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私、何してるんだろ・・・。
絵里は一人で駅前の並木道にあるカフェにきていた。 昨日から頭がいっぱいで、全く寝れない。
昨日、妊娠がわかってから、一人でケンの帰りを待った。 でも、ケンはいつまで経っても帰ってこなかった。
そんな時、結香から電話がきた。 『絵里、発見ー!店のトイレきてよ!』と結香はいきなり言った。 少し酔っているようで、背後もかなり騒がしい。
そして、絵里が黙っていると結香がベラベラ話しだした。
『ケンくんとデートいいなぁー!』
「意味わかんないんだけど、どうしたの?」
『え?だって、今ケンくんと二人で飲んでなかった?』
「ケンといないよ?
・・・てゆーか、どーゆう意味なの??何、それ。」
『う、うん・・・。
えっと・・・。』
結香はとまどっていた。 そして、絵里が引かないのがわかると訳を話し始めた。
『えっと、なんか、すごい言いづらいんだけど。
今さ、XXって居酒屋にいるんだけどね、ケンくんもいるんだよね・・・。
絵里に後ろ姿がそっくりな女の子と二人で飲んでるの。
てっきり絵里だと思ったから・・・。
ご、ごめんね。』
「ううん、平気。
ケンから話聞いてるから、大丈夫だよ!」
絵里は嘘をついた。
心臓がバクバク鳴る。
ショックと怒りと不安がぐちゃぐちゃになって、涙と一緒にあふれそうだった。
結香との電話を切り、絵里は用意をして外に出た。
茜の顔が頭に浮かんだけど、きっと健吾さんといると思うと頼れない。
行くあてもなく、ケンの家のまわりを歩いた。
さみしかった・・・。
我慢していた涙が勝手にポロポロこぼれてきた。
なんでこんな時に女と二人で飲むんだろう。
なんで? 浮気??
だれなの、その女の人?
頭の中がパニックになるよ。
ケンを探しにXXに行きたかった。 でも、そんな事はずかしくてできない。
行くあてもない絵里は、結局家に帰るしかなかった。
家に帰り、部屋にこもる。
しばらく経つとケンから電話やメールがたくさんきた。 でも、無視をした。
そして、部屋でダラダラしてるうちに朝になった。
テレビをつけても外を見てもクリスマス一色。 ニコニコ笑う人たちがムカついた。
「私もほんとはこうやって笑えてたはずなのになぁ・・・」
そう考えると切なくなる。
絵里は髪をととのえ、化粧をした。 もしかしたら妊娠は間違いかもしれないから病院に行く為にだった。
『妊娠してません』という医者の答えを期待してしまう。 今の状況じゃ、産むなんて絶対できない。
・・・そして、その期待はしばらくして裏切られた。
医者に行った絵里に伝えられたものは、『おめでとう』という医者の言葉だった。 まだ小さくてエコーには映らないけど、確実に絵里のお腹の中では命が宿っている。
全然おめでたくないよ・・・。
病院を出ても、家に帰りたくなかった。 どこにも行けないけど、どこかに行きたかった。
ウロウロしてるうちに陽が暮れていく。
カップルたちの中を一人歩きながら、ほんと悲しかった。
今じゃなくて、学校を卒業した後だったら・・・
せめて、ケンが他の女の子と過ごしてた日じゃなかったら・・・
もしかしたら、喜べていたかもしれない。
大好きなケンとの子供なのに。
今は喜ぶことはできないよ・・・
赤ちゃん、ほんとごめんね。 今、私はあなたを殺すという結論しか出せない。
ほんと、ごめんなさい。