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#探偵
橘靖竜
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月海(ルア)@新垢
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#闇バイト
るしゅ
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月呼はルームウェアのままくるるの部屋をたずねた。事前に彼女は小さな頃からずっと早寝早起きであると聞いている。
「前沙、おはよ。こんな朝早くにどうしたの?」
くるるは化粧をしておらず、素顔だった。しかし、化粧をしている時との違いはほとんどない。髪の毛も結んでおらず、少しぼさっとしている。それでも彼女が美人なことにかわりなかった。
「よかったら今から髪の毛を結んでくれない? これから侑加くんとプールで泳ぐの」
「ふーん。すっかり仙敷さんと意気投合しているじゃん」
くるるはにやにやとした。
月呼は部屋に入れてもらう。野利彦は朝から走りに行ったらしい。月呼はドレッサーの前に座った。くるるが月呼の長い髪を後頭部でひとつにまとめる。顔を水に浸けない程度にプールで泳ぐならポニーテールがいいということになった。
「前沙、三億円は放棄して、仙敷さんを選べば?」
「えっ――」
「彼のことが好きなんでしょう?」
月呼はまごまごとする。すぐに「違う」とは言いきれない自分がいた。
「そうするのは怖い。だって、侑加くんが最終的に私を選ばなかったら――私はここでなにも得られずに、失恋だけして帰る」
反対に侑加を選ばなかったら、三億円を手に入れられる。賞金さえ選んでいれば、無難で、安泰なのだ。
「残り六日で、相手にも好きになってもらえばいいだけの話じゃない」
「侑加くんにとって、自分にそこまでの魅力があるとは思えないな」
「仙敷さんが前沙を選んで、前沙が六億円をもらった時はどうするの?」
「そんなことにはならないだろうけれど、すごく申し訳ないし、一生後悔するだろうね」
きっと、すぐには立ち直れないほどの後悔だろう。生き地獄を感じ、死すら望みたくなるかもしれない。たった一日一緒に過ごしただけでそこまでの気持ちになるなんて、と自分自身に恐怖すら感じる。
「だから、愛を選ぶのがいちばんいいんだよ」
「だけど、私、家族のためにもお金が必要で……」
家族のためなら犠牲はいとわない、と考えていた。いや、考えなくてはだめだと言い聞かせている。
「もうひとつ方法はある」
くるるが月呼の背後で言う。
「なに?」
「この恋は一週間だけとはなから割りきるのよ」
「割りきる?」
「そう。思いきり楽しむ。最終日まで本当の恋人として過ごす。でも、このゲームが終わった瞬間、彼のことはきっぱりと忘れる」
「まるで自分の好きな時に電源を消したりリセットできるコンピューターゲームみたいだね。私にはむずかしそう」
くるるも気がついていない最も辛くならない方法がある。それは侑加を好きにならないことだ。二日目の今ならまだ引き返せる。
くるるは月呼の髪の毛を結んだ後、毛先を専用の器具でカールさせた。
「はい。元々かわいい前沙を、限界までかわいくしておいたよ」
「わあ……!」
月呼はその髪型を気に入る。
「ありがとう」
「プールデート、楽しんでね」
くるるは物理的にも精神的にも月呼の背中を押す。
コメント
1件
みぅ🤍🥀です、読ませてもらいました。 くるるちゃんの「割りきる」提案、冷静すぎてちょっと怖いけど、それだけ月呼ちゃんのことを思ってるんだなって伝わってきました…。でも、好きになったらリセットなんてできないよね。月呼ちゃんが「自分に魅力がない」って言うシーン、胸がぎゅっとなりました。残り6日、プールデートがどう転ぶか気になります🌙