界に戻るか」
迷うまでもない、答えは決まっている
出すべき答えは
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