俺の名前は久我虎徹
「虎徹ぅ、ちょっと本場のイカ焼き買ってくるわ」
「行ってらっしゃいませ!(大阪って、たこ焼きだよな…?)」
突然大阪へ行くと言い出した一条の兄貴を見送る、武闘派の極道だ。
先日京極組を震撼させた、高砂の兄貴襲撃事件。
「ううっ!?」
完全に兄貴の不意をつく攻撃…。
「悪い子たち…、痛いじゃないの…」バタッ
まさにプロの殺し屋の仕業だった。
道端で刺された兄貴は、通行人によって即座に近隣病院に担ぎ込まれた。
「高砂の兄貴ぃ!クソが、誰の差金じゃあ!」
「嘘だ、嘘だ…!」
高砂の兄貴の背中は斜めに深く切り裂かれており、まさに生きるか死ぬか…。
集中治療室で予断を許さない状況だ。
その犯人の最有力候補に上がったのが天王寺組。
「関東の極道さんは儲かるらしいなぁ」
「ただ血の気の多い人ばっからしいですよ」
奴らは関西有数の武闘派組織であり、関東進出を悲願としている。
天王寺組の村雨町支部を訪問した時、奴らはいきなり銃を抜いた。
「ウチら犯人や思ってますの?殺される前に殺さなあかん。これは正当防衛や」
「ブサイクどもが!テメェらは地獄行き決定だなぁぁ!」
これに仙石の兄貴が応戦、竜巻のようなスピードで支部を壊滅させた。
事務所に帰った俺たちは、緊急の会議を開いた。
「天王寺組の奴ら、最後の最後まで自分らの関与を否定していましたね…」
「ああ、今回の一件で自分たちは被害者だといい、一気に関東に乗り込むつもりだろう」
「ほぼ奴らであるのは間違いない…。だが、証拠がなければ『突然支部を襲った』と京極組が無法者扱いされてしまいますね」
「極道に証拠などない…と言いたいが、こちらに大義があるという証拠を掴まねえと、ウチは孤立してしまうな」
「いざという時に協力してくれる組織も無くなってしまいますね…」
するとそこに一条の兄貴が現れる。
「親父、俺が大阪へ行くというのはどうでしょう?」
「あ、俺は兄貴から先ほど相談を受けてました」
「なるほど…。ウチには隠密行動に長けた奴はいないが、一条なら大丈夫だろう。大阪に行って天王寺組が犯人であるという証拠を掴んでくれるか?」
「はい、どうやるかはこれから決めますがお任せください」
こうして一条の兄貴の大阪遠征が決まった。
当日の見送りは俺が同行する。
「じゃあ虎徹、上手いイカ焼き買ってくるわ」
「大阪といえばたこ焼きですよ、兄貴…。いいですけど、目的忘れないでくださいね」
「わかってるよーん」
一条の兄貴は単身、大阪へと向かった。
そして大阪に着いた兄貴は、早速ある人物に接触する。
「久しぶりですなぁ、京極組の一条康明さん」
「南原さん、手間をかけてしまって申し訳ない」
「あんたのご用命とあれば光栄ですわ」
それは大阪の情報屋、南原。
「それで、何が聞きたいんです?」
「ウチの高砂が何者かによって、襲撃された。その犯人を探してるんだが…」
その時一条の兄貴の顔が無になる。
「犯人は天王寺組で間違いねえと思っている。だが、肝心の証拠が掴めてなくてな」
「なるほど、あの京極組の高砂さんが…。でも一条さん、すんません。その事件の犯人は、全く情報がありません」
「そうか…」
「ただ、関東制覇は天王寺組の悲願です。関東侵攻を企てていることは間違い無いと思います。そういった意味では一つだけ、役に立つかもしれない情報が」
「なんだ?聞かせてくれ」
「天王寺組が関西の老舗の極道組織、栗林組と喧嘩中なんです」
南原曰く、天王寺組の今田派は勢力拡大を目指しているという。
「おどれ、さっさとウチのいうこと聞けや! 」
「殺すぞ、ボケがぁ!」
「ぐおおおおお!」「じゃかましいわぁ!」
栗林組は暴対法に対応できず資金難…劣勢なのは明らかだという。
「そしてこの今田派が、天王寺組関東進出プロジェクトの一端を担っていると聞きます。栗林組を下につけようとしているのも、関東攻略のための兵隊確保なのかと」
「なるほどなぁ、よくわかったわ」
「核心をつけずにすんません、力不足で…」
「いや、それだけでも十分だ。ありがとう」
そして南原の元を後にした一条の兄貴は、大園のカシラに連絡を入れる。
「カシラ、関西の栗林組にアポを取ることは出来ますか?少し聞きたいことが出来たので」
「わかった。俺や親父は向こうの組長と縁故がある。話くらいは出来るだろう」
こうして一条の兄貴は、栗林組の元へと向かった。
栗林組事務所を訪れると、二人の男が兄貴を迎え入れる。
「お待ちしておりました」
「あなたが噂の京極組、一条さんですね」
「いかにも」
そして応接室に通された兄貴の元に栗林組の組長が現れる。
「関東から遥々、京極組さんがどうされはったんですか?特に一条さんのお名前は、ここ関西でもよーく届いてますよ」
「差し支えなければの話ですが、天王寺組と喧嘩してる理由が知りたくてですね」
その組長は神成と名乗ったが…さすがトップを張る男。醸し出す雰囲気が根本から違う。
「なるほど、その話ですか…。で、なんでその話を聞きたいんです?」
「ウチの幹部、高砂明夫が背後から刺されました。我々は天王寺組の仕業と睨んでいますが、証拠がありません。なんでも良いので、奴らの情報が欲しいんです」
「なるほど…。なら、敵の敵は味方と言いますし、話しまひょ」
そして神成組長は、事の発端を話し始めた。
コメント
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長すぎる…読みづらかったらすみません💦 状況説明も公式に沿って書いてみようかな?