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ゆうき あきや
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#心理描写重視
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読了しました!石油王と銀行家が「極秘来日(バレバレ)」で法被に鉢巻きスタイル、情報量多すぎて笑いました(笑)。A5和牛ケバブと純金綿菓子がタダで配られる異常空間で、主さんだけ真顔で筋トレ食を食べてるギャップがツボです。「テストマーケティング」と豪語する限界言い訳も冴え渡ってますね。資本の暴力が吹き荒れる中でも、子どもたちの笑顔があるからロジ成功!って締めるところが温かい。明日の本番、楽しみです!
第138話:極秘来日(バレバレ)。大富豪の超高級屋台と純金綿菓子
限界集落に奇跡のやぐらが完成し、いよいよ『オペレーション・フェスティバル(夏祭り復活作戦)』の本番を翌日に控えた夕暮れ時。
十勝の澄み切った空に、突如として場違いな重低音が響き渡った。
ゴォォォォォォッ……!!
「お、お兄さん! なんですかあの音!? また台風ですか!?」
広場の飾り付けをしていた小春ちゃんが、空を見上げて悲鳴を上げた。
だが、それは自然の脅威ではない。圧倒的な『資本の暴力』が放つ物理的なエンジン音だった。
トカチ・オビヒロ空港の方向から、限界集落の細い一本道を通って、漆黒のマイバッハの車列(計十台)が砂埃を巻き上げてやってきたのだ。
「……やはり来たか。陣地の防衛ラインを突破されるほどの財力。世界経済のバグどもめ」
車列が広場の入り口でピタリと止まると、黒服のSPたちが一斉に飛び出し、周囲の安全を確保する。
そして、中央の最も巨大なマイバッハの後部座席から、二人の男が姿を現した。
「ハッハッハ! 素晴らしいやぐらだ! 間に合ってよかったぞ、マスター(主)!」
「我々もこの聖域の『祭り』とやらを盛り上げるため、極秘裏にスイスとドバイから飛んできたのだ!」
現れたのは、間違いなくドバイの石油王とスイスの銀行家だった。
だが、彼らの服装はいつもの最高級スーツやカンドゥーラではない。
「……あんたたち、その格好はなんだ」
俺は、頭痛を堪えるようにこめかみを押さえた。
二人のトップVIPは、背中にアラビア文字とドイツ語で『祭』と金糸で刺繍された最高級シルクの法被(はっぴ)を羽織り、頭にはねじり鉢巻、足元は特注のエルメス製・雪駄という、完全に情報量が渋滞した『お祭りオヤジスタイル』でキメていたのである。
「フフッ……どうだマスター。我々は今日、世界経済を動かすVIPではない。ただの『屋台の親父』として、極秘にお忍びでやってきたのだ!」
「SPたちには絶対に我々の正体をバラすなと厳命してある! これで村人たちにもバレまい!」
「いや、マイバッハ十台で乗り付けてSP百人引き連れてる時点で、極秘でもなんでもないだろうが……」
俺の至極真っ当なツッコミを完全にスルーし、二人の『自称・屋台のオヤジ』は、SPたちに命じて広場の特等席に二つの巨大な屋台をあっという間に設営させた。
「さぁ、村の子供たちよ! ドバイの砂漠より熱い『超高級ケバブ』はいかがかな!」
石油王の屋台に設置されたのは、チタン製の巨大な回転ロースターだった。
そこで焼かれているのは、普通の鶏肉や羊肉ではない。ドバイから直輸入された最高ランクのA5和牛の塊と、一グラム数万円は下らない幻のスパイスを惜しげもなく擦り込んだ、原価計算が完全に崩壊している『世界最高峰のケバブ』である。
ジュワァァァァッ……!
和牛の極上の脂がロースターの熱で弾け、限界集落の広場に、かつて誰も嗅いだことのない暴力的なほどに芳醇な香りが爆発した。
「うわぁ……! すっごくいい匂い!」
「おじちゃん、これちょうだい!」
「ハッハッハ! 遠慮はいらんぞ! 全部タダだ! 腹がはち切れるまで食いたまえ!」
子供たちが渡されたケバブにかぶりつくと、「お肉が溶けたぁ!」「こんなの食べたことない!」と、あまりの美味さに次々と腰を抜かしかけていた。
『ミャウ(あら、悪くない肉じゃない)』
匂いにつられてやってきたシロが、神秘的な『オッドアイ』の瞳――左目のサファイアブルーと右目の琥珀色――を輝かせながら、石油王から切り立ての和牛を差し出され、満足げに喉を鳴らしながら上品に平らげている。
「フッ……肉ばかりでは飽きるだろう。デザートはこちらだ!」
隣の屋台では、スイスの銀行家が不敵な笑みを浮かべていた。
彼の前にあるのは、スイスの精密機械メーカーに特注したという『超遠心分離型・綿菓子メーカー』だ。
彼がそこに、最高級のスイス産シュガーと『何か』の粉末を投入し、割り箸で巻き取っていくと……。
「……えっ? 銀行家さん、その綿菓子、なんでピカピカ光ってるんですか……?」
小春ちゃんが、目を瞬かせて尋ねた。
銀行家がドヤ顔で掲げた巨大な綿菓子は、夕陽の光を反射して、文字通り『黄金色』にギラギラと眩い輝きを放っていたのである。
「スイスの地下金庫から持参した、純度99.9%の『24金(純金箔)』を限界まで練り込んだ『純金綿菓子』だ! 食べれば胃袋から資産価値が上がるぞ!」
「綿菓子に資産価値求めないでくださいよ!! っていうかそれ、一本で何十万円するんですか!! 金箔の量が多すぎてお菓子じゃなくてただの貴金属じゃないですか!!」
小春ちゃんの悲鳴に近いツッコミが広場に響き渡る。
ジンバルにセットされたiPhone miniが映し出す配信画面は、この資本の暴力が吹き荒れる『世界一バグった屋台風景』に、一千万人のリスナーたちが完全に理性を失って大熱狂していた。
『A5和牛のケバブ(原価数万円)がタダwwww』
『純金綿菓子ってなんだよww 食べたら腹の中で金塊になるだろww』
『極秘来日(マイバッハ10台とSP100人)』
『ただの屋台のオヤジ(総資産数十兆円)』
『限界集落の子供たちの舌が、超富裕層レベルに狂わされてしまうww』
「キュンッ!」「コンッ!」
コン吉とコン次郎も、純金綿菓子のあまりの眩しさに「なんだこれ!?」と目を回してひっくり返っている。
世界経済のトップが屋台のオヤジとして村人たちに最高級の食事を振る舞い、広場がかつてない熱狂と歓声に包まれる中。
俺は少し離れた折りたたみチェアに深く腰掛け、いつものタッパーを開けた。
中に入っているのは、完璧な水加減で炊き上げられた『冷やし玄米』と、自家製の『大豆ミートとこんにゃくの煮っ転がし』である。
「……よし。前線のロジスティクスは彼らに任せ、指揮官は己の兵站を維持する」
俺は、数万円の和牛ケバブの匂いが漂い、純金が舞い散るパリピ空間の真っ只中で、一切の感情を排した元・社畜の顔で、ストイックに大豆ミートを咀嚼し始めた。
「ちょっ、お兄さん!? なんでA5和牛のケバブと純金綿菓子がタダで配られてる隣で、一人だけ真顔でこんにゃくの煮っ転がし食べてるんですか!?」
小春ちゃんが、黄金に光る綿菓子を持ちながらジト目でツッコミを入れる。
だが、俺は玄米の咀嚼を止めない。
「当然だ。祭りの前夜というイレギュラーな状況下において、急激な脂質と糖質(金箔入り)の摂取は、自律神経を乱し翌日のパフォーマンスを低下させる。いかなる誘惑にも屈せず、植物性タンパク質と食物繊維で腸内環境を死守する。これが需品科の鉄則だ」
俺は冷たいほうじ茶で喉を潤すと、カメラの前に向き直り、キリッとした真顔でいつもの『限界言い訳タイム』を発動した。
「世界中の皆さま。画面の向こうで、世界のトップVIPが極秘来日して数万円の屋台を開いているという、現実離れした光景に驚かれているかもしれませんが、冷静になってください」
『出たァァァァァ!!!』
『この純金が舞い散る異常空間で、まだ言い訳する気か!!!』
『主の限界言い訳タイム・純金屋台編ww』
『さあ、この資本の暴力をどう論破するつもりだww』
俺は淀みない口調で、極めてフラットに言い放った。
「これは、大富豪のお遊びや高級食材のバラマキなどではありません。限界集落の食料自給率向上を目的とした『地域特産品開発のためのテストマーケティング』です。そして、あの光り輝く綿菓子は金箔ではなく、十勝産トウモロコシから抽出した『天然の黄色色素』を配合しただけ。ええ、すべてはただの『地産地消の推進』と『着色料の実証実験』に過ぎません」
「んなわけあるかあああ!!!」
小春ちゃんが、ケバブを包んでいた耐油紙(未使用)を丸めて、俺の額にパーフェクトな紙玉スナイプを見舞った。
「テストマーケティングってなんですか!! トウモロコシの色素が夕陽を反射してギラギラ輝くわけないでしょうが!! さっき銀行家さんが自分で『スイスの地下金庫から持ってきた24金だ』って自白してましたよ!! 素直に『VIPたちが祭りを全力で楽しみに来た』って認めなさいよ!!」
『小春ちゃんのケバブ紙スナイプ炸裂ww』
『地域特産品開発(ドバイ直輸入のA5和牛)』
『トウモロコシの天然色素(スイス銀行の24金純金箔)』
『適応力バグおじさん、ついに純金までトウモロコシの色素だと言い張るww』
『言い訳のスケールがバグりすぎてて腹筋痛いww』
俺の理不尽極まりない経済学的な限界言い訳と、小春ちゃんの鋭すぎるツッコミに、一千万人の視聴者たちは資本の暴力への驚きを完全に忘れ去り、腹がよじれるほどの大爆笑の渦へと叩き落とされた。
『ミャウ(ふふっ、本当に退屈しない人間たちね)』
シロが、口の周りについたケバブのソースを上品に舐めとりながら、夕暮れの広場を見渡して目を細めている。
「……まぁ、理由はどうあれ。村の子供たちが笑っているなら、ロジスティクスとしては大成功だ」
俺は苦笑いしながら、十勝の茜色に染まる空を見上げた。
資金難で消滅したはずの限界集落の夏祭りは、前夜祭の時点ですでに世界一バグった規模へと膨れ上がっている。
最強のモフモフたちと、規格外のVIPたち、そして一千万人のリスナーが見守る『オペレーション・フェスティバル』の本番は、大爆笑と黄金の輝きに包まれながら、明日、ついに伝説の幕を開けるのだった。